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良い歯医者の選び方(上手な歯医者はどう選ぶ)

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(前ページ)歯医者が怖いのはなぜ
前のページでお話したように、歯科医院は行かないで済めばそれにこしたことはない、できれば歯医者には行きたくない。のが本音でしょう。でも虫歯で痛いしなー、ひどくなる前に(実はわれわれ歯科医からみるとかなり悪化していることが多いのですが、(>_<))

選択肢が増えると人はかえって不幸になる

 コロンビア大学のアイエンガー先生の実験があります。2種類のジャムの試食コーナーを作り、販売もしました。
● ジャムを6種類ならべたコーナー
● 24種類のジャムをならべたコーナー
6種類しか置かなかった方が6倍も売れました。(6種類は12%の人が購入、24種類は2%)。実は選択肢が多すぎると、人は選ぶのにエネルギーを費やし疲れてしまい、結局えらぶことができないのです。
 歯医者も同じです。いっぱいありすぎるのです。その数、コンビニエンスストアの2倍です。選択肢が多すぎてかえってどこにしようか迷って、結局どこにも行けない、なんてことになるのです。

仮に選んだとしても満足しにくい

 歯医者は、楽しい所ではありません。われわれ歯科医もなるべく痛くないように、無痛治療を心がけていますが、10分20分口を開いているだけでもつらいのです。いやなことが多い空間なのです。つらい思いをして、なんで「ありがとございました」とお礼いって、あげくのはてにお金までとられて。
 あっちの歯医者なら、もっと安く、早く、楽にできたのではないか?という気持ちになってしまうのです。自分の選択が誤っていたのではないかと自分を責めるのです。

ドクターショッピングという言葉もあります

 別名「青い鳥症候群」ともいいます。色々な医療機関を次々と、あるいは同時に受診することです。
充分な医療を受けているのにもかかわらず、より楽で良い成果を求める
患者さん自身が、疾病を理解しようとせず、自ら治療の努力をせず、歯科医にまる投げし、うまく治らないのは病院のせいだと、医療機関をころころ変える。
ご自分の選択に自信を持ってください。

顧客満足度

英語で言うと、customer satisfaction よくCSといいます。1980年代からアメリカで言われ始めた言葉です。見ることも触ることも測ることもできない、感覚的、心理的なものですが、最近では「おもてなし」です。日本はこのレベルが、世界的にもきわめて高いことで有名です。コンビニで、ビールとホットの缶コーヒーを買うと、かならず別の袋にいれてくれます。
逆にいうと、顧客要求度の高い国でもあるのです。カメラの箱にちょっとでもキズがあると、それだけでアウトレット品として安くなります。日本で品種改良されたリンゴのフジも世界でつくられるリンゴの20%をしめます。日本の厳しい消費者に鍛え上げられているので、なんでも世界有数になってしまうのです。ウィスキーも今や日本の物が世界一です。
この感覚を医療にも強く求めると上手くいかない不幸なことになります。

患者様とはいいません

 一時、歯医者だけでなく、病院でも、患者さんを、様づけでよぶことがはやりました。田中様どうぞお入り下さい。今はほとんどなくなっています。
様は、お客様です。医療機関は、健康の回復、健康の維持を提供する所です。いっしょにがんばってが必要なのです。チームを組んでいるのです。そのチームメイトに「様」でお呼びすることは不自然です。御客様扱いする歯科医院はさけるべきです。
いっしょに、がんばれる歯医者をぜひみつけて下さい


良い歯医者の選び方は

ホームページ

 ホームページでは、その歯医者さんの特色などが掲載されています。院長の紹介や考え方も載っています。また歯科医院は行きづらいといったイメージから、院長の趣味やプロフィールなど親近感をもってもらうために記載している歯医者さんも多いです。ただ過信は禁物
 自分の医院のホームページに都合の悪いことはかきません。とても上手にできています。よく財布を落とす人は中に赤ちゃんの写真をいれておくと手元に戻りやすいという実験があります。赤ちゃんをみると助けてあげなくちゃという気持ちが働くのです。このような心理的効果がホームページにはちりばめられています。

