口臭
歯科治療をしていると、相談で多いのが、口臭です。自分の口が臭いのではと、口臭が気になったことがある方も多いのではないでしょうか。口臭とは文字通り、吐く息などによって口から出される悪臭のことです。厚生労働省保健福祉動向調査によると、約3.3万人のうち約10%が「口臭が気になる」と回答しています。実に多くの方が口臭を気にしているのです。
原因からみる口臭の種類
口臭の原因の約9割は、口腔が原因と言われていますが、以外とそれ以外の原因でおこることも多いので、まずそちらから。
口腔以外の原因
というのも、口臭を主訴として当歯科医院にいらっしゃる方で、口腔が原因の場合は意外とすくないのです。ご自分の口臭に対して不安を持つ方のほとんどは、几帳面な性格の方です。このため、むし歯や歯周病の症状(歯がしみるとか、歯ぐきから血が出るとか)があれば、早期に歯科医院に訪れてくれるのです。
実際に、ひどい口臭のある方ほど、自分の不健康な口腔内を自覚していません。億劫だからとか怖いとかで、歯医者に縁が遠い人は、自分の口臭まで気が回らないことが多いのです。( ̄Ω ̄;)ゞ失礼
そんなわけでまず消化器・呼吸器・耳鼻咽喉器・肝臓・腎臓・カンジダ症・糖尿病など口腔外の原因を先にお話ししたほうが良いと思います。
消化器が原因の口臭
口臭の原因として、食べ物や胃腸の不調をあげる方も多いとおもいます。ただし胃の中の臭いが、直接口臭になることは無いと考えられています。口と胃をつないでいるのは食道ですが、通常蓋がされる構造になっているため、胃の中の気体が逆流するのはゲップだけと言われています。ゲップの他は、胃の中の匂いが口からもれだすという事はありません。
でも、当家の犬のココは、食べすぎて時々ゲーしちゃいます。その後しばらくとても口が臭いです。やはり感覚的には胃腸から直接上がっているような気もするのですが。
臭いは血液から、肺に
ニンニク料理などを、たくさん食べた後に、いくら歯を磨いても、口のニンニク臭さはおさまりません。これは、体内に吸収されたニンニクの成分(アリルメチルスルフィド)が血液にのって肺へと運ばれ、「呼気」として出てくるためと考えられています。吐き出された息に周囲が含まれていて、口臭になるのです。ニンニクを食べた後に口臭が生じるのは、胃からではなく、肺から発生しているのです。(ここで記載すると長くなるので文末最後に記載してます)
口臭は、血液の臭さです
夜中に車を運転をしていると警察による検問などで止められ、呼気検査をさせられることがあります。特に年末年始など飲み会が多い時期には実施されることが多いですね。この検査によって体内のアルコール血中濃度を確かめているのです。呼吸アルコール濃度(ml/L)=血中アルコール濃度(%)×5です。アルコールだけではないのです。胃腸から吸収された物質は、血液に入るのです。
身体が健康な状態であれば、血液中に含まれる臭いの成分は、時間とともに分解され、呼気中に出てくる量はごくわずかになるか、内臓で悪臭のしない物質に分解されていきます。
つまり、いつまでも呼気に臭いが残るのは、内臓疾患も疑う必要があります。
肝臓疾患
肝臓が疲れて働きが低下すると、本来なら肝臓で分解される有毒な成分が分解されずに体内に残ってしまいます。アルコール、薬、老廃物などの体に有害な物質を分解して体に害を及ぼさないように無毒化するのが肝臓の大切な働きですが、この力が弱まると、有毒な成分が身体中に流れて行き、口臭を発生させる原因となってしまうのです。
肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝ガンなどの可能性も否定できませんが、単に不節制や全身的な疲れやストレスが続いている場合もあります。
肝臓が原因の口臭は「ドブの臭い」「ねずみ臭」「カビの臭い」と言われることが多いですが、肝臓の分解能力が低下しているのですから、色々な悪臭になります。またわずかな臭気であることも多いので注意が必要です。
アルコール飲みすぎ
健康な肝臓でも、処理できるアルコール量は、1時間につき、体重1kgあたり、純アルコール0.1gです。これを体重60kg、12時間でみると72gになり、日本酒で約3合、ビールなら1.5リットルということになります。夜飲んで朝までに分解するにはこれが限界です。
