ヒリヒリする、ピリピリする、ジンジンする、やけどをしたような感じなどと表現されて舌の痛みを訴えて歯医者へ来院する方は浅草でも多くいらっしゃいます。
口の中に痛みをおこす原因が認められないにもかかわらず、舌に慢性的な痛みやしびれなどの症状がみられます。舌痛症は心因的要因が大きいと考えられえ、心身症の一種・自律神経失調症の症状として考えられることもあります。また最近では、神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の一種ととらえる歯医者さんもいます。
発見しづらい原因があるもの
赤く舌がただれているなどの、他覚的な症状が出ることの多い病気ですが、場合によっては我々歯医者が観察しても病態がはっきりせず、痛みなどの自覚症状のみが顕著に現れ、診断がつきにくい場合もあります。
口腔アレルギー症候群 | かゆみやしびれ |
口腔乾燥症 | 唾液の分泌が悪くなり、舌の表面粘膜が荒れて痛みます |
シェーグレン症候群 | 目が乾くなどの症状も出ます。ブドウ膜炎に注意が必要です。 |
扁平苔癬 | ピリピリとした強い痛みがあることが多いです |
プラマービンソン症候群 | 鉄欠乏により舌に炎症を起します |
ビタミン B12欠乏 | しみるような痛み熱を持ったような痛みを生じます。味覚障害を起こすことも |
亜鉛欠乏症 | 味覚障害やしびれ、痛み |
カンジダ症 | 食事などで刺激が変わると痛むことがあります |
これらの病気は詳しくは、舌炎(舌が痛い)の項目をご覧ください。
神経障害性疼痛
神経が障害されたり圧迫されることで起こる痛みやしびれです。
坐骨神経痛 | 坐骨神経が障害され腰・お尻・足に痛み |
腰痛症 | 腰痛の多くは原因不明ですが、神経障害の可能性があります |
帯状疱疹後神経痛 | ヘルペスウイルスが神経を侵し長く続く痛み |
糖尿病合併症 | 糖尿病神経障害に伴う痛み・しびれ |
三叉神経痛 | 神経圧迫による疼痛 |
など、歯医者に関係する問題だけではありません。坐骨神経痛などは誰でも名前ぐらいは聞いたことのある病気ではないでしょうか。
特徴的な症状は
痛みが長いあいだ続く |
たまにしびれる感じがある |
寝起きが特につらい |
突然強い痛みが走る |
針でチクチク刺されたような痛み |
電気がビリビリ走るような痛み |
感覚がにぶくなったり、感覚が無くなる |
日によって痛みやしびれる部位が移動することもある |
舌で見られる症状の特徴は
•発生する部位は、舌の先や縁に多いが、舌の奥や中央が痛むこともある
•食事中や何かに熱中している間は、舌の痛みやしびれを感じない、または支障がないことが多い
舌に来ている神経は結構複雑です
舌 | 運動 | 知覚 | 味覚 |
後1/3 | 舌下神経 | 舌咽神経 | 舌咽神経 |
前2/3 | 舌下神経 | 舌神経(三叉神経の枝) | 鼓索神経(顔面神経の枝) |
三叉神経痛
脳から直接出ている神経が12個あります。視神経や嗅神経などですが、この一つに三叉神経があります。文字通り三つに分かれるのですが。おでこのあたりから頬・上顎・下顎にまで広範囲に顔面の感覚や運動をつかさどっています。
三叉神経痛の症状としては、極めて強い顔面痛ですが、咀嚼の動作を行うことがきっかけとなることも多く、その際に舌にもしびれや痛みを伴う事があります。詳しくは三叉神経痛をごらんください。
舌咽神経痛
舌咽神経痛とは、やはり脳神経のひとつである、舌咽神経が圧迫などの刺激を受けることにより、痛みやしびれなどを起こす神経痛です。舌咽神経は舌の後ろを支配しているので、症状としては嚥下(物を飲み込むこと)の際に、舌の奥の方に痛みを感じることが多く見られ、咀嚼時には耳の方にも痛みが広がる場合もあります。
