カルシウムを意識するのはなぜ？
カルシウムは食品により含有量に大きく差があります。また吸収率が悪い栄養素です。このため心がけてカルシウムの多い食品を選ばないと知らず知らずのうちに不足してしまいます。
日本の水は軟水でカルシウムの含有率が低いことや、伝統的な和食には乳製品が少ないことなども原因で、推奨される７００㎎の摂取量におよばず、知らず知らずのうちに不足してしまいやすいのです。
カルシウムを多く含む食品
ごまや煮干し、バルメザンチーズなどは1000㎎を超えます。干しエビにいたっては7000㎎もあります。ただし「食品の栄養成分の含有量は可食部100gあたり」での表示になります。ごま100g食べられますか？そういった点を考慮すると、優等生はやはり乳製品になります。
乳製品
牛乳をはじめとする乳製品はカルシウムを多く含みそして吸収率もよいので、とても効率よくカルシウムを摂取できます。
体内に吸収するのが難しいカルシウムですが、牛乳は、カルシウムとリンのバランスが、カルシウムの吸収に理想的であるほか、乳糖やカゼインホスホペプチド（CPP）の作用により、４０％が吸収できます。
大豆食品
タンパク質も多く含みぜひ、食事にふんだんにとりいれてほしい食品です。
豆乳は各メーカーによりかなり異なります。上記表はキッコーマンの豆乳のデータです。
豆腐の大きさは地域によってさまざまで、一丁、二丁という単位も幅があります。東京では一丁は300～350gが多く、地方になると若干大きめの350～400g、沖縄は一丁1kgが一般的です。
豆腐の搾りかすであるおからもカルシウム量は多く、100ｇで81㎎含まれます。
魚介類
骨ごと食べる魚には多く含まれます。ただし乳製品の吸収率に比べて低く３３％ぐらいです。
エビのシッポはキチン質という動物性食物繊維です。不良の続く由比ヶ浜の桜エビは素干しで2000㎎(100gあたり）というすごいカルシウムなのもうなずけます。エビのしっぽにはこの他カルシウムやアスタキサンチンも多く含まれます。ただし酸に溶けにくいので消化されずにそのまま排出されはたして吸収されているのかどうか。消化機能が低下して便の排出が上手くいかない高齢者は、消化不良を起こす可能性、最悪の場合、胃の内壁を傷つけるリスクもあります。
野菜
チンゲンサイ (カルシウム100mg)
オクラ (カルシウム92mg)
ケール (カルシウム220mg)
それぞれ、１００ｇあたりの量になあります。野菜を大量に食べるのはなかなか難しいです。また野采からのカルシウムの吸収率はあまりよくなく、１９％程度と牛乳の半分しかありません。多くが便として排泄されてしまいます。
ただ、栄養はカルシウムだけでなくバランス良く適量摂取することが必要ですから、不足しがちな野菜の摂取を心がけることは大切です。
過剰摂取
厚生労働省では、カルシウム摂取量の上限値を2300ミリグラムと決めています。 健康であれば、通常の食事からカルシウムを過剰に摂取しても健康障害が発生することは稀です。多く食べすぎると吸収率が落ちます。ただ便秘を起こしやすいという報告もあります。
カルシウムのサプリメントには要注意
サプリメントなどによる過剰摂取では、泌尿器系結石、ミルクアルカリ症候群（悪心、嘔吐、中枢神経障害など）、他のミネラルの吸収抑制（カルシウムの過剰摂取により、マグネシウムやリン酸などの吸収が妨げられる）などが起こることがあります。
食事から十分な量のカルシウムを摂取すると、心筋梗塞リスクが低下するのですが、カルシウムの大量過剰摂取は、むしろ心筋梗塞を発症する危険性が上昇します。
2,300mgに上限値が決められているのも上記のような理由からです。ただこれだけの大変な量を毎日食事から摂取しているというの考えにくいです。所要量の4倍以上です。牛乳だけでとると2リットルにもなります。
牛乳や乳製品を摂取すると骨粗鬆症になりやすい？
「牛乳や乳製品が骨粗鬆症の原因になる」という情報は、科学的なデータに基づかない意見です。2002年に行われた厚生労働省科学研究により、牛乳や乳製品の摂取量を増やすと小児期には骨量の増加に役立ち、中高年期の女性の場合は閉経後の骨量減少を抑えるという検証結果が報告されています。
離乳期を過ぎると牛乳にふくまれる乳糖を分解する能力は低下します。重症の場合は、乳糖不耐症と呼びますが、牛乳を温めて、少しずつゆっくり飲めば大丈夫なケースが多いです。まあ嫌いな物を無理して飲む必要はありません。ヨーグルトも同量のカルシウム含有しています。
