日本人で慢性頭痛を抱えている人数は、3900万人と言われています。なんと、4割もの方が慢性頭痛で悩んでいるのです。
慢性頭痛には3つのタイプがあります。いずれも生命に危険が及ぶものではありませんが、日常生活に支障をきたしますし、憂鬱な気分にもなります。
慢性頭痛は原因がはっきりと解明されていないこともあり、完治させることは難しいのですが、ご自分の頭痛の種類を知り、その原因をなるべく避けることで、緩和や予防ができます。
偏頭痛
偏頭痛とは、脳の血管が拡張し炎症を起こしたのと同じ状態になり、血管と並んで走行している知覚神経が刺激され痛みを感じるものです。体質や遺伝的要素が大きいと考えられています。頭の片側が痛むので、偏頭痛と呼ぶのですが、時には両側のこともあり、頭の奥が痛いという方もいます。若い女性におおっく10~30才で発症することが多いです。
症状としては、こめかみが脈拍に合わせて激しくいたみます。発作的に始まり、ズキンズキンとひどくなり、やがて消えていきます。
まぶしい光、騒音が引き金となることもあります。まぶしさを感じ、チカチカ光る予兆を起こしてから、痛みだすという方もいます。いらいらや吐き気を伴う方も多いです。
誘因として、寝不足・逆に寝すぎ・チョコレートやナッツ、チーズなどの食べすぎ・アルコールがあります。
治療法としては、消炎鎮痛剤や血管収縮剤が用いられます。市販薬も良く効きます。刺激をさけ、あまり明るくない所で安静にするのがよいです。
緊張型頭痛
このタイプの頭痛が、歯と関係しています。2000万人以上といわれもっとも多いタイプの頭痛です。男女差はあまりなく、中高年にやや多いです。
孫悟空はみなさんご存知だと思いますが、頭に輪っかをつけています。孫悟空の頭の輪は『緊箍児(きんこじ)』という名がついています。三蔵法師が呪文を唱えると、輪が締まり、頭が痛くなります。
咬筋(こうきん)は、咬む為の筋肉ですが、頬に手の掌をあてて、食い縛ってみればこめかみの横が張るのが良く分かると思います。食いしばると、頭を締め付けるのです。肩や首の筋肉が異常緊張すれば、肩こり・首のこりがおこります。咬筋が異常緊張すれば、歯が痛くなったり、頭蓋骨をしめつけて頭痛がおこるのです。
筋肉の血流が悪くなって、老廃物が筋肉にたまり、筋肉や腱(筋肉と骨の付着部)の膜が異常に収縮すると起こります。原因はずばり、肉体的・精神的なストレスです。
いつ痛み出したのかは、偏頭痛と違ってはっきりしませんが、毎日のように起こるのでつらいものです。後頭部を中心にじわじわと締め付けられるような痛みと表現されます。ストレスが大きな原因なので、蓄積される午後から夕方になると、痛みが生じたり強くなったりします。身体がだるく疲れる、ふわふわする、めまいなどが起こる事もあります。
治療は、やはり消炎鎮痛剤が有効ですが、必要に応じて筋弛緩剤や循環改善薬・抗不安薬なども使われます。
ストレスが大きな原因ですが、夜寝ているときの食いしばりや歯ぎしりが原因の場合もあり、図のようなガード(ナイトガード)を装着して、睡眠してもらうのも効果的です。
寝ている時の歯ぎしりは、意識がありません。このため自覚している方はほとんどいませんが、朝起きた時、顎が疲れているという方もいます。また一緒に寝ている伴侶や、友人と旅行に行って指摘される方もいます。ただし、音のする歯ぎしりは1割程度で、9割は無音です。音がしないからといって安心はできません。
また、食事の時間が短い(早いスピードで強く咬んでいる)、スポーツなどで噛みしめることが多い。などの場合も原因になります。
また、生活習慣を変える工夫をすることも大切です。原因となるすストレスの軽減を図る(それが出来れば苦労しませんし、そもそも原因を自覚されない方のほうが多いです。)
適度な軽い運動、入浴、マッサージなどで筋肉をほぐしたり、身体をリラックスさせる、温泉や旅行もとても効果的です。
長時間同じ姿勢や、同じ作業を続けないことも気をつけて下さい。
群発頭痛
年に何回か、1~2カ月程度、期間を限って起こるものです。頭痛期間中は、毎日決まった時間(主に夜寝る時が多いようです)に痛みがはじまり、数時間つづき自然に消えるものです。20~40才の男性にやや多く、目の奥にキリで刺されたような痛みと表現する方もいます。
原因として、自律神経やホルモンの異常と考えられていますが特定はされていません。
目のすぐ後ろの血管が拡張することで起こるとされ、このため目が充血する、涙目になる、瞳孔が小さくなる、鼻がつまるなど目の周囲の症状が頭痛以外に起こることも多いです。
血管拡張予防薬が効果的とされ、また酸素吸入も効果的とされています。すべての頭痛にいえることですが、血管を拡張させ悪化させるので、アルコールはダメです。控えたほうが賢明です。
危険な頭痛
くも膜下出血 …… バットで殴られたような、いままで経験したことのない急性の激しい痛みが持続する(ちなみに学生の時、教授から習って、「へー 先生バットでなぐられたことあるんだ」と言ったら、「あるわけないだろ、昔からそう表現するんだ」と返されました。
髄膜炎 …… 後頭部に激しい痛み、うなじが硬くなり、発熱、はきけを伴う
慢性硬膜下血腫 …… マヒや尿失禁を伴う
さざえさん症候群
サザエさん 50年近くつづく高視聴率の長寿番組です。(サザエさんの視聴率が上がると景気が悪い、なぜなら日曜日に外出せずに自宅にいるからという経済指標にもなっています)
日曜日の終了を強く示唆される番組で「翌日からまた通学・仕事をしなければならない」という現実に直面して憂鬱になり、体調不良や倦怠感・頭痛がおこるのです。ブルーマンデー症候群 (Blue Monday) やウインターブルーなども頭痛や歯痛の原因になることも。
歯もそうですが、気持ちの持ちようが実は大きいのです。歯を守ってくれている唾液はストレスがかかれば、出が悪くなります。
精神的な健康は肉体的な健康のためにも、とても大切です。
「温泉でも行ったら」「プールで泳いできたら」「東京マラソン挑戦したら」「トマト栽培(家庭菜園してみたら)」、歯のトラブルの多い方に、良く助言します。歯を健康に保つコツは、楽しい、待ち遠しいイベントを作る事です。