舌咽神経痛はとてもまれな病気ですが、発症者の多くが三叉神経痛と合併することが多いです。
治療法は
抗てんかん薬による薬物療法、局所麻酔による神経ブロックなどです。一般的な鎮痛剤は効果がありません。てんかんの薬などですが、テグレトールという薬がとても効果的で、8割の人に有効であるとされています。薬物療法で効果が得られない場合は放射線照射治療、微小血管減圧術などの手術を選択する場合もあります。
神経障害性疼痛の起こる原因は
ヘルニアや脊柱管狭窄などにより、神経が圧迫されて坐骨神経痛が起こる。これはとても理解しやすいと思います。三叉神経痛も、脳幹から出てすぐのところで、血管(動脈や静脈)が三叉神経を強く圧迫して血管が拍動する事により、神経に強い刺激が加わり起こすとかんがえられています。
糖尿病性神経障害
糖尿病の合併症の中でも多く見られる症状の一つです。自律神経や感覚神経などの末梢神経を麻痺させることによって、体の各部に異常をきたします。多くの場合は足先のしびれや、痛みなどを生じます。放置すると、逆に神経が麻痺しはじめ、痛みや熱さを感じることができなくなります。怪我ややけどなどに気がつかず、糖尿病の合併症の免疫力低下もあり、足の切断など重篤な問題を生じることがあります。
ヘルペスの後遺障害
子供の頃にかかったみずぼうそうウィルス(水痘帯状疱疹ウィルス)は、脊髄の後根神経節や三叉神経節に潜伏しています。通常は何もせずおとなしくしていますが、ストレスや免疫力の低下などをきっかけにウィルスが再活性化し発疹と痛みを起こす帯状疱疹を発症することがあります。
舌痛症は自律神経失調症のひとつです
西洋医学では、その病気がどうして起こっのか、原因をとらえ治療しようとします。たしかに舌痛症は神経障害性疼痛です。でも自律神経失調症ということもできるのです。
自律神経失調症とは
自律神経が関係する症状があるのに、検査をしても病的な異常が見当たらず、また、心の病気も考えにくい状態です。
つまり、特定の病名ではなく、いろいろな症状の総称といってもいいです。どちらかというと、東洋医学的なとらえかたです。
歯医者の領域でも、口の中の異常な感覚や痛み・味覚異常・顎関節の障害など自律神経失調症と思われる場合が多くあります。そのうちの一つとして舌痛症をとらえることも出来るのです。
そもそも自律神経とは
自律神経は、体のすべての組織とつながり、その機能を調節している神経です。
体性神経 | 感覚(知覚)神経 | 運動神経 |
物を見たり、匂いをかぐ | 筋肉を動かす | |
自律神経 | 交感神経 | 副交感神経 |
体を活発に活動させる | 体をリラックスさせる | |
自律神経は、心臓の鼓動を調節したり、生命を維持するのに必要な様々な生理機能を自動的に調節しています。交感神経と副交感神経の二つの組み合わせによって成り立っています。走ると呼吸数が上がったり、暑いと汗が出たりするのはすべて自律神経による調節です。自律神経は意思で動かすことはできない自動調整神経ですので植物神経ということもあります。
交感神経は、機能を促進・緊張させます。車のアクセルの役割をします。反対に副交感神経は、ブレーキ。体を休息させて回復させる作用があります。ただ、この二つが完全に切り替わるわけではなく、お互いにバランスをとりあい繊細な関係を構築しています。
生体恒常性
血圧や体温もそうですが、体を正常に保とうとする力が、生体恒常性です。ホメオスタシスと思います。
自律神経のバランスだけではなく、ガンや細菌・ウイルスに対する免疫系、ホルモンの分泌を調節する内分泌系も大切です。
自律神経を直接支配しているのは視床下部。これは脳の中心付近にある2cmほどの小さな組織ですが、とても大切な組織ですぐ下にある脳下垂体というホルモン分泌の中枢も支配しています。
