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金属の味がする、金属味が気になる

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金属の味がする

 味覚障害はさまざまです。甘味、酸味、塩味、苦味、旨みが感じにくくなったり、渋味や金属味など異常な味を感じたり、自分が作った料理が甘すぎたり塩味が強すぎたり、料理の味つけがおかしく、家族や周囲の人が異常に気づくこともあります。
 ここでは「金属の味がする」「アルミホイルを噛んだ感じ」など、金属味にスポットをあてて考えていきたいと思います。

口腔内に装着されている金属

 歯科医院を初診でいらっしゃった方には、どのような治療がなされていたか記録します。かぶせ物や詰め物の装着状態も調べますが、乳幼児をのぞくと何らかの金属が装着されていることがほとんどです。

保険でよく使われる金属は

金銀パラジウム合金

 正式には「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」といいます。歯の詰め物(インレー)や、かぶせ物(クラウン)によく使われる健康保険適用の歯科金属の一つで俗称として「パラ」「金パラ」「キンパラ」「銀パラ」「12%金パラ」などと呼ばれます。
 金パラ製品の組成・成分としては、金12%、パラジウム20%、とJIS規格(JIS適合品)で定められており、銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなど数%が含まれ、メーカーによって多少の成分バランス・液相点・硬度など異なります。金とパラジウムの含有率に関しては、どちらのメーカーでも同一規格です。
 口腔内は水浸しですし、お酢やレモンなどの酸性の強い食べ物や飲み物も入ってきます。金属にとって過酷な環境です。たとえば銀だけではイオウなどに弱くすぐに黒変色してしまいます。本来、金の含有率が83%の20Kゴールドが口腔内に適しています(純金ならもっと良い気がしますが、やわらかすぎて強度がたりません)。自然の歯と比べてちょうど良い硬さ、また金属アレルギーを起こしにくい・辺縁封鎖性(継ぎ目に隙間ができにくい)などとても良い性質です。ただ貴金属でコストの問題から、保険では使用できません(自費診療になります)。

ちなみにパラジウムとは

パラジウム【palladium】原子番号46の元素。元素記号はPd(パラジウム:palladium) 
白金族元素の一つで、単体は銀白色の金属です。1803年にイギリスのウイリアム・ウォラストンによって発見され、【パラジウム】の名前の由来は前年に発見された惑星パラス (pallas)にちなんで【パラジウム:palladium】と呼ばれる様になりました。
 歯科金属材料の他、自動車部品(主に触媒)などの工業の分野でも使用されています。世界供給量がロシアと南アフリカ共和国の占める割合が85%以上もあり、経済情勢や政治情勢の変化で価格や相場が揺れやすいのがパラジウムの特徴です。ちなみに、パラジウムの消費は日本とアメリカで60%以上をしめています。毒性が弱いことから歯科でも使われますが、ジュエリーや宝飾品にもつかわれています。

銀合金

健康保険適応の金属です。銀を主成分とし、亜鉛、スズ、パラジウム、インジウム、イリジウムなどを含有しています。強度が弱く短期間で酸化、腐食し、黒色に変色します。

アマルガム合金

健康保険適応だった(過去形)金属です。水銀が含まれていますが、水俣病の原因となった有機水銀とは異なり銀などと強く結合し口腔内では安定です。高温に加熱すると水銀蒸気がでて危険ですが、それ以外は安全です。他にスズ、銅などを含有しています。健康保険適応でしたが、環境汚染の問題から、現在では使用されていません。

電池

 レモンの果実に亜鉛板と銅板を差し込むと電池ができます。ゆでたジャガイモに銅電極と亜鉛電極を差し込み、LEDを40日間も点灯させた実験もあります。アルカリ乾電池は、集電体にメッキ処理した真鍮棒を使用し、正極活物質に二酸化マンガン、負極活物質に亜鉛、電解液に苛性アルカリを使用した電池です。
 酸でもアルカリでも、電気を流す溶液に、2種類の金属を差し込むとその間に電気が流れるのです。

