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洗口剤は安全ですか

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GW015_72A 洗口剤は、口腔(こうくう)内の洗浄・消毒するための液体です。洗口剤は、薬事法に基づいて、医薬部外品または化粧品に分類されます。洗口剤には、歯磨剤の特徴的な基材である、研磨剤・発泡剤・粘結剤が配合されていません。また、水に溶けにくい薬用成分を溶かす溶媒として、エタノール(アルコール)を配合していることが多く見られます。
 医薬部外品の薬効成分としては、塩化セチルピリジウム(CPC)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼンナトリウム、1,8-シネオール、チモール、サリチル酸メチル、ℓ-メントールなどの殺菌剤、銅クロロフィリンナトリウムなどの消炎剤、歯ぐきからの出血予防のためにトラネキサム酸などが配合されています。

洗口剤と液体歯ミガキの違い

 液体ハミガキは、練ハミガキから清掃剤(研磨剤)を除いたものです。歯を削り傷にする心配がないですが、茶シブ、タバコのヤニ等で歯の着色がみられやすくなります。(良心的なメーカー(たとえばサンスター・グラクソスミスクライン・ライオン・花王など)の歯ミガキペーストはおだやかな質の良い研磨剤を使用しているので、過度に心配することはありません。)
 これに対し洗口液は、ハブラシを使わずに、口をすすぐだけで、口臭の防止や口中の浄化等を行うというものです。ただし歯みがきの代わりではありませんので、日常の歯みがきは必要です。
洗口剤、液体ハミガキには、ほかにマウスウォッシュ、デンタルウォッシュ、デンタルリンスなどの呼び方もありますが、液体剤型の商品には、「洗口液」「液体ハミガキ」のいずれかを明記していますので、それで区別することができます。

アルコールを、含むもの、含まないもの

 アルコール(エタノール)つまりお酒です。洗口剤の中に入れたい成分が水に溶けないという理由(溶かしこむための溶剤)と、爽快感が得られるために入れられています。刺激が強いからといって、効果が強いというわけではありません。 
アルコール濃度も高いものが多く、18%に達するものもあります。(ビールが5%、日本酒で15%)
つまり、お酒に薬効成分などを加えたものと考えてよいです。アルコールの作用として
• 口の中がより乾燥する(唾液の分泌を抑制する)
• 口が荒れ、歯ぐきや舌が炎症を起こす。
• 口の粘膜がキズ付きやすくなる。
など、かえって口臭の原因など副作用が強くでる恐れがあります。
 このため、最近ではノンアルコールのものも、製品化されています。たいていノンアルコールと表示されているので、注意してみて下さい。

医薬品・医薬部外品・化粧品の違いは

「医薬品」は、病気の「治療」を目的とした薬のことで、厚生労働省より配合されている有効成分の効果が認められたものです。
「医薬部外品」は、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているものです。治療というよりは衛生・予防を目的に作られています。薬用=医薬部外品と考えて下さってよいです。
「化粧品」とは、医薬部外品と比較してもさらに効能・効果が緩和で、清潔にする、健やかに保つなどの目的で使用される製品です。殺菌などの効果の表示は認可されていません。

有効とされる成分は

 各メーカーが、しのぎをけずって、特徴的な成分を配合しています。

クロルヘキシジングルコン酸

 低濃度でも細菌の細胞膜に障害を与え、細胞質成分の不可逆的漏出や酵素阻害を起こし、抗菌作用(殺菌作用)を示す薬剤です。平たく言えば、細菌の皮膚を溶かして殺すということです。とても優れた殺菌剤なのですが、
禁忌(次の場合には使用しないこと)のなかに、膣、膀胱、口腔等の粘膜面[クロルヘキシジン製剤の上記部位への使用により、ショック症状(初期症状:悪心、不快感、冷汗、眩暈、胸内苦悶、呼吸困難、発赤等)の発現が報告されている。]とあります。
当歯科医院でも、口腔内の消毒には絶対使用していません。だって、添付文書情報(薬の箱の中に入っている薄くていっぱい細かい字の書いてある紙です。でもとても大切な情報です。薬の使用説明書ですから)
つまり、口の中には使うなと書いてあるのです。
アレルギーの問題ですから、この薬にアレルギーが無ければ問題ないのですが。 (?_?) (^^ゞ(◎_◎) (☆o☆)

1,8-シネオール

 シネオール (cineol) のナンバリングは,基本骨格であるp-メンタン (p-menthane) のナンバリングが使われ,1位と8位の間にエーテル結合がありますので1,8-となりますが、(有機化学の専門家しか理解できないと思いますので無視して下さい。知識をひけらかしているだけです。)
ユーカリやローズマリー(ハーブ)に含まれる成分です。去痰・抗炎症・抗菌・抗ウィルス作用に優れているとされます。
そのためアロマテラピーでは、ローズマリー・シネオール精油は、風邪やインフルエンザの予防、喉の不快感や花粉症による鼻炎など呼吸器系のトラブル緩和に高い効果を発揮してくれると考えられています。
 でも水に溶けないです。だからアルコールが洗口剤に入っているのです。

塩化セチルピリジニウム(CPC)

