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歯科治療の時に注意が必要な病気・症状 (腎臓病)

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腎臓は、背中側の腰のやや上部に左右1つずつあります。ソラマメのような形をしており握りこぶしほどの大きさで、重さは1個150gほどの臓器です。
腎臓1個の中には約100万個のネフロン(糸球体と尿細管)とよばれる血液の濾過装置があり、心臓から送り出されてきた血液を濾過します。血液から濾し出された老廃物は膀胱にためられ尿として排出されます。

腎臓の働き
体液の調節 尿を多くしたり少なくしたりして、体内の水分量を一定に保つ
老廃物の排泄 老廃物を尿として排泄
.電解質の調節 電解質(Na・Ca・K・Pなど)の濃度や量を調整する
酸塩基の調節 血液を弱アルカリ性に保つ
.ビタミンDの活性化 ビタミンDは腎臓で最終的に活性化され、活性型ビタミンDとなる
エリスロポエチンの分泌 赤血球の産生を促すエリスロポエチンを分泌する
.レニンの分泌 血圧を調整するホルモンであるレニンを分泌する
このため、腎臓の機能が低下するとさまざまな障害が発現します

•むくみ(浮腫)・高血圧・低ナトリウム血症・肺水腫
•尿毒症(食欲低下・吐き気・嘔吐・意識混濁・けいれん)
•高カリウム血症・高リン血症
•血液のpHが不安定・呼吸が速くなったり、電解質バランスが崩れる
•ホルモン異常・貧血・骨粗しょう症・高血圧

 腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が冒されることで腎臓の働きが悪くなる病気です。腎臓病にはさまざまな種類があり、それぞれの原因や症状も異なります。

慢性腎不全

 腎不全には、急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる慢性腎不全があります。急性腎不全は、適切な治療を行って原因を取り除くことができれば腎臓の機能が回復する可能性があります。
 しかし慢性腎不全では腎不全の進行に伴って腎臓の機能が徐々に失われ、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。

慢性腎臓病(chronic kidney disease=CKD)

 原因はさまざまですが、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)や慢性腎炎が代表的でメタボリックシンドロームとの関連も深いと考えられています。日本での患者数は約1,330万人です。

症状は

 初期は自覚症状がありません。これが怖いところです。病気が進行すると夜間尿・貧血・倦怠感・むくみ(浮腫)・息切れなどの症状が現れてきますが、症状が自覚される時にはすでにCKDがかなり進行しています。体調の変化に気をつけているだけでは早期発見は難しいのがこの病気の特徴です。早期発見のためには定期的な検査が有効です。腎臓の働き(腎機能)の指標はGFR(糸球体濾過量)で表されます。

慢性腎臓病の診断

 尿検査・画像診断・血液検査・病理などで腎障害の存在が明らかで、特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)がある。または
糸球体濾過量(GFR)<60ml/分/1.73m2
 (推算糸球体濾過量(eGFR)は、どれくらい腎臓に老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の機能が悪いです。)

歯科治療時の注意点

● 腎性高血圧を併発している場合が多く、高血圧に対する注意をおこたらない(血圧を上昇させることは極力避ける。麻酔薬に添加されているエピネフリン・ストレスに注意する・処置前に精神神経安定剤を使用するのも有効です)。
● 慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群では、副腎皮質ステロイド剤を服用していることが多く副腎不全を起こしている可能性に注意する。歯科治療時にストレスを与えないようにし術前に主治医と相談し、必要ならステロイド剤の増量投与を行う。
● ネフローゼ症候群は低蛋白血症が起こりやすく、傷が治りにくいので注意する。抜歯などの治癒不全などを起こしやすい。アミノ酸製剤などの服用も主治医と相談することもあります。

歯科治療時の投薬の注意

リスクの高い薬剤

 薬剤には、そのものの作用が腎障害につながるものが多いので注意が必要です。
抗生物質=アミノ配糖体:ゲンタマイシン・ストレプトマイシンはハイリスクです。
  ・セフェム系抗生剤と利尿剤との併用は原則禁忌.
鎮痛剤 = フェナセチン系鎮痛剤は、間質性腎障のリスクが高いです。

比較的安全に使える薬剤

抗生物質= マクロライド系:エリスロマイシン・ジョサマイシン・クラリス等
鎮痛剤 = ジクロフェナクナトリウム・ロキソプロフェン(ロキソニン)

腎透析患者への注意

● 内科の先生から、腎障害の程度や病状の安定度・原因疾患・合併症・治療内容などを確認し、治療内容を共有することが大切です。
● 病状が不安定な場合は歯科治療を避ける。
● 歯科治療に伴う出血が心配される時には、透析施設に連絡してヘパリンの量を調節してもらったり、フサンを使用した透析に変更してもらう。
● 歯科治療は透析翌日が最適です。透析直後(6時間以内)は避けるべきです。
● 肝炎や高血圧・貧血など合併症を持っている場合が多いので注意する。
● 血圧測定や静脈注射をする場合、シャント側は避ける。
● 感染しやすいので注意する。必要に応じて抗菌薬を予防投与する。ただし、腎機能に対する投薬の交流を忘れないこと。
● 透析患者は血圧が変動しやすいので注意をする。

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