受付の対応

 まず、接するのが、歯医者さんの受付です。受付対応はその歯医者さんのレベルを物語っていると言えます。受付はどんな企業であれ「顔」です。とくに電話では声だけで、相手の表情がわからないのでその対応レベルが問われます。しっかりとした教育をうけている受付であることは大切です。
ただ治療内容をきかれて困る事もあります。親知らずを抜きたいのだけど、何分かかりますか?と聞かれても、その歯の状態でとても答えにくいです。難易度にもよりますが、数十分が多いですとお応えするのがやっとです。感じがよいな程度で充分です。

施設

 やはり外観や内装も、その歯科医院を知る上で重要です。華美である必要はありません。でも最低限の清潔感が保たれていることは大切です。ポスターが日に当たり日焼けし白くなっていたり、スリッパが古くなってすりきれていたり、待合室の雑誌がボロボロだったり、治療内容にも通じます。

予約時間が正確

 歯科治療は、一人ひとりに向き合い治療しますので、予約制のところがほとんどです。患者さんにわざわざ時間をさいてもらうのですから、患者さんの時間を大切にするのは当然です。
でも急なお痛みの患者さんに対応するのも必要です。電車のダイヤのように正確にはいきません。ときどき予約の時間がずれてしまうのは、お互いさまでご勘弁下さいというのが、歯医者の本音です。
ただし、このとき、すいません、前の方の治療がすこし延びてしまってあと10分ほどおまちいただけますか?とか一声かけてくれる歯医者さんを選んで下さい。

説明をほどほどにしてくれる

 治療を行うにあたり、治療内容をしっかり説明してくれる必要があります。治療の選択肢を提示してくれることも必要です。
治療のイスを起こして、顔をみて説明してくれることは安心感につながります。治療の手をとめて説明してくれる歯医者さんこそ本当に良い歯医者なのです.
ただし、あまりききすぎると、かえって処置を想像してしまい怖くなってしまうことも。怖がりさんほど根掘り葉掘りききたがります。ほどほどで充分です。

麻酔が上手

 歯の治療の上手、下手は患者さんにとって解かりにくいです。でも麻酔のやり方で、丁寧な治療をする歯医者かどうか、ある程度判断できます。上手な麻酔のコツがあります。
● 注射器を患者さんの視界に入らない所におき、見せないように注射する
● 表面麻酔をしてくれる(塗るだけで粘膜表面が麻酔されます)
● 麻酔液を体温程度に温めておく。麻酔薬は品質保持のため15度C以下の温度で保存する必要があります。でも注射するときそんな冷たいのを身体の中に入れれば刺激が強く痛いのです。
● 30Gという注射針(0.30mm)の細い、ディスポーザブル(使い捨て)を使用する。衛生面の問題はもちろんですが、針先が鋭く、すっと挿入できます。
● ゆっくり一定の圧で注入する。早く注射すると組織が破壊され痛いです。一気に麻酔をかけず、徐々に位置をずらしながら少しずつ麻酔をかけていくことがコツになります。ただあまりゆっくりすぎても患者さんはつらいので、様子を見ながら注意深く行います。
● 患者さんの呼吸を見ながら、注射する。
息を吸うのは緊張へ、息を吐くのはリラックスです。細かい作業をするとき、息を吸って、止めて、作業して、終わるとフゥーと息をはきます。これと同じで息を吐いた瞬間に針を刺します。
● 酔する場所の、頬や口唇をすこし強く引っ張る
針を刺す粘膜を少し張らせたほうが、スッと針が入ります。また引っ張られた頬などが気になり、意識がそちらに向かい気がそらされます。
上手な歯医者さんは無意識的に身についています。麻酔が丁寧ですから、当然、治療も丁寧と考えてようでしょう。

