仰臥位低血圧症候群
そもそも仰臥(ぎょうが)位 とは
上を向いて寝る、つまりあおむけに寝ている状態をさします。一般的に、体を休める場合に最も安定しているとされるのが仰臥(ぎょうが)位の体勢なのです。でも妊娠後期にはNGです。
なぜあおむけに寝てはいけないの?
妊娠後期に入ると、お腹の中の赤ちゃんは大きく成長してきます。これにより横隔膜が上に持ち上げられ、ただでさえ息苦しさを感じやすくなります。
あおむけに寝ると、下大静脈(足や腰などの下半身の血液を心臓に戻す太い血管)が圧迫されてしまいます。
この結果、血液の流れが悪くなり、心臓の血液拍出量や血圧の低下などをまねくことがあります。
どんな症状が出るか
顔面蒼白(そうはく)・めまい・悪心・嘔吐(おうと)・冷や汗・呼吸が苦しくなるなどの症状から、重症になると、意識レベルの低下・脈拍触知不能となる・けいれん・ショック状態などを起こし危険です。また子宮動脈圧も低下し、胎児の心拍数の低下や低酸素症を引き起こす危険性があります。
治療法は
下大静脈への圧迫が原因ですから、直ちに左側を下した横を向いた姿勢をとります。専門的には左側臥(ひだりそくが)位といいます。下大静脈は背骨の前右側を走行しているため、寝たままで左向け左です。
歯科治療での注意点は
ただでさえ怖い歯の治療です。精神的にも緊張するので体の不調が起こしやすいです。治療用のイスをフラット(平行)に倒すことが多いので、仰臥位低血圧症候群を起こしやすいのです。浅草の歯医者さんは、皆勉強熱心でよくわかっているので大丈夫です。念のため書き添えておきますが、
歯科の治療台に寝る時に、前もって右側の腰の下に畳んだバスタオルなどをはさみ込み、体の右側をやや上に傾けるようにしてもらってください。近くの歯医者さんへ行った時にもしもやってもらえないようだったら、このページをコピーして持って行っていただいても良いと思います。
予防法は
仰臥(ぎょうが)位低血圧症候群は寝方さえ間違えなければ予防できます。
妊娠後期ではなくても、上向きに寝て気が遠くなっていくような感じがあれば、すぐに左側を下にして横になってください。そうすることで下大静脈の圧迫が解除され、症状が回復します。
寝る時に抱き枕を使うのも有効な方法です。
蛇足ですが、左側には腹部大動脈が走っています。こちらは圧が強く多少の重みではつぶれません。左を下にしても大丈夫です。とにかく寝ていてくらっときたら「左向け左」です。