「老人福祉法 第二十条の五 特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。 」
です。老人福祉法で規定されていながら、介護保険法にも関係しているため、ただでさえわかりずらい法律用語がさらにわかりづらくなっています。簡単に言えば、
寝たきりや認知症などにより、常に介護が必要で自宅での介護が困難となった重度の介護状態の方を対象にした施設です。
入所できるのは原則以下の条件に合う方となります。
- 65歳以上(原則)
- 要介護3~5(原則)
- 伝染病などの疾患がない方
- 長期入院を必要としない方
■ 「有料老人ホーム」と「特別養護老人ホーム」の特徴と比較
有料老人ホーム (介護付・住宅型など) |
特別養護老人ホーム | |
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運営主体 | 民間企業が多い | 地方公共団体・社会福祉法人限定 |
目的 | 介護や食事などを受けながら生活をする施設 | 介護を受けるための施設 |
入居対象 | 自立の方から要支援・要介護の方までさまざま | 65歳以上の要介護3以上の方 |
問題点は | 即入居が可能な所もあるが費用負担が大きい | 費用負担が小さいことから、入居待機者が数百人の施設もあり、即入居は難しい |
費用(月額)のめやす | 月額20万円程度からさまざま | 介護保険の施設サービスを利用(1又は2割)、食費・日常生活費など計10~15万円程度 |
医療ケア | 最近では24時間看護職員の配置や、クリニック併設のホームもあるが、さまざま | 常時医療対応が必要な方などは対応が難しく、病気などで医療機関への入院が必要になった場合は退所の場合も |
2014年に厚生労働省が発表した「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」によると、特別養護老人ホームの入所待機者は52.4万人でした。
しかし、2016年4月から、新規に入所できるのは原則として要介護3以上の方になりました。その結果、要介護1~2の方が申し込みを取り下げるなどした影響もあり、待機者は減少傾向にあります。
ただ、待機者が減少したといっても、希望者全員が入所できるだけの数はありませんので、入所までに数か月から数年待つケースもあり、すぐに入所するのは難しいのが現状です。
入所できるかどうかは申し込み順ではなく、施設が定めた入所基準に基づいて、必要性の高い人から入所できることになっています。
入所を希望する施設があるのであれば、今空きがないからといってあきらめるのではなく、待機人数や待機期間など施設に確認したり、申し込みの手続きをしておくことが必要です。
特別養護老人ホームに入所できない場合、養護老人ホーム・軽費老人ホーム・グループホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などの選択肢があります。
特養の種類
定員が29人以下の特別養護老人ホームを地域密着型介護老人福祉施設といいます。
定員が30人以上の特別養護老人ホームは介護老人福祉施設とよびます。
特養で受けられる介護サービス
「基本方針並びに設備及び運営に関する基準」が厚生省令及び介護保険法によって定められています。
① 入浴 一週間に2回以上の入浴が義務付けられています
② 食事 調理方法など厳しく管理され、家庭と同等の時間に提供されます
③ リハビリ 残念ながら在宅復帰をめざすのは困難です。自分で食事ができる・自分でトイレに行けるなどの日常生活動作の機能を維持するためのリハビリが中心です
④ トイレ 歩行できる場合は極力トイレで、寝たきりの場合はベッド上で排せつ介助を行います。尿意や便意のない人には、定時でトイレに誘導したり、極力おむつを使わないケアが目標とされます。
⑤ 生活相談員の配置が義務付けられています。
特養でお亡くなりになる方も多いです
これまで入居者の容態が悪くなると医療機関に入院し最期を迎えることが多かったのですが、最近では本人や家族とともに、医師、看護職員、介護職員などが共同して、御本人や家族に説明、同意を得ながら慣れ親しんだ施設で最期を迎える「看取り介護」が主流になりつつあります。