心臓の病気(心疾患)は、日本人の死因の第4位です。心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)・心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)・胸部大動脈瘤(きょうぶだいどうみゃくりゅう)・心房細動(しんぼうさいどう・心筋梗塞・狭心症(しんきんこうそく・きょうしんしょう)などがあります。
心筋梗塞・狭心症(しんきんこうそく・きょうしんしょう)
心臓自体も頑強な筋肉(心筋)のかたまりです。強大なポンプ機能によって全身に血液を送っています。この心臓の筋肉への栄養や酸素供給を支えているのが冠動脈です。
心筋梗塞
冠動脈が完全にふさがり、心筋に血液が流れなくなった状態です。心筋が壊死し、かつては心筋梗塞を発病した人の1/3は1~2週間以内に死亡してしまいました。現在はCCU(冠状動脈集中治療室)が設置されたことで、死亡率は全患者の12~30%程度まで減少しました。
症状は
ある日突然、胸を激痛が襲います。
呼吸が苦しい・冷や汗・脂汗が出る・吐き気がする・胃が痛むなどの症状を呈することが多いです。突然感じる上半身や胸部の不快感、不安感を感じることがあればすぐに病院へ。
胸痛以外にも肩の痛みや歯の痛み・息切れなどの症状が出ることもあります。多彩な症状があるのが心筋梗塞の特徴です。
歯が痛い
心筋梗塞のひとつの症状で、歯に痛みが走ることがあります。胸痛のない心筋梗塞もあります。なんだか奥歯が痛いなと思ったのに歯医者で異常が見つからない場合もあります。浅草の歯医者さんはこういったことまで気をつけています。歯痛が治らなかったり繰り返されたりする場合には、歯以外に原因がないかも当然われわれ歯科医師は注意しています。
狭心症
冠動脈が完全にふさがる前の状態です。冠動脈の中は狭くなっていますが、血流が完全に途絶えていないために心筋の障害は血流が回復すれば元に戻ります。
症状は
運動をしたり、急に寒いところに移動した時など、心臓に負担がかかった場合に突然胸が痛くなる症状が一般的です。
呼吸が苦しい・冷や汗や脂汗が出る・吐き気がする・胃が痛むなどの症状を訴える人もいます。
これらの症状は一時的で、運動を中断するなど原因がなくなり心臓の負担を減らすと症状は改善します。
ただし狭心症は一歩進めば心筋梗塞になるため必ず病院で診察を受けましょう。
安定狭心症と不安定狭心症
安定狭心症とは、発作の起きる状況や強さ・持続時間などが類似しており、いつも一定の範囲内で治まるものをいいます。例えば運動をして心臓に負担がかかると胸痛が現れ、休んで心臓を落ち着かせると症状がなくなるものです。
このタイプの血管内部を調べると、動脈硬化によって血管内腔が狭くなってはいてもプラーク(コレステロールなどの固まり)が崩れにくくなっていることが多くあります。このため定期的な検査は必要ですが、急に心筋梗塞に移行する可能性は低いと考えられています。
一方、不安定狭心症とは発作の回数や強さが一定しておらず、以前は問題なかった軽い運動や安静時に発作が起きたり、持続時間が長くなったりする狭心症です。このタイプの冠動脈内部を調べると、血管内腔が狭くなっているのに加えてプラークが崩れやすい状態になっていたり、血栓ができやすかったり、血管のけいれんが起きやすくなっていることがあります。このため、近い将来に心筋梗塞へ進行する可能性が高く特に注意が必要です。
歯科診療時の注意
すいませんやっと本題です。
● 不安定狭心症・急性心筋梗塞(発作を起こしてから6ヶ月以内)では原則的に、観血処置は不可です。
● 内科の主治医とよく相談することが大切です。問い合わせを出します。
● 麻酔薬を使用する場合はアドレナリンなどの血管収縮薬を含んでいないものを使うことが安全ですが、主治医との相談が大切です。
● ニトログリセリンを念のため持っている方が多いので、歯の治療の時は持参してもらうこと。
起こりうる緊急事態と対応
● ニトログリセリンを舌下あるいはスプレーする。
● 酸素吸入やアスピリンの内服を行う。
● 症状が持続するような場合・重篤な場合、血圧低下や冷や汗などの症状を認めるような場合は緊急要請をする。