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舌を噛む 原因と対策

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頬や舌を噛んで痛い思いをしてしまった。人のせいにもできず悔しいやら、その後の食事が美味しく感じられないやら、なんて運の悪い日なんだ。だれしも一度や二度の経験はあると思います。でも頻発するのはそれなりの原因があります。
まずは共通の簡単な対応法から。

食事の前に軽く歯を磨きましょう

運動会のサイズの競技は、ラジオ体操と相場がきまっています。口も同じです。食事の前に準備体操として、歯みがきを軽くしましょう。準備体操ですから、歯磨きペーストはいりません。手のひらで頬を軽くマッサージするのも効果的です。
TV(テレビ)は消しましょう。スマホをやりながらの食事もダメです。楽しく食事はよいですが、ある程度食事に集中しましょう。

ストレス

ライオンに襲われたガゼルは、もちろん逃げます。この時にゆっくり逃げていたのでは、捕って食べられて死んでしまいます。心拍数や呼吸数を上げ、筋肉にありったけの酸素を運び、筋肉をフルパワーで動かし逃げるのです。実はこの状態がストレスです。

位置についてヨーイどん

東京浅草に住んでいて、ライオンに襲われることなどありえません。それではストレスがないかというと、身の回りはストレスだらけです。運動会で徒競走した時の事を思い出してください。位置について「よーい」いったい何を用意するというのでしょう。実は息をすって、筋肉を緊張させて、これから始まる駆けっこの準備を用意するのです。
 この準備状態が、口腔内の筋肉(つまり舌)を緊張させるのです。
 ご自分の舌を鏡で見てみてください。舌の側面に歯の圧痕が付いていませんか?
もしついていれば、ストレスが体に重くのしかかっている証拠です。ある程度のストレスは必要ですが、過度にかかると緊張して動きがぎこちなくなるのは周知のことです。過度の緊張で舌と歯の連動した動きがなくなり、結果舌を噛んでしまいやすくなるのです。
噛む動きは脳に刺激を与え、ストレスを緩和する動作でもあるので、無意識的に対ストレス対応として噛んでしまう癖(くせ)が出ているひともいます。

スマホはやっぱりダメです

 PC(ノートパソコン)を使ってこの原稿を書いているのに、なんて矛盾したことを言っているのでしょう。電車に乗ったら前の座席に座っている人を見てみてください。7人掛けのイス全員がスマホをやっていたりします。その人たちの頬を見ると、緊張してピクピク動いていることが多いです。うーん、この人たち頬や舌がきずだらけじゃないかな、心配になります。ストレス解消のつもりのゲームがストレスになっていませんか?

自分なりのストレス解消を見つけてください

 運動と、笑うことって大切です。カラオケ、ハイキング、ダンス、水泳、お風呂、なんでもよいです。お酒、思いっきり食べる、たまにはよいですがたまにですよ。


ムシ歯を放置、不良補綴物(ほてつぶつ)

ムシ歯がひどくなってくると、崖崩れのように残っている歯質が破折してきます。鋭利な部分が生じ、舌が傷になりやすくなります。またムシ歯の穴などがあると、凍みたりするのを避けようとして、咬む位置がずれ、左右の咬むバランスが崩れて、やはり舌や頬を咬みやすくなります。
 派にかぶせた金属の冠などを、補綴物(ほてつぶつ)と言いますが、古くなったりすると適合が悪くなり、継ぎ目がささくれのようにとがってしまうことがあります。これも舌をきずにする原因になります。

対応法

歯科医院に行くのは怖いですが、浅草の歯医者さんはみんな優しいです。痛くないようにそっと上手に治療してくれます。ちょっと勇気をもって頑張りましょう。


口腔乾燥症(ドライマウス)

 一日1.5リットルも分泌されると言われている唾液(実は800cc 程度ではないかという説も、それでもけっこうな量です)。口の中だけでなく、ノドや食道の保護作用もあります。唾液が減ると逆流性食道炎の原因にもなると考えられています。舌や歯が協調してスムーズに動くのは、唾液のおかげです。エンジンのピストンとシリンダーの間に油がなければ、摩擦熱で焼きついてしまいます。口腔内が乾燥していれば同じことで、舌や頬を咬んでしまいやすくなります。