分解が間に合わないと、肝臓はアルコールをいったんアセトアルデヒド( CH3CHO)という物質に作りかえます。アセトアルデヒドは、非常に刺激の強い青臭いにおいを発します。
アセトアルデヒドと酢酸とアルコールの混ざった、非常にきつい口臭となります。
付け加えると、アセトアルデヒドは、良く知られた発がん物質です。食道は、アセトアルデヒドに弱く、食道がんのリスクを上げる物質です。(ちなみに口腔内細菌も大量のアセトアルデヒドを産出しています)
さらに、習慣的な過度の飲酒習慣者は、肝機能が低下するために、アルコール系の口臭はひどくなります。
腎機能障害
腎不全などの腎機能の低下による口臭は、魚の腐ったようなにおいやアンモニアに似たにおいがするといわれています。人間は、窒素(たんぱく質に含まれます)を排出する時、尿素という形にします。魚はアンモニアで排出しますが、尿素は不安定でアンモニアに変化しますので、腎臓からの排泄が間に合わないと、血液が汚れ、臭うのです。だから腎機能が低下している人は透析という人工的な血液浄化を週3回程度しないと死んでしまいます。
きれいな血液を維持するためには、肝臓や腎臓は大切なのです。疲労の蓄積などによりアンモニアが正常に分解できなくなると発生しますので、全身の健康は大事なのです。
糖尿病
糖尿病とは、(うーん名前が悪い、高血糖病と呼ぶべき)、インシュリンの不足などにより、血液中の糖分(ブドウ糖)の濃度が高い状態が慢性的に続く病気です。動物は、ブドウ糖を細胞内のミトコンドリアという器官のTCA回路で分解(燃やす)ことによりエネルギーを取り出しています。糖尿病の人は、糖を分解してエネルギーを作りだす力が弱くなり、代わりに脂肪やタンパク質を分解してエネルギーを作りだすようになってしまいます。
脂肪やタンパク質を分解しエネルギーを取り出すときに副産物としてケトン体という物質が生成され、この中にアセトンが含まれます。
アセトン臭とは
柿の腐ったような、リンゴの腐ったような臭いと表現されることが多い、甘酸っぱい感じですが、決して良い香りではなく悪臭です。
くどいですが、糖尿病の人はエネルギー源としてブドウ糖を上手く使用することができません。その代用として、ケトン体を使用しているのです。ですから、アセトン臭がある時は糖尿病を疑うのです。
浅草の歯医者さんは、みな賢いですから、こういったことも疑って歯を治療しています。
無理なダイエットでも
ダイエットで極端な 糖質制限をしていると、体内でケトン体が発生し、同じ臭いを放つようになります。
あまり無茶なダイエットをすると、思わぬ副産物を生んでしまうようです。また無理なダイエットは筋肉量が低下して、代謝の弱い貧弱な身体になります。リバウンドもしやすく、ガンになりやすい体質になります。
アセトン血性嘔吐症
疲れたり、ちょっと風邪をひいたりすると、すぐに吐いてしまう体質のお子さんがいます。昔は自家中毒、と呼ばれていました。アセトン血性嘔吐症という病気です。2~6歳の子供が発症することが多いです。
とても元気に一日を過ごし、疲れて夕飯も食べずに寝てしまったら、翌日の朝ぐったりとして起きられず、何か飲ませても吐いてしまう。風邪をひいて熱が出ると、いつも吐気がでてきて吐いてしまう、水分がとれずにいつも点滴になってしまう。
こんな状況がアセトン血性嘔吐症です。
糖は、体の中では肝臓や筋肉の中に貯蔵されていますが、肝臓の中の糖の貯蔵は数時間しかもちません。特に子どもの場合、貯蔵は少ないためすぐに使い果たされます。糖が足りなくなると、体は栄養源として脂肪を分解します。その結果、ケトン体という代謝物が出てきます。ケトン体は酸性なので、血液は酸性に傾き、吐き気、腹痛などの症状がでてきます。
詳しくは、小児科の先生の仕事ですが、ぐったりして吐いているときには、糖分と塩分の入った水分をほんの少しずつ飲ませて下さい。OS1などの経口補水液は糖分と塩分のバランスが整っていて、効率よく水分摂取ができます。吐気止めを使って水分がとれるようにしてあげても良いでしょう。吐気が強くて、ぐったりして眠りがち、などという状態の時には点滴などで早急に糖分と水分を補給することが必要です。
