アニサキスとは
アニサキスは、クジラやイルカなどの海産哺乳類で成虫になる寄生虫です。その幼虫は、サバ、ニシン、アジ、スルメイカ、イワシ、サンマ、シャケなどに寄生しています。
幼虫の生態
体長1~3センチ程度の半透明白色の渦巻状です。魚の内臓に寄生しますが、筋肉にも寄生することがあります。
アニサキス症とは
アニサキスの幼虫に寄生された、サバやサンマなどの生食によるもので、食べてから、多くが8時間以内に、激しい腹痛を生じます。
アニサキスは人間の腸の中に入っても成長することができないので通常は便と一緒に排泄されます。ただ、まれに胃腸の粘膜を食い破り、胃壁や腸壁に潜り込んでしまうことがあります。
劇症型胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、激しい上腹部痛,悪心,嘔吐をもって発症するのが胃アニサキス症の特徴で,症例の大半がこの症状をおこします。
腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛,腹膜炎症状、悪心,嘔吐などの症状が見られ,時に腸閉塞や腸穿孔を併発します。
アニサキスアレルギー
魚介類の生食後に蕁麻疹を主症状とするアニサキスアレルギーを生じることがあります。血圧低下、呼吸不全、意識消失など重篤な症状を起こす場合もあります。
治療法
胃アニサキス症では胃カメラで胃粘膜に穿入する虫体を見つけ,これを鉗子で摘出します。腸アニサキス症では対症療法が試みられ,場合により外科的処置が施される.
なお現在のところ,幼虫に対する効果的な駆虫薬は開発されていません。
発症頻度は
届け出があっただけで 平成26年は79件 平成28年は133件平成29年は127件 です。平成30年の食中毒の報告総数は1330件でしたが、アニサキスは468件とトップにおどりでています。ちなみに第2位は病原菌カンピロバクターの319件、3位がノロウイルスの256件でした。
アニサキスの数が増えた背景には、食品衛生法に基づく国への届け出の項目に2013年からアニサキスが明示されたことが影響しているとみられています。
実際の数はこの10倍以上はいると考えられています。
予防法
● アニサキスは加熱または冷凍により死滅するので、中心部まで十分加熱(70度以上)するか、マイナス20度で24時間以上冷凍すること です。サケの「ルイベ」は冷凍しているためにリスクは軽減されます。さらにルイベにすることで、身を薄く削ぐように切ることが容易になり、アニサキスの確認がしやすくなっているのです。ちなみに養殖の鮭にはほとんど寄生虫はいないとされています。
● 内臓の生食をしないこと。
● 魚介類を生食する際には、より新鮮なものを選び、速やかに内臓を除去し、低温(4度以下)で保存すること。鮮魚を放置すると、虫体は、内蔵の表面から筋肉部に移動することが知られています。
● 魚を生食用に調理する際にはアニサキスを意識して、魚をよく観察しながら調理すること。特に、ハラス(内臓に近い筋肉部分)は注意すること。
● しめさば程度の酢濃度では死滅しないので注意すること、
● アニサキス症の自覚症状が出たら速やかに医療機関へ
よく噛むこと
さて、何で浅草の歯医者のホームページに食中毒の話が出てくるのかというと、アニサキスは傷を受けるとすぐ死ぬので、よくかむことも予防につなががるからです。
● アニサキスの幼虫が寄生する魚類は、サバ・サケ・サンマ・イワシ・アジやスルメイカなど、生食の機会が多いものばかりです。究極の予防法は、生で魚を食べないことです。でも、新鮮な魚をお刺身でいただく魅力に勝てない人は、ゆっくりよく咬んで、丸呑みしないことが大切です。歯が悪いとアニサキスの食中毒にもなりやすいのです。