口腔乾燥症の原因

水分不足

唾液は耳下腺などの唾液腺が血液から水分をもらい、作られます。体の水分量が少なければ当然唾液にまわす水分の余裕がなくなります。

しゃべらない・しっかり食べない

頬の下にある耳下腺は、頬の筋肉が動くことにより刺激され、よく働きます。頬など噛む筋肉をしっかり動かすことが大切です。

過度の飲酒

アルコールを飲むと、アルコールを尿や汗と一緒に排出しようとする利尿作用が働きます。体内は脱水状態になりやすくなります。

肥満

男性=15‐19%・女性=20‐25%が適正な体脂肪率です。脂肪はいたるところにつきますが、頬にもたまります。頬の脂肪が唾液線を圧迫し、唾液腺の機能が低下します

鼻の病気

 鼻で呼吸ができないと、どうしても口呼吸になります。空気が行ったり来たりするのですから、当然のことながら、口腔粘膜は乾燥します。

全身的な病気

糖尿病 糖尿病により高血糖状態が続くと、血液のブドウ糖濃度が高くなり浸透圧が上がります。浸透圧の低い体内組織から血液中へ水分が引っ張られます。また糖を含んだ尿が大量に排出されるため体内が脱水状態になります。
くも膜下出血、脳出血、脳梗塞の後遺症・更年期障害・服用している薬による副作用・シェーグレン症候群なども原因になります。

洗口剤や口内炎の薬

マウスウォッシュと呼ばれる洗口剤にはアルコールが含まれているものも多く、刺激が強く唾液腺がショック状態になり、かえって唾液の分泌を抑制してしまうものが多くあります。

口腔乾燥症の対応法

 原因がはっきりしていれば、(たとえば飲酒を控えるなど)注意してください。年齢的変化でも唾液の分泌は低下してしまいます。
炭酸水・レモン水、果物の小片などを口に含む(冷凍した果物のシャーベットなども良いです)。
  味覚を刺激し唾液の分泌を促すのもとても有効です。ただしやりすぎると逆に口腔粘膜を荒らしてしまうことにつながるので注意してください。
 頬をに広く手のひらを当てて、円を描くように、1秒間に1回転程度のゆっくりとしたスピードで唾液腺をマッサージしてあげてください。1回30秒ぐらいでも充分ですので、一日数回行うと効果的です。

むくみ

朝起きて鏡を見ると顔がはれぼったい、夕方になると靴が窮屈になる。専門的には浮腫(ふしゅ)と言い、体の水分が異常に増加した状態です。舌や頬もむくみます。歯の両側には、舌と頬があるわけですから、そちらが出っ張ってくれば、歯にとっては邪魔で、噛んでしまいやすくなります。

むくみの原因

 舌を噛むのも不快ですが、むくみ(浮腫)の原因となっている病気が問題なのです。血行不良やリンパの流れが滞ると、体内の老廃物を回収・排出する液体の流れが滞ります。行き場のなくなった水分が、細胞と細胞の間にたまるため、むくみとして現れます。

むくみやすいのは

肥満(皮下脂肪が多い)の人

心臓に負担がかかり、血液の循環が悪くなって水分がたまりやすくなります。

筋肉量の少ない人

全身の筋肉(特にふくらはぎなど下半身)は、血管を圧迫したりゆるめたりして、心臓の働きを助けています。痩せすぎて筋肉の少ない人はこの力(ミルキングアクション)が働かず、意外な事にむくみやすいのです。

水分や塩分、飲酒量が多い人

水分や塩分を摂りすぎると、血管の中の水分が増えてむくみを引き起こします。アルコールは、血管を膨張させ動脈の血管の壁が水分を通しやすくなる作用があります。

水分不足の人

体内の水分が不足すると、静脈の血行が悪くなり、動脈から血管の外に出た水分を静脈が吸収できなくなります。それによって、皮膚と皮下組織内に水がたまり、むくみが起こります。体内の水分は多くても少なくてもまずいのです。

病気

心不全  (心臓のポンプ機能が何らかの原因で低下し、全身へ正常に血液を送れない状態)
腎臓障害 急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)やネフローゼ症候群
甲状腺機能低下症
 など、危険な病気の症状であることもあります。急激な体重増加(体重の10%以上)があったり、むくみが何日も続いたりする、体がだるい疲れやすいなどの症状がある場合は、歯医者ではなく内科です。できるだけ早く受診しましょう。

薬剤性浮腫

解熱鎮痛剤・降圧薬・糖尿病薬・漢方薬・中枢神経作用薬・抗生物質・抗がん剤など服用している薬の副作用で出る場合もあります。

むくみの対応法

睡眠

 むくみは、筋肉の疲労が回復し筋ポンプ作用が高まり、血行がよくなることで余分な水分を排出し、改善します。このためには、質のよい眠りはとても大切です。
 枕が高すぎたり低すぎたりすると、首が窮屈になって血流が滞ってしまいます。朝起きたときに首や肩がこっていたり、痛みがあったりする場合は、枕の高さが合っていない可能性もあります。
 足を15cmくらい高くして眠るのも効果的です。足を心臓より高くすることにより心臓に血液が戻りやすくなります。