大人も同じです。過労に注意
過労にも注意しましょう。疲れ気味のときは早く寝る。休日はしっかり休養する。夜ふかししないなどの気配りが必要です。 (>人<)
呼吸器系が原因の口臭
気管支炎、肺ガン、肺結核、などが原因の場合があり、注意が必要です。肉の腐ったような臭いがするといわれています。
消化器系が原因の口臭
逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、胃ガン、食道ガンなどの場合もあります。呼吸器系同様、肉の腐ったような臭いがするといわれています。
耳鼻咽喉系が原因の口臭
扁桃炎、咽頭膿瘍、咽頭ガン、副鼻腔炎・副鼻腔ガンなどが原因と考えられます。この場合も肉の腐ったにおいが特徴です。これをエソ臭といいます。漢字では壊疽と書いて、皮膚とかが腐ってしまった状況です。においはとてもくさ~いという以外にうまく表現できません。
便秘
便秘のため、排泄されずに体内にとどまった便から、時間が経つにつれにおいが作り出されます。便(うんこ)は利用できなかった食物のカスや、腸内細菌の死骸です。いつまでもためておくものではありません。ウエルシュ菌などの悪玉菌の影響でさらに毒性の高いものに変化していきます。毒だから臭いのです。血液に溶け込み、呼気から排泄されるので、息がウンコ臭くなります。もちろん大腸がんなどの怖い病気のこともあるので、注意が必要です。
タバコ
大きな要因をわすれるところでした。百害あって一理なしの代表、タバコです。ガン、歯周病などさまざまな原因になりますが、口臭の原因としても大きな問題です。
タール
タバコによる口臭の原因として、まず考えられるのはタールです。一般的に「ヤニ」と呼ばれている成分です。植物の加熱で発生する成分で、強い悪臭を放ちます。成分中にはベンツピレンやアミン類など多くの物質を含んでいます。喫煙後、タバコのフィルター部分に見える茶色のシミはタールによるもので、これは舌や歯、歯垢、歯石などにも付着します。口腔内ばかりでなく、食道・肺などにも付着します。
ニコチン
ニコチンは、毒物および劇物取締法に毒物として指定されている物質です。タバコ中毒をおこす大きな原因です。依存性が極めて強く、文字通り「毒物」です。
毛細血管の収縮や血圧上昇をおこす作用があり、それにより口腔内においても血液の循環機能が低下し、唾液の分泌が抑制されるなどの、口腔機能の代謝低下がおこってしまうのです。歯周ポケットの酸素濃度が低下し、酸素を嫌う、嫌気性菌が活性化し、揮発性硫黄化合物が発生するために、ひどい悪臭が起こってしまうのです。、
一酸化炭素
一酸化炭素は、赤血球内のヘモグロビンと結合して、酸素の運搬障害をひきおこします。その結果、体内の酸素不足を引きを起こします。全身の機能低下はもちろん、唾液量の減少によりドライマウス(口腔乾燥症)の原因にもなります。
薬の影響
口腔乾燥が副作用として報告されている薬物は、数多くあります。
抗コリン薬、抗うつ剤、抗不安薬、抗パーキンソン病薬、アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、降圧剤、鎮痛剤、睡眠薬など
これにより、口腔内環境が悪化し、口臭につながる場合があります。ただ歯石除去など、歯科医院での治療によって、かなり軽減できる場合が多いので、ぜひ歯科医に御相談下さい。
口腔に原因
さて、引き続きお話をつづけましょう。やはり口臭の原因の多くは口の中です。口臭の9割程度が口腔由来であると考えられています。でも困ったことに、自覚していない人が多いのも事実です。
歯周病菌
口腔内環境
春夏秋冬、氷河期など地球環境も一定ではありません。口腔内環境も年齢や管理などで、環境悪化をおこしてきます。最大の原因は歯周ポケットです。この歯周ポケットが深化することにより、危険なバイ菌の成育しやすい環境が出来てくるのです。歯周ポケットが3ミリ以上になってくると、歯ぐきの炎症がひどくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入してきます。歯槽骨や歯根膜も破壊されはじめます。深く形成されたポケット内には、歯ブラシも入り込めず、また酸素の無い環境が形成されてきます。これに伴い、質の悪いバイ菌が多くなっていくのです。
