定義がばらばらです
薬の保存について室温保存とか、具体的な温度が記載されていなくて、よく考えるとよくわからないことがあります。歯医者や内科でもらった薬の保管方法がわからず困ったことがあるのではないですか。
室温(しつおん)とは、部屋など屋内の温度のことです。
常温(じょうおん)とは、常に一定した温度、特に冷やしたり熱したりしない温度、平常の温度、一年中の平常の温度などを表します。国語の問題としてはこれでOKなのですが、
規格によってばらばらで、日本薬局方・日本工業規格(JIS)・微生物学などで異なるのでやっかいです。
各規格による常温の定義
JIS(日本工業規格)
日本工業規格では「常温」を「20℃±15℃」の範囲として規定されています。つまり 5~35℃の範囲ということです。(JIS Z 8703)
多くの日本の工業、生活用品、食料などのほとんどの製品や商品の規格や規則などはこの温度範囲を常温としています。湿度に対しては相対湿度45-85%の範囲を常湿(じょうしつ)と言います。
また、常温保存の食品では「冬季15℃、夏季25℃を常温として賞味期限を設定」など、個別に表記している場合もあります。
ただしJISのなかにもJIS K 0050:2005という化学分析方法通則では 15~25°Cとなっています。
ちなみに、食品に要冷蔵と記載がある場合には、食品衛生法では10℃以下。一般に冷蔵庫の設定は大体0℃~10℃以下です。ちなみに食品衛生法の冷凍の規定は -15℃以下です。
ただ、食品衛生法では、常温に対しては明確な温度の規定はありません(JASでも)。ただ食品添加物の通則の項目では15℃~25℃となっています。
厚生労働省
厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」で「常温とは、外気温を超えない温度」と規定されています。
細菌学
微生物学(細菌学)では常温をほぼ25℃とされています。
局方
このように、定義がバラバラです。最近は何度というように具体的に記載されることも多くなっています。
薬に関しては、日本薬局方の通則第15項で決められていますので、薬剤師や医師、歯科医師はこれにそって患者さんに説明します。
標準温度は、20℃
常温は、15~25℃
室温は、1~30℃
微温は、30~40℃
冷所は、1~15℃の場所とする
と定義されています。
日本薬局方
「日本薬局方」とは、薬事法に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るために厚生労働大臣が定め、公示しているものです。医薬品を扱うときの基準となるもので、上記の他に様々な規定が定められています。
水温についても定義されていて、冷水は10℃以下、微温湯は30~40℃、温湯は60~70℃、熱湯は100℃の水です(通則第15項) 。