プラザキサと抜歯

直接トロンビン阻害薬であるダビガトラン(プラザキサ)服用患者では、原疾患が安定し、適切に管理されている患者では、継続投与ののまま抜歯を行っても、適切な局所止血を行えば重篤な出血性合併症を発症する危険性は少ないとされています。
ただし、科学的根拠を示す報告は少なく、注意が必要です。

ダビガトラン(プラザキサ)服用後6時間以降の抜歯

ダビガトラン内服後の血中濃度は、腎機能が正常であれば、最高血中濃度到達時間(Tmax)は1.5時間程度とされています。しかしこのデータは空腹時服用のものであり、一日2回食後に服用した場合のTmaxは4時間程度だったという報告があります。
※ 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プラザキサインタビューフォーム第10版2014

このため、ダビガトラン内服6時間後の抜歯が勧められています。

可能だねば12時間以降に行うことがより安全です。
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ハイリスク

ダビガトランの抗凝固効果に関するモニタリングはPK/PDが充分予測可能で、治療域が広いことから、その必要性がないということになっていましたが、発売当初から多くの服用患者に出血性合併症を認めたことが報告されています。この多くが高齢者や腎機能障害を有する患者で生じており、

抗凝固薬の有無だけでなく、総合的な全身状態の判断が重要です

● 梗塞症発症のハイリスク群(CHADS2スコアが2以上)
● 高齢者
● 腎機能障害を有する患者
● P糖蛋白阻害薬服用患者
● 抗血小板薬併用患者

などでは抜歯後の出血性合併症を発症する可能性が高くあり、歯科医院からの問い合わせなどが来た場合には、充分以上に注意することを伝え、必要ならば歯科大学病院などへの紹介を進めることも重要かと思われます。

併用するのに特に注意をする薬

ベラパミル・抗不整脈薬(アミオダロン)・免疫抑制剤(シクロスポリン)・タクロリムス

CHADS2スコア

※ CHADS2スコアは脳塞栓症の発症危険性を反映する簡便なスコアであり、リスクファクターの相対危険度から
● Congestive heart failure(心不全)
● Hypertension(高血圧)
● Age(75歳以上)
● Diabetes Mellitus(糖尿病)
● Stroke/TIA
の頭文字をとって命名されたスコアです。
C(心不全)・H(高血圧)・A(75歳以上)・D(糖尿病)の項目は各1点
脳梗塞発症リスクの高いStroke/TIAの既往は2点を付与し、
合算して脳梗塞発症リスクを算出する方法です。
 CHADS2スコアは、各リスク因子の累積で0点から6点まであり、点数が増えていくにしたがって、発生頻度が指数関数的に増えていくことが知られています。
0点であれば、脳塞栓症の発症は年間2%弱、すべてのリスクがあると年間18%であると報告されています。
0点のみを低リスクとし、1、2点を中リスク、3点以上を高リスクと分類しています。