レッドコンプレックス(Red Complex)
口腔内には700種類以上の細菌が成育しています。ひとまとめに虫歯菌とか歯周病菌とかにくくられてしまいますが、多くの種類の細菌が影響をおよぼし生育しているのです。
その中でも、歯周病を重症化させる3菌種をレッドコンプレックスと呼んでいます。
口臭の原因はPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
慢性歯周炎の患者さんの歯周ポケットから、高頻度で検出される菌です。骨を溶かす作用が強いだけでなく、口腔内の悪臭の原因になります。
口臭に含まれる不快なにおいの成分は20種類ほどありますが、なかでも揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ・VSC)は特有のにおいがあります。
揮発性硫黄化合物は主に次の3種類のガスからなります。
•硫化水素(卵が腐ったようなにおい)
•メチルメルカプタン(生臭い、魚や野菜が腐ったようなにおい)
•ジメルサルファイド(生ゴミのようなにおい)
口臭はこれらのガスが混合したものなので非常に不快なにおいとなります。
硫化水素は腐った卵のようなにおいや温泉臭に似て、メチルメルカプタンは魚の臓物臭のようなにおいに似ています。
舌苔(ぜったい)
舌の表面の角質が伸びて硬くなり、隙間に細菌や汚れが溜まり、舌が白く苔が生えたように見える状態です。舌苔の原因は口呼吸や、消化器系の疾患、体調不良などがありますが、原因が不明なことも多いです。
口臭の主な成分の一つである硫化水素が、舌苔に関連していると言われています。口臭の原因の60%を占めるという研究報告もあります。
舌苔は必ずしも病気ではありません
舌苔は誰もが持っているもので、必ずしも病気ということではありません。でもひどくなると口臭の原因になったりするので、注意は必要です。舌苔が厚くなる原因としては、
1.唾液の量
唾液は口の中を洗い流す作用や殺菌作用があるので唾液が少ないと細菌や食べカスが舌に残り舌苔ができやすくなります。
2.ストレス
ストレスが溜まると自律神経の働きが乱れ、唾液が分泌されずらくなり、細菌が繁殖しやすくなります。
3.口で呼吸する
口で呼吸していると口の中は乾燥します。口の中が乾燥すると汚れが落ちにくくなるので、舌苔ができやすくなってしまいます。
舌苔を除去するには
舌苔はうがいだけでは取り除くことはできません。舌苔除去には専用の舌ブラシかやわらかい歯ブラシ、またはガーゼなどを使用します。鏡を見ながら舌の奥の方から前方へやさしくこすります。1日何回も行ったり、力を入れすぎると舌の表面を傷つけてしまいますので気をつけましょう。
どちらかというと、取り除くことを考えるより、ついてしまう上記の原因を無くすほうが合理的です。やりすぎてかえって舌を傷つけてしまうことのほうが危険です。
虫歯
初期のむし歯程度では、臭いはそれほどではありません。しかし、むし歯の穴が大きくなってくると、そこに食べカスがたまり、バイキンが腐敗性のガスを生じるので、口臭の原因になってきます。むし歯がひどくなり、神経(歯髄)がやられると、ズキズキした痛みを生じます。臭いも強烈になり、卵が腐った臭い、チーズが腐った臭い、公衆便所(汚物)の臭い、膿の臭いなどの表現になります。
歯医者怖くて我慢をしていると、ふっと痛みが消えてしまう場合があります。むし歯が治ったのではなく、感じる神経まで死滅してしまった状態です。強烈な腐敗臭が漂います。歯科医院でも、マド全開です。それでも診療室中、臭いがなかなかとれません。
親知らず
専門的には、智歯(ちし)と呼び、前から8番目、一番奥にある歯です。現代人は顎が小さくなり、親不知の萌えるスペースが確保できないことが多く、まっすぐ綺麗に生えているケースはすくないです。斜めに生えていたり、横向きに生えたりするために、歯と歯の間や、歯と歯肉との隙間に汚れが溜まって臭いがでたり、虫歯になって臭いの毒素を発生させ、口臭の原因になっていることも多いです。
