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そもそも歯は何故トラブルをおこすの?(1)

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 動物の寿命の長さは、体の小さな動物ほど短く、大きくなるほど長くなります。体重が20gしかないハツカネズミの寿命は、1~2年程度。6tにもなるアフリカゾウは70年といわれています。人間とほぼ同じ大きさの羊は15年程度で、実は人間は体の大きさの割にはとても長生きなのです。特に日本人の平均寿命は女性86.83歳で世界一、男性も80.50歳で第3位(2014年)です。日本人は遺伝的には環境適応性が高いともいわれ、また日本食、入浴、充実した医療などの良質な生活環境も大きく貢献しています。人間50年(幸若舞『敦盛』のセリフ)と言われた時代から30年以上も伸びているのですから、体がトラブルを起こすのもやむをえないかもしれません。人間ドックでの基本検査の全項目で異常のない「スーパーノーマル」が6.6%と過去最低を記録しています。
 口のトラブルも増える一方です。脳が巨大化し、歯や顎が退化を余儀なくされているのも原因の一つです。口腔細菌が発ガン物質を生成しているなど、全身へ強い影響を与えていることもわかってきています。歯を健康に保つことは健康寿命を延ばすことにつながります。歯と体を健やかに保つ方法をお話していきたいと思います。

大きい動物ほど長生きです

 小さいカップのコーヒーはすぐ冷めてしまうけれども、お風呂はなかなか冷たくなりません。大きいほうが保温力が大きいのです。月は冷えて火山はないけれども、月の100倍重い地球はまだ熱く火山があるのと同じです。動物の身体も大きいほど熱を逃がしにくくなります。
 このため、小さい動物であるハツカネズミは、一秒間に10回も心臓を動かさないと代謝を維持できませんが、大きなゾウが同じ勢いの代謝をしたら、体温が120度を超えてしまう計算になります。ゾウは三秒に1回ぐらいしか心臓を拍動させません。大きな動物ほどゆっくりと時間が流れているのです。
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人間は寿命が延びたので繁栄できた

 上の表のように、人間は際立って長い寿命をもっています。人間が繁栄した理由として、脳が素晴らしく進化した、前足を手に進化させたなども大きい因子ですが、寿命を延ばすことに成功してことも大きな因子であると考えられています。

自然界の動物には年寄りはいない

 どうしても人間中心に考えてしまいがちになりますが、「わしゃ、歳だから早く走れん」というシマウマは、残念ながら、ライオンなどの肉食獣の餌食です。
老人がいるのは、当たり前だと我々人間は思いこんでいますが、自然界の動物の世界では、これはきわめて特殊な事なのです。たとえば人間にもっとも近いチンパンジーも含めて、他の動物はすべて出産可能年齢を過ぎると、まもなく死んでしまいます。
 シャケが、卵を産むために、川を遡上していき、産卵、受精をすると、死んでしまうのはご存知のことでしょう。38億年、子孫を残しながら進化を進めてきた生物にとって、遺伝子を次の世代に引き継ぐことが何よりも大切なことであったのです。ですから、遺伝子を子供に引き継いだ親は、基本的に用無しなのです。

おばあさんがいるのは人間だけ

 子供を産めない年老いた個体は種の存続に貢献することができないので、動物では繁殖ができなくなったメスは
まもなく死んでしまいます。
 ところが進化の最も進んだ人類にのみ「おばあさん」がいます。「あばあさん」の存在が人類という種の存続に何か大きな役割を果たしているのでと考えられています。
 人間の場合、女性が自らの繁殖から解放されたあと、その知恵と経験を生かして自分の娘や血縁者 の子育てを援助することにより、子供を無事に産み、育てることのできる確率が飛躍的に高まります。
おばあさんは、知恵と経験で、採集の難しい根茎などの食物を効率よく集め、母親が一人で採集できるよりも多くの食物をもたらすことができます。また、赤ん坊の世話をすることで母親の労力を軽減し、母親の活動性を高めることができます。
 さらに子供の病気にどう対応するか、夫や他の家族との葛藤をどう乗り越えるかなど、おばあさんの持っている暮らしの知恵がもたらす利益は大変に大きいと考られます。
 人類を地上の勝者へと導いたのは、おばあさんの力によるものが大きいのです。

人間は年をとった個体を大切にします

 前記のように、子供が熱を出した時にはこの薬草が良いとか、昔はおばあちゃんの知恵がとても役に立っていました。また長老が長い人生経験から得た知恵、たとえば、いつ頃、どこへ行ったら、どんな木の実がとれる、とか、部族内の争いの仲裁はこうやるのだとか、という知恵が一族の繁栄を大きく助けてきたことでしょう。
先生と呼ぶように、高齢者の知恵が人類を繁栄させてきた原動力なのです。

技術や文化を後世に伝えるのも高齢者の大切な役割です

 人間の繁栄は、過去の経験、知識、技術の積み重ねです。これらを後世に伝えていくのが、「教育」です。人間以外の動物は、積極的な教育はできません。せいぜい観察学習です。自分という個体が何かをするときに、他の個体が何をしているということからヒントを得るのがやっとです。
人間だけが教育によって、人間自身が大きく進化することができました。教育のおかげで、いろんなことが効率よくできて積み重ねもできる。前の世代が持っていた知恵を次の世代に伝えることによって、次の世代はそこからさらに飛躍できるようになりました。一人で一から全部組み立てなくてもよいのです。その蓄積の速度こそが人類の進化そのものです。おかげで人間だけが、高度な文明をもちえたのです。

