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甘酒で歯周病予防

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 甘酒の美味しい季節になってきました。さて今の季節はいつでしょう。
江戸時代には「甘い、甘い あまーざけっ」と天秤棒をかついで甘酒を売り歩く甘酒屋が、 夏場の風物誌でした。実は甘酒は夏の季語。もちろん寒い冬に飲むのも素敵です。
 甘いので、虫歯になるから、甘酒なんか飲んでいると、歯医者さんに叱られると思ったら大間違い。飲む点滴ともいわれる、健康増進に役立つ素晴らしい飲み物です。
 ちょっとややこしいことに、甘酒には、ニ種類あります。日本酒を作るときに出来る搾りカスである酒粕に砂糖を加えたもの・米麹を発酵させたものの二つです。どちらも優れた飲み物ですが、とりあえず、米麹を発酵させたほうの甘酒のお話。

飲む点滴ともいわれます

ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6などのビタミンB群や、アミノ酸、オリゴ糖などを豊富に含んでいます。麹菌(こうじきん)によりでんぷん質が糖化されブドウ糖になっています。100g中のブドウ糖の量は18gも含まれているので甘いのです。
お米もパンもじゃがいももデンプンが主成分です。ブドウ糖が鎖のように長くつながったものがデンプンです。食べたデンプンは胃腸で分解されてブドウ糖として吸収されます。麹菌がブドウ糖にしてくれているので、とても体に吸収されやすいのです。
栄養価が高くて吸収されやすいので、飲む点滴と表現されるのです。

カロリーや虫歯が心配

lineup_list02 確かに100gで81kcalあります。牛乳が67kcal、コーラが46kcalですので、けっして低くはありません。でも飲む量を考えれば大したことはありません。コーラなどは350ccの缶が一般的、写真の甘酒は森永製菓のヒット商品、米麹タイプと酒粕タイプをブレンドしたものですが、190g、カロリーも64kcalと控えめです。
食品は100gあたりで表記されるので、コーラは1缶で161kcal、森永の甘酒は121kcalです。大量摂取は控えたいものですが、常識的な飲み方なら問題ありません。

甘いからすべて虫歯になるわけではありません

 われわれ歯医者もいけないのです。甘い食べ物、飲み物がすべて悪いイメージを皆さんに植え付けてしまったのかもしれません。確かに口腔内の細菌は甘いものが大好きです。同じ糖質でも、高分子のデンプンより、低分子の砂糖(ショ糖)やブドウ糖のほうがばい菌にとって利用しやすいのです。口腔内の細菌はきちんと管理をしていれば1000億匹程度です。すごく多いように感じますが、腸内細菌は数百兆、大した数ではありません。この程度から出る酸の量はたかがしれています。口腔内管理がきちんとできず、口腔内細菌が兆のケタになっていなければ、甘いもの=虫歯と過度に心配することはありません。ベッドで甘酒を飲んでそのまま寝ちゃうなど極端な事をしなければよいのです。

甘酒がすごいのはナゼ

疲れた体にやさしい

 麹菌が、お米の栄養を、消化吸収しやすい形にしてくれています。つかれた胃腸にとても優しい飲み物です。脳は甘いものを食べるとそれだけで元気になります。熱が体内にこもって、神経や筋肉が疲れ、代謝が低下し、胃腸も弱り、エネルギーや栄養が低下し、さらに全身が疲れる、されに食欲もなくなりというのが、夏バテなどの体調不良の大きな原因です。甘酒は、オリゴ糖や食物繊維が胃腸の調子も整えてくれ、身体の回復を助けてくれます。

高血圧にも有効です

 血液中にはアンジオテンシンIという物質が流れているのですが、ストレスなどの負荷がかかると、アンジオテンシン変換酵素(ACE)が働きアンジオテンシンIIに変換されます。ⅠがⅡ型に変わると、血管を収縮させ、塩分の身体からの排出を抑制します。この結果、血圧が高くなるのですが、甘酒には酵素ACEの働きをおさえる成分が含まれていることがわかっています。効果がでるのは数カ月から1年以上と即効性はありません。甘酒にショウガを入れるのはさらに効果的。ショウガの成分ジンゲロンが、末梢血管を広げ、血流をよくするので、血圧がさがります。

お肌にも効果的(コウジ酸)