、腐った臭いや膿の臭いがしたらすぐに歯科医院においで下さい。
対処法としては抜歯を考えざるをえないことが多いです。ただケースバイケースで、むし歯を治療して保存できる場合もありますので、とにかく信頼のおける歯科医院(浅草なら歯科医師会の会員の先生であれば大丈夫です)で診てもらって相談して下さい。
むし歯の再発
一度、治療したむし歯が、再発することはよくあります。歯科医の力を過信しないで下さい。
かぶせたり、詰め物を装着したり、さし歯は、すべて、継ぎ目ができます。この継ぎ目は、温度変化や、力がかかる事により、経年劣化していきます。ココからむし歯が再発します。
神経を取っていることも多いですが、この場合、痛みが生じません。気づかないうちに進行してしまう場合も多く、気づいた時には手遅れ(抜歯)なんてことも多々あります。
とにかく、臭いで気になったら、歯科医院でみてもらって下さい
対応法
犬の嗅覚は、刺激臭は人の1億倍。オスは発情期のメスのニオイを8kmほど離れた場所でも感知できます。嗅覚細胞自体が、人間の50倍もあり、また細胞自体の能力が人間の嗅覚細胞より格段にすぐれているのです。というより、人間の嗅覚が異常に低機能なのです。
ですので、口臭に対して必要以上に気にすることはありません。
口臭を気にする人の約半数は正常
口臭を気にして歯科医院を訪れる人の半数は、他人にはわからない程度のもの、つまり気にする必要のない程度の臭いです。
「自臭症(自己臭症)」といって、口臭に神経過敏の人が多いのです。
相手が鼻に手をやっただけで自分の口臭のせいだと思い込んだり、子どもの頃に家族などから「口が臭い」と一度いわれたことを、大人になってもずっと気にしている人もいます。口臭というのは、自分で気にするほどには、他人にはわからないです。
ですので過敏になる必要はありません。また、きちんと口腔管理をしていれば、たいていの口臭は解消できます。
生理的口臭とは
生理的口臭というのは、健康な人でもしばしば起きる口臭のことをさします。
朝起きた時、お腹がすいた時、疲れている時、妊娠時、月経のときなど、唾液の分泌が減ると、若干の口臭を生じることが多いです。
色々な食べ物を食べる口の中です。バイ菌も0にすることはできません。人が気にならない程度の臭いはどうしてもあるのです。
でも、気になるのが当たり前です。
脳は慣れてしますと刺激を感じなくなるのです。習慣みたいなものと言ってもいいかもしれません。トイレで大をした時にあまり臭いが気にならないのがこれです。自分の臭いは24時間365日一緒にいるのですから、臭いと一体となっているので自分の臭いは気がつかないことが多いのです。だからこそ他人がどう私の口臭を気にしているのか、自分では、わからないからこそ気になる、当然です。
正常なのか、異常なのか? 何か病気が隠れているのでは? 口臭のせいで人から嫌われているのでは?
それを解決するのがわれわれ医療の専門家です。口臭にかぎらず、身体で不安なことがあれば、どんなささいなことでもおいで下さい。
とにかく、臭いで気になったら、歯科医院でみてもらって下さい。
とりあえずの自己チェック
でもやっぱり、歯科医院へ行く前に自分でチェックしてみたいという方に、自己チェックの方法としては、
マスクで口臭チェック
1 鼻から顎まで覆える、大きめの、できれば香りなどの付いていない、使い捨てマスクを用意して下さい。
2 マスクを、鼻のワキなどに隙間ができないように、しっかりあてて下さい。
3 鼻から息を吸って、大きく口から吐いて下さい。
4 5分程度、続けて下さい。
5 マスクをとり、1分程度してから、マスクの臭いをかいで下さい。
あまり長い時間、マスクを装着していると、マスクに付いた唾液がバイ菌の影響で臭いを生じてしまいます。
時刻などにより、変化するので、何回か時間を開けて行うのが効果的です。
コップを使って口臭チェック
コップに息を吐いてチェックする方法があります。ビニール袋でもできますが、ビニールだとビニール自体の臭いがある場合が多いので注意して下さい。
1 コップと隙間ができないように、ぴったりと口に付け、息はなるべく大きく吐き出してください。
2 息を吐いたらすばやく口から離し、手のひらでしっかりコップの口を塞ぎ、一呼吸おいたら臭いを嗅いでみてください。