慎重な先生であること

 「今日は歯を抜いてもらいに来た」とおっしゃって来院する初診の方がいます。ワルファリン(血液抗凝固剤)やボナロン(骨粗鬆症薬)など飲んでいる薬によっては、抜歯が制限される場合があります。明日から海外出張だから早いとこ歯を抜いてくれという方もいました。歯科処置は基本的に外科的な事が多く全身との兼ね合いが大切になります。全身の事、日常生活との兼ね合いを考えてくれることも大切です。

訪問診療をしている

 受け持っていた患者さんも、年をとります。足腰などお身体が不調になり通院が難しくなることも多いです。「通院できなくなったら、往診するよ」がホームドクター(家庭医)のあるべき姿です。歯医者が往診することも大切です。

合図をきめている

「痛かったり、苦しかったりしたら、左手を上げて下さい」がたいていの歯医者さんでの、治療をストップして下さいの合図です。口を開いていますからしゃべれません。苦しいのをがまんして、急に動かれるのは危ないです。右手を挙げると治療中の器具にぶつかります。左手を上げていただければ、術者の視界にも入りやすく、一休みしてもらいやすいです。合図の説明をしてくれる歯科医院が良い歯医者です。

自分にとって都合の良い歯医者は卒業して下さい

 良い歯医者は、患者さんにとって、とらえ方はさまざまです。今痛い所だけを診てくれる歯科医を良い歯医者と思っている患者さんが、とても多いです。全身状態や生活習慣も把握してもらうことが大切です。
口腔の環境の悪さはガンの原因にもなります。(口腔細菌がアセトアルデヒドという発がん物質を出しています)。糖尿病や心筋梗塞など、全身疾患の原因になっていることもあきらかになってきています。全身の健康を守るために歯の治療をする。そんな考えの、一生付き合える、信頼できる良い歯医者を見つけて下さい。

おまけ(歯科従事者が考える良い歯医者)

 腕の良い歯医者は、大学を卒業してからも、勉強会や講習会などに積極的に参加して自分の腕をみがいています。昔の感覚では、日々進歩している医療においつきません。医療関係者からみて納得のできる歯医者さんは

紹介状をかいてくれる

 歯科医師自身、自分ですべてできるわけではありません。できない治療をしっかり把握して、より専門性の高い医療機関を紹介できることが必要です。出来もしないのにやってしまう。恐ろしい

いつも機嫌が良く歯医者自身が健康

 当直明けの外科医の執刀は手術関連の死亡を増やすという論文(Taffinder NJ, et al. Lancet 1998;352:1191)があります。あたりまえです。外科医の9割は過労死ラインを超えているといわれています。健康な生活を送っている歯医者さん意外と少ないかもしれません。

自分が治療してもらっている

 歯科医院のスタッフでありながら、自分の治療は別の歯医者さんへいってます。ウーン、
 以前、ある国から、留学生の女の子がきて、ご両親はお仕事何されているのですかと伺ったら、料理店を5軒やってます。との返事でした。そうですか、じゃお父さんのお店によく食べに行くんだ。といったら「危ないからといって絶対食べさせてもらえないんです」………

おまけの入れ知恵

歯医者さんにきいてみること
● 先生、治療中痛かったら合図とかあるの(丁寧な配慮ができているか)
● 先生、講習会、月どの位いくの(勉強しているのか)
● 先生、どんな学会はいっているの(歯科医学会とつながっているか)
● 先生、保育園とか、老人ホームとか健診行ったりするの(社会貢献しているか)
● 先生、何かスポーツやっているの(自身の健康管理出来ているか)
● 先生、歯が悪いと糖尿病になるってきいたんだけどほんと(全身との関係を理解しているか)
● 先生、いまつめた白い材料、組成はなんなの(材料の知識があるか)
スタッフに
● ○×さん、先生に治療してもらうことあるの(スタッフに信頼されているのか)
● 往診(訪問診療)やっているの?(患者さんと一生つきあえるのか)

近くの上手な歯医者さんを見つけられることを願っています。

歯医者が怖いのはなぜ(前ページ)
歯科恐怖症の方の上手な受診方法(つづき)

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診療時間

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    14:00~19:00

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