 酒造りを行う杜氏(とうじ)は透き通るように白く、美しい手をしています。なぜだろうという研究から、コウジ酸(麹酸,Kojic acid)が、1907年に発見されました。
 コウジ酸は、メラニンの生成を抑制する効果があります。健康な肌では、作られたメラニン色素の必要な量だけ肌に残り不要な分は肌の代謝によって排出されます。しかし、紫外線のダメージや、ホルモンバランスの乱れなどで、メラニン色素が肌に残り、それが蓄積して定着してしまうとシミになります。コウジ酸は、メラニンの生成を食い止めるので、シミ・肝斑が濃くなるのを防ぎ、徐々に本来の肌色に戻していく働きがあります。
 加齢に伴って、肌色が徐々に黄色く、くすんだようになってしまう現象を黄ぐすみといいます。、AGEsという黄褐色の物質が蓄積し、肌色が黄色く濁ったようになるのが「黄ぐすみ」の正体です。コウジ酸にはこの黄ぐすみのもとになるAGEsの産生を抑える抗糖化作用があることが明らかになっています。コウジ酸には、美白だけではなく、炎症を防ぎ、活性酸素をの産生を抑える力もあります。

腸の調子もととのえてくれます

 糖質の一種であるオリゴ糖も、甘酒には含まれます。食物繊維も豊富で、これらは、乳酸菌やビフィズス菌のえさになり、善玉菌を増やし、腸内フローラの状態を良質にします。

歯周病にも効果的です

 全身不健康で、歯は健康。ありえません。確かに虫歯や歯周病の原因は、口腔内の細菌です。でもたとえば唾液、殺菌成分もふくまれ、食べカスを洗い流すなど、口腔環境を整える上でなくてはならないものです。歯ミガキをしなくて良いというわけではないですが、ブラッシングなどの掃除は唾液のお手伝い。体調やストレスなどによっても、唾液の分泌はひどく低下します。
 歯を支えているのは顎の骨、歯槽骨といいますが、この上に歯ぐきがあり、歯と骨をつないでいるのが、歯根膜です。これらすべてが協調して、歯を守っています。カルシウムなどのミネラルはもちろんですが、コラーゲンやエラスチンも大事な構造体です。良質のたんぱく質やビタミン、脂質などバランスよく取る事も大切です。甘酒を飲んでいれば充分というわけではありませんが、質の良い食生活は歯の健康にもとても大切です。
 歯医者さんにいくと、歯だけでなく全身管理も細かく指導されるのはこのためです。

アスペルギルス・オリゼ

Aspergillus oryzae ニホンコウジ菌「麹菌(こうじきん・きくきん)」とも呼ばれます。学名はラテン語のアスペルギルス  そして米から発見されたことで、米の学名 oryzae をそのあとにつけます。
和食の基礎であり、うまみを作る名料理人です。コウジカビ
は多くの酵素を産生し澱粉やたんぱく質を分解するため、古くから清酒や醤油の醸造などに利用されてきました。
 麹菌は非常にたくさんの種類の酵素を麹菌は生産します。また、その量も非常に多く、麹菌自身が必要とする量の何百倍もの量を作り、細胞の外に分泌します。私たちはその性質を利用して食生活などを豊かにしてきました。日本酒はもちろん、醤油や味噌をつくるのに無くてはならない存在です。
 ニホンコウジカビが生成するデンプン分解酵素・ジアスターゼ(アミラーゼ)は高峰譲吉が麹菌から抽出して医薬品タカジアスターゼとして、現在でも健胃・消化薬として医薬品に使われています。

発がん性はありません

 アスペルギルス族は、強い毒性をもつことで有名です。 1960年にイギリスで10万羽以上の七面鳥が死亡した事件の原因物質がアスペルギルス・フラバスというコウジカビの一種の出す毒によるものでした。アフラトキシンという毒ですが、天然の発癌物質としては最高の毒性といわれてます。
 日本の麹菌は、このフラバスに非常に近縁で、同様に発がん性を疑われたのです。2005年ごろ官民あげての遺伝子解析が行われ、毒成分(シクロピアゾン酸など)を合成するための遺伝子が欠損しているため、毒成分を生産しないことがゲノム情報から遺伝子レベルで明らかになりました。醤油などもふくめ、日本米麹は安全とされます。

なぜ毒を作らない?

 犬と同じではないかと考えられています。オオカミを家畜化して、人間に従順でおとなしい個体を選択してきたのが犬です。アスペルギルス・オリゼも、酒室(さかむろ)で人間に大切に育てられ続けた結果、毒を作る必要が無くなったのではないか、そして無意識的に、人間が毒の無いタイプを選別してきたのではないかと考えられています。

種麹屋(タネコウジヤ)

 別名、もやし屋ともいいます。まんがでも有名ですね。すでに全国で数件になってしまいました。酒蔵さんや味噌、醤油メーカーが独自に適した麹菌を自分の所で培養するようになったため、その商売が立ち行かなくなり店をたたんだところが多いです。
 歴史は古く、600年前、室町時代にはすでに京都などで営業をしていたようです。味噌、醤油、清酒、焼酎などの種麹を販売いました。日本のバイオテクノロジーの歴史はこのころからすでに培われていたことになり、現在も微生物学の分野で世界の最先端に位置するのは当然といえます。

