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骨粗鬆症のお薬を服用している方へ

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 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)「骨密度が低下し、骨折する危険が大きくなりやすい病気」の治療薬の中に「ビスフォスホネート系薬剤」と呼ばれるグループの薬があります。副作用として顎の骨の壊死(組織が死んでしまうこと)や骨髄炎(骨の炎症)が起こることがあり注意が必要です。
 抜歯などの歯科治療を行った際に現れるがあり、この薬を服用(注射薬もあります)している方は必ず歯科治療の際に歯科医師に、この薬を服用している事を告げて下さい。
 不潔な口腔内はこの薬の副作用が特に発現しやすく、口腔内をきれいに保つこともとても大切です。歯や顎などに違和感を感じた場合は、ただちに歯科医院に相談してください。
 ビスホスホネート系薬剤は飲み薬や注射薬がありますが、骨粗鬆症以外の病気の治療にも使われています。歯科治療を受ける場合は、現在服用または使用している薬を歯科医師にお伝え下さい。

現在よく使用される主なビスホスホネート系薬剤

アクトネル

アクトネル

ベネット

ベネット

ボノテオ錠

ボノテオ

ボナロン錠 ボナロン経口ゼリー

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リカルボン錠

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ダイドロネル錠

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骨粗鬆症とは

 古い建物が壊され新築のマンションが出来るように、身体も新旧交代が起こっています。これを新陳代謝といいますが、骨でも古く痛んだ骨が新しい新鮮な骨に作りかえられています。壊す細胞を破骨細胞と呼び、新生する細胞を骨芽細胞と呼んでいます。
 若い元気なうちは両者ともに活性が強く、力強く、骨の新陳代謝が起こっています。しかし歳をとっていくと、骨を新生する骨芽細胞の数、力共に弱っていき、その割には破骨細胞の力が弱らずだんだんと骨の密度がスカスカになっていきます。これを骨粗鬆症といいます。

ビスホスホネート製剤(BP製剤)の作用機序

骨が壊れていく骨吸収を起こす破骨細胞の働きが抑えられれば骨吸収も抑制されるはずです。破骨細胞を抑える薬がビスホスホネート系薬剤なのです。専門的に詳しく述べると、薬は体の中に入るとすぐに骨のカルシウム分に沈着します(沈着しなかったものはすぐに腎臓から排泄されます)。骨のカルシウム分に沈着したビスフォスフォネート製剤は次に骨を溶かす細胞である破骨細胞によって、骨から溶かし出されてこの破骨細胞にだけ取り込まれます。細胞の中に取り込まれたビスフォスフォネート製剤は、核酸(DNA)に取り込まれて細胞を死滅させます(第1世代)。骨形成不全症の治療に使われる第2世代以降のビスフォスフォネート製剤は、細胞に取り込まれるとメバロン酸代謝経路を阻害して破骨細胞の働きと生存に必須の物質が供給できなくなり、やはり破骨細胞は機能停止、死滅ということになるのです。このように、骨にだけ沈着する性質を持っているということと骨を溶かすことによって初めて細胞に働くことから、この作用は破骨細胞だけに現れるのです。骨を作る側の細胞である骨芽細胞には薬の影響は現れないので、骨は同じように作られていきますから結果として骨の量は増え、骨粗鬆症の治療ができるというわけです。

ビスホスホネート製剤(BP製剤)の副作用

ビスホスホネート系薬剤による治療中に、ある種の医薬品・局所(あご付近)への放射線治療・抜歯などの歯科処置・口腔内の不衛生などの条件が重なった場合、顎の骨に炎症が生じ、さらに壊死する顎骨壊死(がっこつえし)がみられることがあります。
 ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死は難治性で、消毒や感染予防のための抗生剤の投与、鎮痛剤の投与を行いますが、数か月に及び痛みや膿の排泄が続くことが多く治療に苦慮することがしばしばあります。

服用または注射をする前に必ず歯科医院へ相談して下さい

 投与される整形外科の先生と相談し、骨粗鬆症の治療のためのビスフォスフオネート治療の前に、歯科治療を(特に外科的処置)早めに行うなどの対応をとります。

思い当たる症状がでたら、放置せずに医師・歯科医師・薬剤師に相談して下さい

「口の中の痛み、特に抜歯後の痛みがなかなか治まらない」
「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」
「あごが腫れてきた」
「下くちびるがしびれた感じがする」
「歯がぐらついてきて、自然に抜けた。」

症状がなくても歯科検診を

 顎骨壊死は、口の中が不衛生な状態において生じやすいとされています。従ってビスホスホネート系薬剤の治療を受けている患者さんは、定期的に歯科を受診し、歯ぐきの状態のチェックを受け、ブラッシング(口腔清掃)指導、除石(歯石の除去)処置などを受けておくことが大切です。 
 ビスホスホネート系薬剤に関連した病変が生じる部位は現在のところ顎の骨に限られています。ただ、一度発症すると完全に治癒するのは困難です。従って日頃の予防が極めて大切です。

顎骨壊死の発生頻度は

 経口薬(飲み薬)で0.01%~0.04%
 注射薬で     0.8%~12%(じゅうにです。1てん2ではありません)
といわれていますが、詳細は不明です。また抜歯によりリスク(危険性)が10倍になるとの報告もあります。

医科の先生にお願い

 歯科治療が骨粗鬆症の治療の妨げにならないように田中歯科医院では注意しております。残念ながら骨粗鬆症を発症する方は運動習慣が無いなど、歯周病のリスクファクターと重なる事が多いです。
 歯科治療の有無のご確認は頂いていると思いますが、患者さんご本人が「歯は大丈夫。歯医者には通院していない」と仰っても、決して信用しないで下さい。ビスホスホネート剤による治療開始前に浅草歯科医師会会員の先生でしたたら、ビスホスホネート系薬剤と歯科治療の関係についてとても造詣が深いので、浅草のどこの歯科医院でも大丈夫ですので歯科検診を患者さんにお勧めいただきますようお願いします。甚だ失礼なお願いで申し訳ありません。

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