ガンなどの病気の場合、体の痛みや苦しみだけでなく、悩みや不安、恐怖といった心の問題も強く伴います。そのような精神的な苦痛を含めた、体と心の全体的なケアを緩和ケアといいます。
医療は革新的に進歩していますが、万全なものとはほど遠い状態です。体の治療に焦点を当てて発達してきたということもあり、完全に治すことができない場合、延命いう方法が中心に考えられてきてしまっています。
緩和ケアは、「単に命を伸ばすこと」から「自分らしく生きること」へ視点を変えて支援します。
身体的な痛みを和らげることはもちろん、その上で、好きなものを食べる、家族とすごす、外出や旅行をする、など普段と同じような日常生活を可能な限り送れるようにサポートし、患者さんや家族を含め、心のケアも行います。
少し前までは、緩和ケアは末期癌などの余命が少ない時期の患者さんに対するケアと考えられていましたが、最近はガンに限らず、命を脅かされるような病気を抱える患者さんと家族に早い段階から提供されます。
訪問診療医や訪問看護師、リハビリの専門家、福祉スタッフ、臨床心理士、もちろん我々歯医者も協力し、チームを作り、サポートをしていきます。
歯科での取り組みは
健康であれば、「食べる」という行為はごく当たり前な事です。しかし実は意外と体力や気力を使います。
手が上手に動かなければ食べ物を口の中に運べませんし、特に大きく問題になるのが「飲み込み」です。のどの機能が低下すると、上手に飲み込めなくなります。誤嚥性肺炎など危険性も高まり、食べる機能が落ちないようにしていきます。
また、唾液の分泌が低下したり、歯みがきが上手にできなくなるなど、口腔内の環境も悪くなります。虫歯や歯周病だけでなく、口内炎などが多発し、痛くて食べられないという状態もできれば避けていきたいものです。