視床下部は大脳辺縁系のすぐ下にあります。大脳辺縁系は食欲や睡眠欲・性欲といった本能的な欲求や、喜びや怒り悲しみなどの情動を作っている組織です。
視床下部は、体の辺縁系や脳下垂体からの影響も強く受けます。過度のストレスなどが自律神経のバランスに大きく影響しているのです。
健全な精神状態が保たれていれば、自律神経も落ち着いた動きをしています。ちょうど海辺で静かに波が打ち寄せているようなものです。ところが恐怖・驚き・怒り・不安・緊張・失望・悲壮などによりバランスが乱れることがあります。小さな問題であれば回復することができますが、非常に大きなトラブルや長く続くトラブルなどには誰しも対処ができなくなり、自律神経のバランスが乱れてしまいます。台風の時のあるいは津波の時の海辺みたいなものです。
痛みを抑える機構も存在します
画鋲を踏んづけて痛みを感じなかったら大変です。体に何か障害が起こった時にそれを異常として伝えるのか痛みです。嫌なものですが、実はとても大事な感覚の一つです。
画鋲踏んづけた時の痛みは、しばらくするとゼロにはなりませんが少し和らぎます。疼痛を抑制する機構が働くからです。
下行性疼痛抑制系
痛みの信号が体の各所から脳に上がってくるのを抑制する伝達経路があります。これを下行性疼痛抑制系といいます。ノルアドレナリン系とセロトニン系の二つがありますが、痛みの信号を受け取った脳が、脊髄にある中枢神経の入口部分にあたる後角(神経の細胞体が集まって神経伝達のやり取りが行われる)にノルアドレナリンやセロトニンを作用させることで痛みの信号を伝える神経の活動を抑制させます。
この機能が弱いと,痛みを感じやすくなるのです。
セロトニンの不足も舌痛症の大きな原因です。
痛みに弱いのはなぜ
セロトニンいっぱいでてますか
こちらのページもぜひお読みください。
舌痛症に対し結局どう対処すればよいのですか
信頼出来る近くの歯医者さんを見つけてください。浅草の歯医者さんは皆さんの口の中の悩みや訴えに耳を傾けその気持ちをよく分かってくれる先生ばかりです。どの歯医者さん行っても一緒に回復する手だてを考えてくれます。
ケースバイケースですので、書面に表しにくいのですが、できうるご助言としては
不健康な生活スタイルを見直してください
リズムのある生活習慣は大切です。バランスの良い食事を適量食べ、過食はもちろん低栄養にも気をつけてください。
睡眠や楽しく適度な運動、休養も大切です。たまには旅行やハイキング、映画なども良いのではないでしょうか。
定期的に日常生活を振り返り、改善出来るところは改善しましょう。
生活リズム | 夜型の生活や不規則な生活は改善できれば改善しましょう。 |
食事や栄養 | 朝食を抜いたり、ファストフードばかりになっていませんか |
休養 | オンとオフの切り替えは上手にできていますか、のんびりの時間はありますか |
仕事 | 過労死するほど仕事をしていませんか |
運動 | 楽しく体を動かしていますか、でもやりすぎはダメです |
ちょっと飽きたのでプールへ行ってきます。近くの隅田プールは浅草の田中歯科医院から自転車で5分です。急いで着替えると、10分後にはもうプールに入っています。
1キロ泳いで帰ってきたので続き書きます。歯科医院を出てから1時間経っていません。ほんのちょっとの空き時間でもうまく利用すると楽しく遊べます。運動になり、ストレス解消一石二鳥です。
ストレスに注意
精神的なストレスは良くありません。適度な肉体的なストレスは必要です。ささいな事にイライラしたり、くよくよ悩んだりするのはストレスがたまっている証拠です。とりあえず何かちょっとでも興味があるものがあれば挑戦してみましょう。
アロマセラピー
ハーブを使ったアロマセラピーは、香りが持つ鎮静効果や精神安定にとても有効です。