酒粕からつくった甘酒

 酒粕は、日本酒のもろみを圧搾した後でできる、ろ過残存物です。
 お米を蒸して、蒸米を作り、一つは、種麹をつけて「米麹(こめこうじ)」を作ります。もう一つは、酵母をつけて「酛(もと)」という酵母を培養した液体を作ります。米麹に、酛(もと) と蒸米も足したのが、醪(もろみ)です。これを発酵させて、出来上がったものを絞ったのが、日本酒です。そして、しぼったカスが酒粕です。
「カス」とはあまりに失礼です。酒粕は酵母のタンパク質、必須アミノ酸、ビタミンBやミネラルなどが含まれた栄養価の高い食品です。栄養面でも麹から作った甘酒にまけていません。高血圧、骨粗しょう症、認知症などへの有用性があるとされます。
糖分は、酵母がアルコール発酵に使ってしまい、あまり残りません。
 問題点をあげれば、アルコールが多少残ってしまうこととです。お酒に極端に弱い方や、乳幼児など小さいお子様には注意が必要かもしれません。
 糖分は、酵母がアルコール発酵に使ってしまい、あまり残りません。このため甘くないので砂糖を添加することです。でも、砂糖=虫歯、これも歯医者さんがつくりあげてしまった幻想です。エネルギー源として大変すぐれた食品です。とり過ぎなければ、そして取り方を間違えなければ問題ありません。

粕汁もおいしいですよ

 みそ汁の、味噌を酒粕に換えれば、粕汁です。野菜たっぷりのトン汁を酒粕で作るのも美味しいです。
京都・奈良などの関西地方では馴染み深い家庭料理です。根菜がたっぷり入った 粕汁は栄養満点です。寒い冬だけでなく、暑い夏にも、汗腺を広げてくれ発汗能力を高めるなど、夏バテ予防にもってこいです。加熱するので、アルコール分も気化して飛んでしまいます。

おいしい甘酒

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八海山といえば、日本酒のお好きな方ならご存知の、新潟を代表する八海酒造。もちろん米麹のみ、添加物なしです。酒造りの技術が高いので、自然な甘さのなかにすっきりとした味わい。おすすめです。

美味しい甘酒の作り方

《材料》
• 米こうじ(乾燥):100g
• 炊いたご飯  :2合分(700g程度)
• 水(お湯)  :3カップ(600g) (2カップで様子を見る)

《作り方》
1. 炊いたご飯とお湯を混ぜて温度調整する (目安:60度くらい)
2. 米麹を追加して混ぜる(麹菌が生産したアミラーゼは60℃で酵素も破壊されてしまうので注意。)
3. 必要に応じて水を追加する (目安:表面が水に隠れるように)
4.[ヨーグルトメーカーの場合] 
  出来上がった材料を入れた容器の蓋をきっちり閉め、保温する (目安:57度10時間)

 [魔法瓶の場合]
  あらかじめお湯などで魔法瓶を温めておく
  出来上がった材料を65度になるように調整して魔法瓶に入れる。
  温度が下がると糖化が進まないので4時間後に鍋で加熱し60度までもっていき8時間保温する。
 ※8時間経過しても麹がツブツブのままでしたら再加熱して熟成させる。
  
 [炊飯器の場合] 
  55~60℃の出来上がった材料を炊飯器に入れ、蓋を開けたまま布巾をかぶせスイッチを入れる。
  3時間ほど経過すると少々甘みが出てくる。途中2、3度かき混ぜ、5時間程保温する。

5. 保温が終わったら冷蔵庫に入れる (目安:半日)
  保温後かき混ぜる。最初はまだ少し甘いお粥程度です。
  鍋に入れて沸騰させないように弱火で温めていくと甘みが増します。
  保温開始時の材料の温度が低かった場合や水分が足りなかった場合は米麹の芯が残っていたら
  上下を返して混ぜた後、1~2時間くらい保温を延長する。

 ※十分に糖化が進むとご飯粒の形はなくなっておかゆのようなペースト状になる。
  粒々が気になったり料理に使う場合は、ミキサー等で滑らかにしてもOK
  冷蔵庫の場合、1週間程保存できる。
  1か月程冷蔵保存したい場合は、鍋を火にかけ混ぜながら沸騰はさせず4、5分温める。
  (麹菌が死滅するので発酵が止まります。)

 ※常温で寝かせてはいけません!
  保温終了後よく混ぜたら、水を張ったボールに容器を入れ流水で冷まし、冷蔵庫に入れる。
  常温放置で徐々に温度を下げると雑菌が活動しやすい温度帯(特に40度あたりから危険)が
  長く続くことになり、雑菌が増えすっぱくなったり臭いがする事があります。
  そこそこ冷えたら冷蔵庫に入れ、半日以上おきます。(丸1日推奨)

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