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口から食べられなくなったら

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 生きていく上で、体外から取り込まなければならない、水と栄養(もちろん空気もですが)が上手に摂取できない状態になってしまったらいったいどうすればよいのでしょうか。
 本人の意識がはっきりしていることは考えにくく、家族としてどう判断したらよいのか、苦慮なさることと思います。

食べるというのはどういう仕組み

捕食 → 咬み砕く → 飲み込む 
人間だけでなく、生物はとても良くできていると思います。38億年の歴史で神(自然)が作り上げた傑作です。歩くのも走るのも、そして、食べることも 巧(たくみ)の技です。

咬み砕く

かっぱえびせん、とっても美味しい私も大好きなお菓子ですが、咬まずに飲み込んでみろといわれても出来ません(危険だからやらないで下さい)。咬み砕き、唾液とまぜることによって、ぐちゃぐちゃになるから飲み込めるのです。咬み砕くといっても、複雑な動きです。
① 上下の前歯で、食べ物をはさみ込み、過去の経験・記憶と照らし合わせ、食べ物の種類、量などを認識します。
② 奥歯に、食べ物を運び、咬み砕き、すりつぶし、唾液とまぜペースト状にします。

まとめる

口の中に、ばらばらに散らばっていたら、飲み込めません。舌、歯、頬、口蓋などを上手に使って、塊にします。これを食塊形成といいます。
 口の中に入れた量が多すぎる場合は、若い人であれば、食塊を二つにわけて二回で飲み込めますが、年齢が進むと大きな食塊は、飲み込みが困難になってきます。適量を口の中に入れてあげ、飲み込みを確認してから、つぎの食べ物を口の中に入れてあげるようにする必要があります。
 チャーハンやお茶ずけごはんは、お米の粒がさらさらです。べちゃべちゃしたチャーハンは美味しくありません。食塊を作るのが難しい人は、実は寒天などのバラバラになる食べ物が苦手なのです。

飲み込む

 あつめた食塊を、舌と口蓋(上顎)ではさみこみ、歯みがきチューブをしぼるように、口蓋(上顎)に舌で食べ物を運び、食道に送り込みます。
 舌の力が弱っていると、食塊を絞り奥に送ることが、できません。嚥下(えんげ)補助床を作ることもあります。

歯科医師の役割

 われわれ浅草だけでなく日本中の歯科医師は、上手に食べるのが難しくなった患者さんの、どこが苦手なのかを見極め、助言させていただくのが役割です。
 咬む力が弱った → その方にあった固さや、食の形態の提案
 食べ物を塊にするのが苦手 → とろみの程度を強くする
 飲み込みずらくなった → 舌と口蓋(上顎)との距離を近くするための床の厚い義歯を作る
など、器具を製作したり、摂食嚥下の指導をしたりします。

飲み込むととが困難になったら

 咬む能力が低下したら、上記のように、食べ物の形状をやわらかくしたり、ご家族やヘルパーさんなど周囲の人がお手伝いすることが可能です。でも、飲み込むことだけは、なかなか困難です。ご家族は難しい判断にせまられることになります。

経管栄養法

 
 消化管内にチューブを挿入して栄養剤を注入し、栄養状態の維持・改善を行う方法です。経管栄養法は、管を挿入した経路により、経鼻胃管、胃瘻(いろう)、腸瘻(ちょうろう)栄養法に分けられます。「経鼻胃管栄養法」では鼻から胃へチューブを挿入し、栄養剤を召し上がっていただきます。「胃瘻(いろう)栄養法」、「腸瘻栄養法」は内視鏡手術を行って、腹壁と胃壁(腸壁)との間にカテーテルを通し、そこから直接胃や腸に栄養剤を召し上がっていただく方法です。

中心静脈栄養

高カロリー輸液療法(IVH Intravenous Hyperalimentation)のことです、完全静脈栄養法TPN(Total Parenteral Nutrition )とも呼ばれています。上大静脈や下大静脈などの心臓に近い血管(中心静脈といいます)は血管が太く血液量が多いので、1日に必要なカロリーを補給するための、濃度の高い輸液が可能となります。

末梢静脈栄養法

末梢静脈栄養法 PPN (Peripheral Parenteral Nutrition ) 一般に点滴と呼ばれる方法です。短期間(目安としては2週間以内)、口から必要なカロリーや水分などが十分摂取できない場合に、末梢の静脈を通して栄養補給などをする方法です。血管確保が容易で、感染などの穿刺時のリスクが低いなど、メリットはありますが、1日に必要な栄養を補給するためには、末梢の静脈からは限界があります。

急変します

 若い健康な人でも、失恋などショックを受ければ食欲が無くなります。まして、高齢になり、体の力が落ち、やっとのこと食事をされている方にとって、風邪や気候の変化で、一気に食事が出来なくなることはよくあります。回復し、また口から食事ができるようになれば良いのですが。

口から食べれなくても口腔衛生管理は必要です

 口から食事をしなくても、口腔はよごれます。というより、感染のリスクはより高いかもしれません。本来唾液は、リゾチームなどの自らが持つ殺菌成分が含まれていますが、お身体が弱るにつれ、これらの免疫力がほとんどなくなり、カンジダ菌などのカビが口腔内に生えたり、巨大で深い口内炎ができたり、つらく痛い思いをさせてしまいます。微力ではありますが、口腔内のトラブルを防ぐように、見守りしていくことも、田中歯科医院の大切な仕事と考えております。

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