口臭の軽減方法
病的な口臭は、原因の除去が肝心です。歯周病や虫歯の治療、タバコを吸うなら禁煙です。糖尿病など全身的な疾患があれば、それに対する対応も重要です。でも,
大事な時に口臭が気になる
くどいですが口臭はだれにでも有ります。口のなかは湿気があって温度も高く、食べ物を食べるのですから、雑菌がはびこり、臭いを発しやすい環境になっています。ふだんは唾液の抗菌作用によって、口臭もおさえられています。ところが起床時や空腹時には唾液の分泌量が減るため、いつもより口臭が強く感じられます。
仕事やプライベートで大切な人に会うというとき、妙に口臭が気になることはありませんか。これも緊張によって唾液の分泌量が減ってしまうためなのです。また月経時や妊娠時には、ホルモンの作用によって口臭が強くなることもあります。
こうした口臭は一時的なものなので、歯みがきやマウスウオッシュ液、ブレスケア用品などで解消することができます。ガムを噛んだり、アメをなめたりすることでも、唾液の分泌をうながし、口臭が薄まります。 私の秘策は、グレープフルーツジュースか、不二家のネクター、白桃を丸ごと裏ごししたピーチピューレで作った果汁飲料です。桃をそのまま食べているような風味、と宣伝にある通り、結構ごまかせます。
ふだんの日常生活で気をつけることは
オーラルケア(口腔管理)
健康のために、私はスポーツクラブに通っています。お気に入りはセントラルスポーツ南千住です。スポーツジムは、至れり尽くせりでお風呂もあります。そこで気になるのが歯みがき、温泉など遊びに行ってもついついのぞいてしまうのが、隣の人の歯みがきです。イャー歯科医院で教えているような、正しい(ゆっくり、丁寧な、時間をかけた)歯みがきをしている人は、見たことがありません。たまーに発見して声をかけると、相手も歯医者さんだったり (*^_^*)(=^▽^=) 。
ぜひ、正しい歯みがきの方法を、歯科医院で教わって下さい。
でも、歯ブラシだけではだめです。糸ようじ(デンタルフロス)などの補助器具も必要です。
全身の健康管理にご注意を
浅草田中歯科医院のコンセプト(基本的な概念)は、「全身の健康無くして、歯の健康はない」です。
朝ごはんを食べなかったり、寝不足や、深酒など不規則な日常生活、
過大なストレス、
運動不足
などが、大きな口臭の原因になります。
唾液の分泌促進
唾液の分泌量が少ないと、細菌が増殖して口の中が不潔になり、口臭が発生します。すなわち口臭の予防・対策に唾液分泌はきわめて大切です。
リラックス
緊張すると唾液分泌が減り、リラックス状態のときは唾液が出やすくなります。緊張して口が渇く時は肩の力を抜いて、深呼吸してみて下さい。
脱水に注意
熱中症もそうですが、体内の水分が足らないと危険です。唾液もでにくくなります。
唾液腺マッサージ
頬に手の掌をあてて、一秒間に1回のゆっくりとしたペースで、30回ぐらい、円を描くように回して下さい。
朝起きた時、寝る前、お風呂など時間が出来た時にやってみるとよいでしょう。
頬のマッサージをすることによって、血液の循環を良くすることが出来ます。唾液の分泌促進のほか、顎の関節のマッサージ(顎関節症の軽減)、顎を動かす筋肉の緊張緩和にも効果的です。
マウスウォッシュ(洗洗剤)
「洗口液」は、歯ブラシを使わずに、適量を口に含んですすぐことにより、主に口臭の防止や口中の浄化、あるいは口中を爽快にするものです。
マウスウォッシュを使用することで確かに殺菌効果はありますが、かえって、病原菌が口から体内に入ることを防ぐ役割をする常在菌まで殺してしまい、人間の本来持っている防衛機能が低下する恐れもあるとの指摘もあります。また唾液の分泌を低下させるとの報告もあり、長期の使用に対して、疑問視する考えもあります。
パセリで口臭予防
パセリはセリ科オランダゼリ属のハーブ(芳香野菜)です。古代ローマ時代より料理に用いられており、9世紀頃にローマからフランスへと伝わり、その後、ヨーロッパへと広がっていきました。なお、日本に入ったのは、明治時代とされています。
日本では主に葉を料理の付け合わせや飾り(デコレーション)として使われていますが、パセリには、口臭予防などの効果的な成分がたくさん含まれている栄養豊富な野菜なのです。
