人体最大の臓器は、肝臓といわれていますが、重さは1㎏程度です。それよりも大きな器官は、皮膚ですがそれでも3㎏程度です。実は最大の器官は、筋肉なのです。男性で体重の45%、女性は体重の36%をしめる最大の臓器です。
筋肉が、臓器?。体重を支え、手足や身体を動かすための器官としか考えられませんが、筋肉には驚くほどの内臓的な、健康に直結する働きがあります。
免疫力が向上します
筋肉は、体温の40%以上を産生する人体最大の産熱器官です。体温が平熱より一度低下すると、免疫力が30%以上低下してしまいます。逆に体温が一度上昇すると、免疫力は5倍になるといわれています。
寒いところにいて、手が冷たくなり、かじかんでしまうのと同じです。白血球がかじかんでしまい活動できなくなるのです。ジョギングなどスポーツや、入浴などで汗が出はじめた時が、ちょうど体温一度上昇した状態です。
血行促進作用があります
ミルキングアクション(milkingaction 乳搾り効果)
全身の血液は、心臓から送られて、また心臓に戻るというように循環しています。 上半身の血液は比較的容易に心臓へ戻っていきますが、下半身の血液は地球に引っ張られる、つまり重力の抵抗を受けながら上へ上がっていかなければいけません。 心臓だけで下半身の血液を引っ張り上げるのは、結構な負担になってしまいます。
太ももやふくらはぎの筋肉が心臓を助けています。心臓が収縮し血液を送り出す時には弛緩(ゆるむ)し、逆に心臓が弛緩し血液を戻そうとする時は、筋肉が収縮して、筋肉内の血液を押し出しています。牛の乳を搾るときと同じなので、乳搾り効果と呼ばれています。
この効果があらわれるのは、筋肉を良く動かしている人の特権です。
心臓病や高血圧の予防になります
心臓は、筋肉が助けてくれるのでらくちんです。血液の流れがスムーズになりますから、血圧も安定します。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)・歯周病・糖尿病の予報・改善になります
全身の血流が良好になるので、当然、骨への血流も良くなります。また筋肉は骨を動かしているので、骨もうかうかしていられません。骨も強化されます。歯周病は、顎の歯を支えている骨の弱体化ですから、骨粗鬆症ともいう事ができます。歯の健康とも関係が深いのです。
筋肉を動かすためには、エネルギー源が必要です。ブドウ糖を、血中から筋肉に取り込み燃焼しますので、インスリンを使わなくても血糖値が低下します。インスリンを無駄使いしないので、糖尿病の予防・改善に効果的なのです。糖尿病は歯周病の原因の一つですから、歯周病も改善します。身体は一つなのです。
認知症の予防にもなります
全身の血流が良くなるのですから、脳への血流も良好になります。特に記憶をつかさどる脳の海馬への血流が良くなるので、記憶力の増加にもつながります。
ガン予防になります
身体を動かすと、身体をよじるような動きがでます。お腹がねじられるので、中の胃腸にも力がかかります。腸が自ら動く蠕動運動(ぜんどううんどう)だけでなく、身体を動かす筋肉からも、動かされるので、胃腸の働きが良くなります。また発がん物質の腸内停滞時間が短くなり、胃ガンや大腸ガンの発生が低下するのです。
免疫をつかさどる細胞の中には、ガン細胞を攻撃する、ナチュラルキラーT細胞(NK細胞)という特殊な白血球がいます。この細胞が運動により活性化することがわかっています。
健康な人でも一日5000個程度は異常な細胞が生まれています。NK細胞がこの異常な細胞を破壊してくれるので、ガンにならないですむのです。
精神面にも多大な効果があります
実は、運動をすることは脳や精神をも鍛えるのです。運動をすると気持ちが前向きになり、ストレスが軽減されます。うつ病の方は薬よりも運動をする方が効果的とも言われます。
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肩こりや腰の痛みなどの軽減につながります
関節は、二つの骨が組み合わさっていますが、筋肉が強くなると、骨同士がぶつかるのをふせいでくれます。骨や関節への負担を軽減させ、関節の機能を高めてくれるのです。
歯周病の予防、治療に重要です
繰り返しになりますが、糖尿病→歯周病の関連性、免疫力の増加、骨の強化、により歯周病に対しても良好な効果をもたらします。
横浜マラソン
体重の40パーセントも占める筋肉を鍛えずして健康などありえません。
その筋肉の70%は、おへそより下の下半身に存在しますので、下半身の筋肉を動かす、鍛えることが、筋肉運動の効果を得るためにとても重要になります。
近くの歯科医院の先生も、自分自身のためになにかしら運動をしてます。歯医者さんにどんな運動が良いかを、聞いてみるのもよいでしょう。
ちなみに私(浅草田中歯科院長)は、水泳とジョギング(日医ジョガーズ会員・日本陸上競技連盟会員)を日課にしています。なるべく月一回はハイキングにでかけてます。