飲酒を控える

食事のときに少量の食前酒などは、食欲を増進させたり、会話を弾ませたりでして悪いものではありません。しかし、

寝酒は寝つきをよくするどころか、睡眠の質を極めて低下させます。

アルコールそのものは眠くなる性質もありますが、アルコールが分解されたアセトアルデヒトは興奮作用があり、深い眠りを維持することができなくなります。アルコールを飲んでの睡眠は、浅い眠りが多くなり、質の悪い睡眠となります。 

入浴

ゆっくりお風呂につかることによって、血液の循環がよくなり、たまった老廃物が排出されやすくなります。また、お湯呂につかると水圧によってリンパの流れが改善されます。

塩分の多い食べ物を控える

塩分の多い食事は、血液濃度を薄めようとして、水分の過剰摂取につながり、むくみやすくなります。 塩分の多いファストフードやインスタント食品などはほどほどにして、バランスがよい食事を心がけてください。

適度な運動

運動をすると血流がよくなり、むくみ防止になります。持続的な運動習慣を持つことにより、全身の筋肉、特にふくらはぎの筋肉が増強されます。水泳・ハイキング・ジョギング・ウォーキングなど体を動かす趣味を持つことも大切です。


肥満や逆にたるみ

 「肥満」とはただ単に、体重が多いちいうだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。肥満は糖尿病や脂質代謝異常症・高血圧・心筋疾患などの生活習慣病を始めとして数多くの疾患のもととなるのはよくご存知のことと思います。脂肪肝など、肝臓に脂肪がたまりすぎるのはもちろん悪いのですが、頬にも脂肪がたまりやすいのです。
 ほっぺがぷくっとふくらんでいれば、逆に内側へも膨らみます。当然、歯との距離が近づき頬を咬みやすくなります。
 逆に、筋肉が落ちてしわしわの頬になるとだらんとなり、咬みやすくなります。

対応法

当然のことながら、肥満解消です。ただ注意しなければいけないのは、極度な食事制限は健康を害します。
糖質(炭水化物)の極端な制限を行うと、体はタンパク質を分解してブドウ糖を作ります。(意外な事に、脂質はエネルギーとして使いにくく、また、脂質をブドウ糖に変換する能力は人間の体にはありません)無理なダイエットは、筋肉など体の大事な組織が痩せ細っていきます。食事量を適切に守り、バランスの良い食事を食べ、適度な運動をすることで、月1キロぐらいずつ減量すれば、とても健康です。


危険な疾患

舌ガン

今や日本人の2人に1人がガンになる時代です。大腸、肺、胃がんがそれぞれ20パーセントをしめ、口腔内のガンは全ガンの2パーセント程度と多くはありせん。
 もともと漢字で書くと「癌」=「疒」+「嵒」。
「疒」とは、やまい・ダクと読み、意味は寝床に横たわる形の意味です。
「嵒」とは、がん・ゲン・いわと読み、意味は硬い塊が連なるの意味で、つまり内臓や筋肉などに硬い異性の腫れ物・腫瘍のことです。
やわらかい舌に、硬い異物ができるのですから、咬みやすくなるのは当然です。

逆にがんの原因ともされています

 口腔内のがんは数が多くないので、胃がんとピロリ菌のようにはっきりとした原因はつきとめられていません。
ただ、過度の繰り返される刺激により起こることもあるとされ、同じところを何年にもわたって咬んでしまいつづけるとがんの原因になるという説もあります。
口腔ガン検診も、当浅草田中歯科医院でおこなっています。口腔に関して疑問や不安があればなんなりとおたずねください。電話は03(3875)4182です。

おまけ

舌を噛むと死んじゃう?

俗説ではそう言われますが、歯医者として一度も見たことも、聞いたこともありません。確かに舌は血管が豊富で、深くキズにすればかなり出血します。この出血がノドにつまり窒息する可能性はゼロではありません。
でも舌には感覚神経が強くきているので、ちょっと噛んだだけでもかなり痛いですから、実際に自分で咬みきるのは激痛で不可能と考えられています。結論から言えば「死ぬこともありえる」という程度で、時代劇や小説などのなかの話だけです。

お気軽にお問合せ下さい TEL 03-3875-4182 受付時間9:00-19:00
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