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血栓症とは(1)

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血栓症とは

 ケガをすると血が出ます。でもいつまでも出血していては困ります。身体には止血する力が備わっており、血が固まってかさぶたになって傷を保護してくれるのです。
 とても良くできた機能ですが、血管の中で血が固まってしまったら、(>_<) これが血栓です。脳や心臓のような重要な臓器で起こると大変です。血液が流れなくなるのですから、酸素がいきません。脳梗塞、心筋梗塞になります。

血栓ができる仕組み

 この怖い血栓は、どうしてできてしまうのでしょうか。血栓とは血の塊のことですが、通常は血栓とは血管が傷ついたり破れたりした時に、そこを修復してくれる必要不可欠な物です。血栓ができる仕組みについて、順に説明していきましょう。

正常な血管

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なにも問題がなく血液が、スムーズに流れている状態です

血管がキズになり出血した状態です

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血管が、血圧の異常や、異物(口腔内細菌が頻繁に異物の原因になります)により傷になり出血した状態

血小板による止血

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血管が傷つくと、まず血液が粘着・凝集し、そして主に血小板が傷ついた部分に集まり、止血を始めます。

血液凝固

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血小板によりとりあえず止血した上から、フィブリンという線維素が傷ついた箇所を完全にふさぎます。止血からさらに凝固へとより強固にふさぐのです。これが「かさぶた(血栓)」の正体です。

破損した血管の修復

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フィブリンを足場に、血管内の細胞が増殖して、破れた血管を修復します。破れた箇所は元通りになります。

線溶(フィブリンを溶かす)

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傷は修復されましたが、血栓(かさぶた)は残っています。このままだと、血管は狭くなってしまい、血液をスムーズに流せません。もういらなくなった血栓を溶かす作業が始まります。プラスミンという物質が溶かしてくれます。

修復完了

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血管は修復され、血栓も溶けてなくなりました。もとの正常な血管にもどりました。外傷を伴わなくても微細な血管の破損は毎日起こっています。そのためにこういった過程が日々繰り返されているのです。

血栓が溶けにくい

 血小板による止血、フィブリンによる血液凝固(凝固系)とプラスミンによる血栓溶解(溶解系)のバランスがとれていれば問題は起こりません。
ところが、寿命が延び、コレステロールや脂肪値の高い血液、あるいはストレスが、この凝固系の働きを強め、線溶系の働きを弱めてしまっているのではないかと考えられています。

「血液サラサラ」「ドロドロ血液」

総コレステロール値が高い(220以上)
LDLコレステロール値が高い(150以上)
血糖値が高い(125以上)
中性脂肪が高い(150以上)
ヘモグロビン(血色素)が高い(17以上)
の場合血液ドロドロといわれています。
ただこれは、イメージ的にわかりやすい説明をしているだけで、ほんとうに、血液の粘度を決定しているのは、流れの速さです。(-д-) うーん、物理の問題なんですよねー。ちょっと寄り道

血液は非ニュートン流体

一言で言うなら,液体のドロドロ,サラサラの程度が流れの速さによって変わるのが非ニュートン流体で,流れの速さによらず一定なのがニュートン流体です。血液の場合には,流れが遅いときには赤血球が凝集してドロドロになり,流れを早くすると赤血球がバラバラになるのでサラサラになります。血流速度が速い動脈と遅い静脈を比べると、動脈では血液粘度は低くサラサラしていて,静脈では血液粘度は高く動脈血に比べてドロドロしています。
 総コレステロールの基準値は140~219mg/dlです。これが倍になっても、健康上の問題はありますが、粘度に対しての変化はたかだかしれています。血液そのものの性質ではないのです。血液「どろどろ、さらさら」は、物理ではなく、イメージです。

血液がスムーズに流れないのはやっぱりまずいです

赤血球の質の問題

本来、赤血球は柔らかいために柔軟に、そしてスムーズに血管の中を流れています。でも糖尿病などを患っている患者さんの場合は、赤血球がだんだんと硬くなってしまいます。そのため、あまり柔軟ではない状態になってくると血管内をスムーズに通れなくなるという状況が発生してくるのです。しなやかさが問題なのです。