ガルバニー電流

これと同じ原理で、口腔内も唾液という溶液の中に、2種類以上の金属が入っているとその間に電気が流れる可能性があります。アルミホイルを噛んだり、スプーンなどの金属が歯に触れたときに、ビリッとした嫌な刺激があった経験はあると思います。
これが、口腔内の金属味の正体です。
 でもそれなら、口腔内に金属を入れた人全員が、金属味を感じているはすです。
普通は気にならないのは、電池の力(起電力)がとても小さいからです。
電池の力は、正極と負極の金属のイオン化傾向の差できまります。イオン化傾向は高校でならっているはずですが、標準電極電位は、リチウム Li -3.04 が最強です(だからリチウム電池)。銅 Cu +0.342 ・水銀 Hg +0.851 ・銀 Ag +0.800 ・白金 Pt +1.118・ 金 Au +1.498 と口腔内で使われる金属は、イオン化傾向が小さい、つまり陽イオンになりにくい→電子を放出しにくい→酸化されにくい→さびにくいです(だから口腔内で利用されます)。
それほど強い電気が流れるとは考えにくいのです。

コバルトやニッケル


 ただ、口腔内に使用される金属には、コバルトやニッケルもあり、こちらの標準電極電位は、コバルト Co -0.28 ・ニッケル Ni -0.257 と大きいので、上記の金属と、ちゃんぽんに装着されている場合は注意するべきかもしれません。これらの金属は金属アレルギーを起こしやすいことでもしれれており、そちらの点からも注意が必要かもしれません。


唾液(つば)の性状変化が原因?


 装着されている金属は同じですから、溶液である唾液が変化することが原因であるとの考えかたもあります。特に歯科では口腔内のpH変化が原因と考える傾向があります。

口腔内のpHの低下


 酸アルカリをあらわす単位にpHがあります。pH7が中性で、8はアルカリが10倍強い9は100倍強くなります。逆に6は酸性が10倍強く、5は100倍強く、4は1,000倍強いことをあらわします。
人間の口の中のpHは、平均で5.5~8.0の間で変化します。唾液の分泌量がさかんな時は、弱アルカリ性で、少ない時は弱酸性になります。ちなみに歯はpH5.7を下回ると溶け出します。唾液は、正常な状態では、ほぼ中性ですが、疲労、寝不足、夏ばてなど体力が低下したりすると、アルカリ性を保てずに、酸性に傾いていきます。
 また、口腔内の細菌が、砂糖やでんぷんを利用して酸をだすため、口腔内の歯垢(しこう=ばい菌のかたまり)が多いほど、酸性に傾きやすくなります。
 炭酸飲料やスポーツドリンク、りんごなどの果物、ドレッシングなども意外と酸度が強いです。

でも、酸性になるから、口腔内金属はさびるはウソです


 酸性とは酸素とも酸化とも関連性がありません。水中の水素イオン濃度が高いと言うこととだけです。錆びるというのは、金属が酸化を受けてその酸化物が表面に付着している状態です。
ためしに鉄の釘(ステンレスはダメ)をpH7(中性)とpH5(酸性)の溶液につけると、中性の水のほうがひどくさびます。pH5でもさびているのですが、さびが鉄の表面にたまる前に水に溶けてしまっているからさびないのです。塩酸の中に鉄を入れると酸化して水素のアブクがいっぱいでてきますが、鉄はさびません。水に溶けている酸素と鉄が反応して酸化物がどんどん水にとけていってしまっていると言うことです。口腔内の金属がピカピカでも、唾液に金属の酸化物が溶け出している可能性もあります。たとえば10円玉は銅製ですが、レモンにつけると酸化膜がとれてピカピカになります。でも確実に溶け出ているのです。

結局、電流により金属味がするのか金属が溶けているのかわかりませんが原因かも?