人間は子育て上手

 人間は二本足になってしまったため、産道が狭くなり、出産は不得意になってしまったのですが、子育ては、天下一品、動物一といえるのです。

鮭(サケ)は子育てをしません。

 鮭は、海から生まれ故郷の川にもどってくるといわれます。苦労して、川を遡上し、卵を産みますが、1度放精・放卵すると、「自分の役割は終わった」とでも言うように、息絶えてしまいます。子育てはしません。数で勝負です。焼く3000個の卵を産みます。

哺乳類は、子育て上手です

 哺乳類は、子宮という新たな臓器を手に入れました。卵を母親の胎内で育て、生まれた仔を、哺乳、自分の体から栄養のある体液をしみ出させて、子供に栄養を与えます。おっぱい
をも手に入れたのです。この中でも、人間は最も優れた子育て法を手に入れたのです。

チンパンジーは子育てが大変です

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 一見すると、仔ザルが母ザルにしがみついて、仲の良い親子に見えますが、そうせざるを得ない理由があります。

チンパンジーは、実は兇暴

 テレビなどで見ると、可愛らしいイメージのあるチンパンジーですが、とんでもありません。猛獣です。
 平均握力300㎏ (人間の成人男子で40㎏程度)
 250㎏程度は持ち上げられる、強い筋力を持ち
 強大な犬歯をもち、肉食性が強く、他の類人猿を襲って食べることもしばしば、
 それどころか、他の群れの仔チンパンジーを食べてしまうなど共食いもします。
可愛らしいのは子供のときだけ、実に兇暴な猛獣なのです。
アメリカでは、タクシーのフロントガラスを素手でぶち破り、運転手をかみ殺したり、日本でも、2012年にP君というチンパンジーが、女性スタッフを襲いヘリで緊急搬送される事件があります。

チンパンジーの母親は仔ザルから目を離せません

 ですから、上の写真の様に、子供が、他のチンパンジーに襲われないように、5から6年にもわたり、つきっきりで子育てをせざるをえないのです。
 当然この期間、次の子供はつくりません。発情も排卵もしないのです。当然子孫の数を増やしにくいので、絶滅の危機にひんしているのです。

日本の「母」は不安で孤独です

人間は毎年でも出産可能です

 チンパンジーは1頭の子供を5年間、母親がつきっきりで仔育てをします。つぎの子供を産めるのは5年後です。ところが人類は、毎年子供を産めます。人間は進化の過程で、母親一人で子供を育てるのではなく、グループ全体で共同保育するように進化したのです。お乳がでない母親のかわりに他人のお乳をあげることもあります。生まれてまもないわが子を他人にまかせるのは、動物の中でも人間だけなのです。自分の子も他人の子も同じ家族だからと考えるのは、人類700万年の進化の中で編み出した素晴らしい智恵なのです。このため人間は次々に子供を産めるようになったと考えられています。

出産するとエストロゲンが激減します

エストロゲンとは

エストロゲンは女性ホルモンのひとつで、卵胞ホルモンとも呼ばれます。脳の視床下部から脳の下垂体を刺激するホルモンが分泌されると、下垂体が反応して性腺刺激ホルモンを分泌します。すると、それに卵巣が反応し、卵巣の中で眠っている卵胞のうちの10~20個が成長を始めます。この卵胞の成長助けるために卵巣から分泌されるのがエストロゲンです。
エストロゲンの作用には
●女性らしい丸みをおびた体をつくる
●卵胞の成熟を促す
●受精卵の着床を助けるため子宮内膜を厚くする
●精子が子宮の中に入りやすいよう頸管粘液の分泌を促す
●自律神経、感情の動きや脳の働きを整える
●骨の形成を促し、血管収縮を抑制する
●基礎体温を下げる
などがあります。

仲間と一緒に子育てをしたい

 人間は、出産直後にエストロゲンが激減することがわかっています。これにより、出産直後の女性は強い不安や孤独を感じるのです。こんな一見、困った仕組みが人間には備わっています。
 実はこれは、母親に共同養育を促すためのものだったのではないかと考えられています。
 出産後に母親が、不安や孤独を感じれば、おのずと仲間と一緒に子育てをしたい気持ちが強まるためと考えられています。これが本能です。母親一人で子育てできるようには作られていないのです。
 ところが、核家族率が80%にもなる日本では、共同養育とは程遠い育児環境にあるのです。
 日本では、夫の育児に参加する時間は一日1時間程度で欧米の1/3程度ですし、ベビーシッターの利用率もほとんどありません。

ちょっと話が脱線してしまいましたが

 人間が、寿命を延ばす努力を700万年つづけてきたことはご理解いただけたかと思います。他の動物と比べて内臓の出来がとても良いのです。内なる努力を重ねて、人生を延ばしてきたのです。
 でもそれも、40才が限度。それ以上の寿命の伸びは、外なる努力なのです。



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