白血球がべたべたする

白血球は体に菌やウイルスが入ってきたときに戦ってくれる頼もしい免疫の要ですが、体のどこかに炎症が起こると量も増え活性化します。細菌を探すようにして捕まえやすくするために粘着性が高くなるのです。粘着性が高くなった白血球は血管の壁に付着しやすくなり、血流が悪くなるのです。風邪はもちろん、歯周病も万病のもととなるのは、こういったことからも明らかです。
また、喫煙習慣やストレスも白血球表面の粘性を上げる原因になります。

血小板が凝集しやすくなります

傷が出来たり出血している場所に集まって止血する役割の血小板ですが、コレステロールや中世脂肪値が高い高脂血症の状態になると。血小板自体が固まりやすくなります。
高脂血症の他にも、飲酒や脱水による水分の不足などでも血液、そして血小板の凝集がおこりやすくなります。

血管の老化に注意しましょう

全身を駆け巡っている血管。総延長は約10万km。地球2周半にもなります。どの組織も、血管から栄養や酸素を運んでもらっています。この血管を若々しい状態に維持することが、健康の秘訣であり、血栓の予防になるのです。
血管の老化と聞いてまず思い浮かべることはおそらく動脈硬化ではないでしょうか?
動脈硬化とは文字通り動脈が「柔軟性」を失い硬くなってしまう病気のことです。

動脈硬化

動脈は本来弾力がなければいけないものです。動脈の内側にコレステロールやカルシウムがついたり、動脈の壁の筋肉に繊維が増えると血管が硬くなったり、血管壁が厚くなってしまいます。こうして血流が悪くなり、詰まってしまった状態です。
当歯科医院の前にプランターを置いて、ゴーヤやらトマトやらを育てていますが、水やりのホースがだいぶくたびれてきました。つぶれたりおれまがったり、うーん自分の血管もこんな状態なのかなー、というのが動脈硬化です。
 血管の内側は内皮という組織で覆われ、若々しいうちはつるつるしていて、血栓ができないようになっています。しかし、動脈硬化が起こるようになると、血管壁にコレステロールなどがたまって、おかゆのような状態「粥(かゆ)状」になり、血管の内側を狭くする一方、動脈硬化の部分が破れると内皮がはがれ落ち、血管がけがで傷ついたのと似たような状態になります。
 やっぱり脂質代謝異常はまずいのです。

弾性繊維の破壊

またコラーゲン分子が血管内で結合し合い血管壁に付着し血管をしなやかに保つ「弾性繊維」を破壊していくことも動脈硬化の原因となります。加齢によって血管が老化していくのは、このコラーゲン分子の結合による血管内細胞の破壊が有力な原因として考えられています。

血栓には「ずり応力」が関係しています

 また、みんなの嫌いな物理の問題です。うーん、簡単に説明します。手品師の使う高級なトランプは、ずらそうと力をかけると、スッと動いてくれます。でも100円で買えるような紙でできたやすいトランプは、ずらそうとしても抵抗があります。これがずり応力です。表面がサラサラしたトランプはほとんど力を掛けずにずれますが、もし表面が粘着質のトランプがあったら、ずらすのにはずいぶん力が要りそうです。これもイメージ通り、「サラサラ→ずり応力小」、「ドロドロ→ずり応力大」、となります。
•血液は血管の中心部ほど流れが速い
•血液はいろいろな成分が含まれ、粘つく性質(粘度)を持っている
•血流の速さの違いと血液の粘っこさが「ずり応力」を生む
•ずり応力とは流れる血球(血小板)が受ける「摩擦力」
このため血管に傷ができると血小板が傷にあつまりやすいのです。

血栓症には、二つあります

 血液が、非ニュートン流体(流れる速度で粘度が変わる)であることと、ずり応力(流れる赤血球や血小板が受ける摩擦力)が大きく関係しています。
 心不全や不整脈で血液の流れが悪くなると、滞った血が固まりやすくなります ⇒ 赤色血栓
 動脈は血液の流れが速いため、赤血球などの大きなものは固まる前に流されてしまいます。そのため、血小板が主体になった白い色の血栓ができます ⇒ 白色血栓

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