 水道水でも、金属味がすることがあります。水道水が給水管の中に長い時間滞留している間に、管の各種の臭いが水についてしまうことがあります。
給水管に鋼管や鉄管を使用している場合は金属臭がします。硬質塩化ビニル管の場合は、樹脂のような臭いがします。特に、新築や給水管の取り替え時等、管が新しいうちは、より強く臭いを感じます。
 口腔内の味覚が正常、あるいは絶対音感のように、よりすぐれた感覚をもっているのかもしれません。私も歯医者仲間で、ミネラルウオーターを10種類ほど並べて、味比べをしたことがありますが、どれも同じようでまったくわかりませんでした。

病的で注意が必要な場合


腎臓病


腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分をこしとって、尿をつくる臓器です。腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が壊されて、腎臓の働きが悪くなる病気です。腎臓病にはさまざまな種類があり、それぞれの原因や症状も異なります。腎臓病が進行して腎臓の働きが弱くなると腎不全になります。腎不全には、急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる慢性腎不全があります。
 急性腎不全では通常、尿の出が悪くなったり、全く出なくなったりします。
慢性腎不全では腎機能の低下の程度が軽い間はほとんど症状がありませんが、腎機能がかなり低下してくると尿の量が増える(特に夜間)、目のまわりや足のむくみ、疲れやすい、食欲がない、息切れがする、皮膚がかゆいなどの症状が出てきます。
病気が進行すると、夜間尿、貧血、倦怠感、むくみ(浮腫)、息切れなどの症状が現れてきます。これらの症状が自覚されるときには、かなり腎臓の病気が進行している場合が多いです。体調の変化に気をつけているだけでは、早期発見は難しく、早期発見のためには、定期的な検査が必要です。0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)があったり、糸球体濾過量 GFR(eGFR)が60(ml/分/1.73m2)未満に低下している状態が3ヶ月以上続くと、慢性腎臓病(chronic kidney disease=CKD)と定義されます。eGFRは正常では90ありますが、15未満になると透析が必要になります。腎不全になると、体内の老廃物を尿中に排泄できなくなって血液中に有害な物質が多くなり、尿毒症という状態になります。だるさ、吐き気、食欲不振、頭痛などのほか、呼吸困難感、出血症状などのさまざまな症状が出ます。

尿毒症の口腔内症状


尿臭、歯肉出血、味覚異常、金属様の味を起こすことがあります。

亜鉛欠乏性味覚障害


味覚は、舌や上顎、のどの奥などに存在する味蕾(みらい)の味覚細胞がになっています。味覚細胞は10日ほどしか寿命がなく、常に新しく生まれ変わっています。このときに亜鉛が必要です。このため亜鉛が不足すると、新しい味覚細胞が生まれにくくなり、味覚異常を生じます。
また、亜鉛が不足すると口内炎もできやすくなります。

亜鉛を多く含む食品


牡蠣13.2 mg 牛肩ロース5.6 mgなどですが、1日の必要量は男性10mg・女性8mgですので、通常の食事での不足は考えにくいです。ただ亜鉛の腸管からの吸収率は20~40%程度といわれており、吸収率そのものは高くありません。ビタミンCが豊富な柑橘類と一緒に食べると吸収率がよくなるので、バランスの良い食事が大切です。
亜鉛不足をおこす原因

食べ物の中には、亜鉛の吸収を妨げるものがあります。コーヒー、オレンジジュース、カルシウム、穀類・豆類に多く含まれる「フィチン酸」があります。 通常の摂取であれば気にすることはありませんが、過剰に摂ることにより、亜鉛不足になるおそれがあります。
 肝臓病、腸炎などは、腸からの亜鉛の吸収がうまくいかず亜鉛不足になりやすくなります。
 糖尿病、腎臓病、透析を受けている人は、亜鉛の排泄が増加し、亜鉛不足が起きやすくなります。
 関節リウマチ、パーキンソン病、痛風、糖尿病、不眠症、うつ病、てんかん等薬の中に、亜鉛の排泄を促進する場合があります。長期間服用により亜鉛不足になる可能性があります。また抗生物質は長期の服用により吸収阻害がおこります。
 ご高齢の方も、食自体が細くなり、消化吸収する力も弱くなるため、亜鉛の吸収不全が起きやすくなります。
 若くても、スポーツを激しく行う方は、汗からの亜鉛の漏出が増え、亜鉛の需要増大になり、不足しがちになります。