 塩化セチルピリジニウムというよりCPCという名称のほうがなじみ深いかもしれません。強い殺菌、抗カビ作用をもったカチオン界面活性剤です。塩化セチルピリジニウムは、主に口腔内で発生して繁殖しやすい細菌を消毒殺菌するために用いられる薬剤です。口の内で発生するレンサ球菌やブドウ球菌といった病原菌を死滅させるという作用に優れているので、咽頭炎・扁桃炎・口内炎の消毒に使用されています。
副作用として口腔・咽頭での刺激感や不快感、過敏症(発疹)などがありますが、大きな問題はありません。
しかし、歯面の汚れであるバイオフィルムに対してはCPC自体がカチオン性物質でプラスイオンを持っているため、マイナスに帯電したバイオフィルム表層の細菌に吸着し、それ以上奥まで浸透することができません。このため効果に疑問がもたれています。

イソプロピルメチルフェノール(IPMP)

 IPMPは非イオン性であるために、バイオフィルム表面にとどまることなく、バイオフィルムの表層を突き抜けて、次々と殺菌しながら奥深くの細菌にまで到達することができ、バイオフィルム全体を殺菌することができます。50年以上の長い歴史をもつ(古い)殺菌剤ですが、どうもこれが、一番ましかなーと筆者は考えています。

長期連用の問題点

 大切な人に会うので、という理由で使用するのであれば、とても良いことだと思います。口臭がするのではなどと余計な心配をしなくて済みます。自分に自信を持たせることもできるでしょう。
短期の使用であれば、アレルギー(体質的に合わない)問題以外、気にすることはないと思います。
 ただ長期に連用するのは、当歯科医院としてはお勧めしていません。

唾液の分泌を抑制する

 出来れば、ノンアルコール(アルコールの入っていないもの)をお勧めします。強い刺激を加えると唾液腺がショックで働かなくなります。アルコールは水を吸い取る性質があるので、口腔の粘膜の潤い(うるおい)も吸いとってしまいます。乾燥粘膜になってしまい、粘膜の抵抗力を奪ってしまいます。

殺菌そのものが問題です

 無農薬のトマト、無農薬のお米、高いです。人間が食べて美味しいのですから、虫にとってもごちそうです。
害虫を防ぐのに、効果的なのが、殺虫剤。
口の中も、畑と同じです。虫の字をバイ菌の菌に換えれば、殺菌剤です。
 たとえば、腸内細菌。殺してしまえ、との考えはありません。100兆個にもおよぶ腸内細菌を死滅させることは不可能ですし、もしできたとしても、食べればすぐに菌が入ってきます。乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌を増やし腸内環境を整えるのが、大切とされています。
 口の中だって同じです。むし歯や歯周病が注目されるあまり「口腔内のバイ菌」=「悪」とみんな思い込んでいるのです。

常在菌は殺しすぎないのが大切

 常在菌というのは文字通り”常に存在する菌”のことで、肌にも腸内にも、空気中にだって数え切れないほどの菌がいます。菌というと”汚い”とか”病気やむし歯の原因になる”と嫌われがちですが、菌は悪者ではありません。
 じつは、口腔内からは強病原性菌が検出されることは極めて稀なのです。
 悪性度の強い代表的な歯周病原菌であるポリフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)ですら、その内毒素活性は、大腸菌などの一般細菌に比べて極めて低いのです。したがって、歯周病は、発症までに何十年もかかります。
これらの口腔内常在菌が、外部から侵入して来ようとする、より有害な細菌の侵入を防いでくれているのです。

洗口剤で口腔内細菌を殺せると思うのが人間のつけあがりです。

 洗口剤で、むし歯菌や歯周病菌を退治できるなら、こんな簡単なことはありません。我々歯科医、歯科医院は全部倒産です。相手もしたたかです。バイオフィルムという強固な膜を作り、粘液を作り、殺菌剤の侵入を拒みます。
洗口剤を使っているという誤った安心感から、歯科医院から縁遠くなったり、歯ブラシがおろそかになる人をたくさん見てきています。

菌交代現象をひきおこします

 口腔内には700種類以上の細菌が暮らしています。薬によって効きかたが異なります。本来勢力の強い菌群が、薬の影響で死にたえると、常時は少数の菌が異常に増えたりすることがあり(耐性菌の異常増殖)ます。
 異常に増殖した菌によって新しい病気が引き起こされることがあり、この病気を菌交代症といいいます。交代する菌としては耐性ブドウ球菌や真菌類(放線菌、カンジダ、アスペルギルスなど)のことが多く、カンジダ症などがあります。

結論

 
洗口剤に関しては、いろいろ考え方もあり、良い点、悪い点を良く考えて、お使い下さい。物事イメージです。
たとえば、食器用洗剤、どこのご家庭の台所にも有ると思いますが、野菜をこれにつけて洗いますか。
 食器洗い用洗剤の後ろのラベルをみてみて下さい。用途の所を見れば「野菜・果物…」とあるものが多いです。
げっ w(゚o゚)w  でも、洗ってよいとメーカーは明記しています。
イメージにまどわされずに、よく情報を精査してください。

なお、フッソ洗口剤は別の機会にupします。

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