米国国立科学アカデミーは1996年、プライマリーケアとは「患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」としています。
専門医療への反省
医療の急速な進歩の発達に伴い、医療の高度化が進みました。例を挙げると内科も、血液内科・循環器内科などさらに細分化されています。医療内容が高度になったことは大変素晴らしいことですが、それぞれの診療科で特定の病気だけを見るという 「木を見て森を見ず」ことへの反省が考えられるようになりました。
ホームドクター
風邪や心の痛みから予防接種の相談などまで幅広く対応し、必要な場合には最適な専門医を紹介してくれる総合診療、つまり、どんな病気のことでも相談出来る身近なお医者さん(ホームドクター)が患者さん1人を一人の人間としてとらえることです。
歯科医療でも重要です
歯医者にとっても重要な考え方です。歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることに他なりません。
自覚症状があり、1回叩きを治療するのではなく、口腔全体を一つの問題ととらえ、歯科検診や口腔ケアを行うことも大切です。歯医者で、糖尿病など全身的な病気を疑い、近くの内科の先生に相談することも多くあります。
ゆりかごから墓場まで
ゆりかごどころか、お母さんのお腹の中にいる時から、顎の発育は始まっています。生まれてすぐは歯がありませんが、お母さんのおっぱいを吸うことにより、顎の発達が進んでいくのです。また、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中はバイ菌はいませんが、周りの大人たちのバイ菌が感染し住みついていきます。お母さんの口腔内のバイ菌の質がよければ、赤ちゃんの口腔内のバイ菌の質も良いものとなります。
そして、年をとり、できれば死ぬまでご自分の歯で食べて欲しいところです(8020運動 80歳で20本歯を残そうという運動です、最近では、9020)。
お亡くなりになるその日まで、きちんと食事を取れる。これが我々浅草の歯医者の夢です。
近くの歯医者
物理的な距離ではありません。ご自身にとって通いやすいかどうかも大きな問題です。何でも相談出来る、身近な歯科医院をぜひ見つけてください。歯のことだけではなく、全身についての知識と理解を持っている歯医者は、心強いです。
浅草の歯医者も、積極的に訪問診療を行うなど、歯科ホームドクターとして皆頑張っています。
自覚症状がなくてもぜひ歯医者へ
インフルエンザのように、病気になるとすぐ自覚症状が表れるものもあります。ただ、肝臓の病気やガンなどもそうですが、自覚症状がなかなか出ない病気も多いです。
歯周病をはじめとする口腔内の病気は、なかなか症状が出にくい病気の一つです。自分で大丈夫と思っていても、大丈夫ではありません。歯の健康を守るためには、定期的な近くの歯医者さんへの受診が肝心です。