ヘルペス性口内炎
ヘルペスというウイルスによって起こります。38度以上の高熱が続き、口の中に小さい潰瘍ができてとても痛いです。歯ぐきが赤く腫れて出血することもあり、口の中が痛いので食事がよく取れず、ひどくなると水分も飲めなくなります。脱水症に注意する必要があります。熱は1週間以内に収まることがほとんどですが、口の中の痛みや腫れはもう少し続くことがあります。
原因は
単純ヘルペスウイルスⅠ型が原因です。ほとんどが初めての感染で、潜伏期は2~7日です。
感染経路は
人から人へ直接接触することで感染します。そのため親子や兄弟の間でうつりやすいウィルスです。一度かかるとウイルスを体から完全に除去できません。このため、まだ体内に残っているヘルペスウィルスが唾液に混じり、同じタオルを使ったり、食器を共有したり、同じものを食べたり、親が子どもにキスをしたりしたときに感染してしまいます。
症状は
大人でも口内炎ができますが、ほとんどは頬を咬んでキズにしたり、栄養や体調のバランスの崩れによって起こるものです。これはアフタ性口内炎と呼ばれます。
これに対し、ヘルペス性口内炎は、ヘルペスウィルスⅠ型よって発症するもので、口内炎の種類の中でも一番辛い症状を伴います。ヘルペス性口内炎は1歳~3歳ぐらいまでの乳幼児が最もかかりやすい病気ですが、最近はもうすこし大きくなったお子さんでもみかけることがあります。ヘルペスウィルスに初めて感染した子供に出るのが、この「ヘルペス性口内炎」で、急に39度前後の高熱がでて、口の中にできた腫れ物が非常に痛み、飲んだり食べたりすることが到底できないほど辛くなります。この腫れ物は水ぶくれのようになっており、舌や喉にもできてしまいます。口腔内の症状が後から出ることも多く、我々歯科医、小児科医などの専門医でも診断がつきにくいことがあります。歯みがきにより出血することも多く歯みがき自体を嫌がることが多いです。
治療法は
ヘルペス性口内炎の治療は、基本的には塗り薬と抗ウイルス薬を使用します。抗ヘルペスウイルス薬の種類には、ゾビラックスやバルドレックスなどがあります。強い痛みや発熱を抑えるために、解熱鎮痛薬が処方されることもあります。我々浅草の歯科医院でもよく処方する薬です。
家庭で気をつけること
口の中が痛くて食事が困難になります。噛まずに飲み込めるようなプリンやゼリー・アイスクリームなどが良いです。熱いものは辛くなるのでおじやなどを冷ましてあげるのも有効です。虫歯になるから甘いものはダメという状態ではありません。ただ、やはり口腔内は不潔になりやすいので、歯医者さんで掃除してもらったり、洗口剤を処方してもらうのも方法です。ただ、市販の洗口剤は刺激の強いものが多く、かえって痛みをひどくすることがありますので注意してください。
口の中にトラブルがあると水分の補給が少なくなりやすく脱水に対する注意が必要です。 OS1やアクワソリタなどの経口補水液も有効です。スポーツドリンクでもかまわないと思います。ただし、治ったとしても習慣的に飲むようになってしまうとカロリーオーバーで肥満や虫歯の原因になるので、あくまでも緊急用のものと考えてください。
オレンジジュースなどすっぱいものはしみます。牛乳や冷ました味噌汁や冷製スープなども良いです。
お風呂は高い熱があるときや元気がない時は避けた方が良いと思います。
とくに赤ちゃんの場合は、症状を訴えることができないのでより注意が必要です。
うつらないためには
口唇ヘルペスなど大人でもヘルペスを発症している人や発症していないけれどウイルスを保持している大人との接触に注意が必要です。ウイルス保持者が使っていたものが感染源となり発症しますので、手をつなぐ・キスなどの接触や、顔や口を拭くタオル・食器の共有、食事や飲み物を口移しでわけ与えることからも感染します。
ただ、どこにでもいるウイルスなので、注意しても防ぎきれるものではありません。かえってコミニケーションを妨げることにもなりかねません。
ただ、小さい兄弟などがいる場合はそちらの方に移さないように注意する必要はあります。
その他
口の中の痛みがなくよだれなどが止まり、普通の食事ができるようになるまでは保育園・幼稚園や学校は休んだ方が良いと思います。
口内炎は抵抗力が低いときやストレス、栄養の偏りによって起きやすい症状ですから、日頃から健康で元気な体作りを心がけていくことが大切です。
対処法の一つに蜂蜜をお湯で割ってあげると良いと書いてある場合がありますが、注意が必要です。はちみつは土で育つ花の蜜が原料のため土壌菌(ボツリヌス菌の芽胞)が含まれている可能性があるからです。はちみつの約5〜10%にボツリヌス菌のが検出されています。 1歳未満の腸はまだ未熟で短いため、ボツリヌス菌芽胞が消化管で死滅されずに吸収されてしまい、抵抗力の低い乳児の腸内で菌が増殖し便秘、麻痺、全身の筋力が低下する脱力状態などの症状が現れる『乳児ボツリヌス症』を引き起こす危険性があります。小さお子様に蜂蜜はダメです。