パセリの種類
日本でパセリといえば、モスカールドパセリです。縮れた葉のものですが、フランス料理やイタリア料理では平らな葉のイタリアンパセリも主流です。
その他にも、根がにんじんのような形のハンブルグパセリ(根を食べる)や、セロリのように茎の部分を食べるナポリタンパセリがあります。
パセリの効果
料理の彩りとして使われることが多いですが、パセリは、ビタミン・ミネラルを多く含む緑黄色野菜です。
体内でビタミンAに変化するβカロチンが多く、体の老化やガン予防に効果があります。ビタミンC、ビタミンB1も含んでいます。
さらに、カルシウムや鉄などのミネラルも含み、独特の香りには食欲増進効果があるので貧血の予防に効果があります。その独特の香りはアビオールという精油成分によるものですが、これには体内で食中毒を予防する働きや、食事中の口直しになります。アピオールには雑菌の繁殖を抑える働きがあるため口臭の防止にも役立ちます。 また、パセリの緑色のもとになっている葉緑素(クロロフィル)には消臭効果があるほか、フラボノイドには殺菌作用があります。ニオイの強いニンニク料理を食べた後などに特に効果的です。
小林製薬のブレスケア(1粒に10枚分のパセリオイルが配合)
DHCはエチケットカプセル(1日2粒あたりパセリ種子油(アピオール9%)160mg配合)
などサプリメントもあります。
パセリの副作用と注意点
ものごとすべてほどほどです。パセリにも副作用や摂取する上での注意点があります。
過剰摂取による副作用
妊婦や授乳婦さんはワーファリン(ワルファリン)服用中の方はにんにく にんにくをよく食べている韓国や中国東北部などの人は食べていない地域の人に比べ、ガン患者が少ないなどの研究もあり、結腸ガン、直腸ガンの予防の観点でリスク低下がほぼ確実とされています。このほかにも
● にんにくに含まれるスルフィド類が、免疫力を向上させる。
● エネルギー代謝にかかせないビタミンB1の吸収を、にんにくのアリシンが促進する。
● 末梢血管をひろげ、血液循環をよくする。
● 抗酸化作用を積極的に働かせ、アンチエイジングに効果的
など、健康増進に効果的です。
ニンニク臭の原因
にんにくは、刻んだりしなければ(傷をつけなければ)匂いはしません。にんにくに含まれる非タンパク性の含硫アミノ酸で「アイリン」という成分をもっています。にんにくが外敵である昆虫や動物によりきずつけられると、酵素アリイナーゼにより刺激臭や殺菌作用を発揮するアリシンに変化します。この匂いが強烈であるため、通常動物はニンニクを食べようとはしません。
アリシンは、さらに数種類のスルフィド類というにんにく特有のにおい成分に変化します。
ジアリルトリスルフィド(DATS)揮発性のイオウ化合物ですが、ガン細胞の増殖を抑え、寿命のある正常な細胞に戻してガン細胞を消滅させる働きがあります。
ジアリルジスルフィド(DADS)ニ硫化アリルとも呼ばれ、肝臓の解毒作用を強める作用や、神経細胞を酸化ストレスから保護して正常な機能を維持する作用のほか、活性酸素の除去効果があります。
ニンニク臭の対処法
★ にんにくを調理する際、にんにくを無傷のまま加熱すると、熱に弱いアリイナーゼが活性を失うため、アリインはアリシンになることなく、またにおうことなく食べられ身体に摂り込まれることになります。
☆ 食前の牛乳 牛乳のたんぱく質が、臭いの原因であるアリシンを包み込むからだと考えられています。
★ 食後に摂取するとよいとされている食材が3つ
パセリ 前記のとおり
リンゴ リンゴポリフェノールのアップルフェノン りんごジュースでも効果的。
お酢 アリナーゼの酵素の働きを抑制し、臭いの元を作る力を弱めてくれます。リンゴジュースにお酢をいれるのが効果的です。
食べすぎはダメ
★ 赤血球破壊 急激に赤血球が破壊される「溶血性貧血」を引き起こすことがあります。血尿、急性貧血をおこすことも。
★ 胃腸障害 腹痛や嘔吐、下痢、血便、胃の痛み、食欲不振といった中毒症状を起こす可能性も。また強すぎる殺菌作用によって、腸内細菌群(善玉菌)を破壊してしまう可能性もあります。
なにごともほどほどにです。