亜鉛不足の全身症状


貧血がひどい
風邪にかかりやすい
床ずれに悩む
脱毛による悩み
などもあります。

関節リウマチなどの自己免疫疾患・膠原病


自己免疫疾患(autoimmune disease)とは、本来ならば体内に入ってきた異物を認識・排除するための役割を持つ免疫系が、何らかの原因により、自分自身の細胞やタンパク質を異物と認識して攻撃してしまうことで症状を起こす疾患の総称です。
自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、慢性甲状腺炎、バセドウ病、悪性貧血、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、インスリン依存症糖尿病、膠原病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群など数多くあります。

シェーグレン症候群


涙腺、唾液腺をはじめとする全身の外分泌腺に慢性的に炎症が起こり、外分泌腺が破壊されてドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現する病気です。日本での患者数は約7万人とされており、女性に多く、主な発症年齢は40~60歳代です。
 唾液腺が破壊されていしまい、唾液の分泌量が減少するため、口が乾く、口がネバネバするといった口腔乾燥感があらわれます。口腔内の痛み、味覚異常などの症状もあらわれます。また、唾液が減少するため、むし歯や歯周病がおこりやすくなります。

膠原病


 病気は、心臓病とか肝臓病とか特定の臓器の疾患ととられられていますた。しかし多数の臓器が同時に障害され、どの臓器が病変の中心であるのかを特定する事が出来ない病気もあります。全身の「結合組織」が病変の主役であり、このような病気を「膠原病」と呼んでいます。
 全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、強皮症、皮膚筋炎および多発性筋炎、結節性多発性動脈周囲炎、関節リウマチの6つが膠原病と呼ばれていましたが、現在ではこれらの疾患に加えて、シェーグレン症候群、混合性結合組織病(MCTD)、多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・シュトラウス症候群)、顕微鏡的多発血管炎、高安動脈炎(大動脈炎症候群)、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、リウマチ性多発筋痛症、好酸球性筋膜炎、成人スティル病、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、再発性多発軟骨炎、ベーチェット病、サルコイドーシスなども加えられています。

はじめから膠原病を疑うのはまれです


 台東区周辺では、三井記念病院が膠原病治療に力を入れています。ただ患者さんご自身が、はじめから膠原病かもしれないと思い、膠原病科を受診することは皆無です。つらい症状に対して、内科、整形外科、皮膚科、眼科、精神科、心療内科そして歯科とほぼ全ての科を受診され、それまでの病歴を注意深く聞いてくれる先生のところで、「ちょっと膠原病っぽいかな?」と思われ専門病院を紹介されるケースがほとんどです。

膠原病を疑う所見


● 膝関節・足関節・中足指節関節を押して圧痛
● 唾液腺の圧痛
● 手足のむくみ
● 手の指全体が腫れている、どこを押さえても痛い
● 膝から下の足に皮湿や浮腫
● 膝が痛い
● 顔に蝶の形のような紅班
● 脱毛や前頭部の毛が細くなり折れやすい
● 手掌紅班
● 爪乾癬
● マフラーやショールを覆ったように首の周りに紅班
● 朝からだがこわばって30分以上続く
● 近親者に関節リウマチの人がいる

早期発見早期治療が大切


 つい最近までは、膠原病の治療はステロイド(副腎皮質ホルモン)と消炎鎮痛剤のみでした。
現在は、種々の免疫抑制剤などが次々に開発され、治療の進歩が著しくなっています。
しかしリウマチなどは関節に障害が出る前に治療を開始(自覚症状のないうちから)するのが大切です。

口腔内所見も多くあります


 上記のシェーグレン症候群は、口腔内所見は顕著ですが、他の膠原病でも、口腔潰瘍・口内炎・唾液分泌低下・味覚障害などのさまざまな口腔内の症状が見られることがあります。

まとめ


「金属の味がする」当然口腔内に原因がある(たとえば金属の詰め物の下に虫歯が再発)場合がほとんどですが、なかには、上記のような「全身疾患の一症状」の場合もあり、当歯科医院でなくても台東区内の歯医者さんでしたら、どこでも大丈夫です。一度相談してみてください。

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