新規製作した入れ歯が合わない方は ↓
本当は、歯だけで充分なのに、ピンクの床(義歯床)や支えるバネ(クラスプ)など余計なモノがついてくるのが、入れ歯(義歯、デンチャー)です。とっても違和感があるでしょう。個人差もありますが、自分自身でやってみないと解からないものです。
はじめてスキー板を履いたようなものです
40才50才になって、生まれて初めてスキーをすべったらどうでしょう。スキー板を履いただけで、こんなものつけたら、歩くのもできないよ、となるにちがいありません。プロでもスキー板なしで、滑れる人はいません。でも初心者にとっては、不便この上ないものでしょう。道具なんてそんなものです。道具は便利で、頼りになるものなのです。
我々歯科医が協力します
「私は入れ歯になれるのかしら?私にはとても無理」ではなく、「入れ歯に挑戦して使いこなしてやる」気持ちが大切なのです。
スキーなどのスポーツも、自己流でものにしていくのもよいのですが、きちんとレッスンを受けて、助言をしてもらったほうが上達も早いです。歯医者さんをうまくつかいこなして、がんばりましょう。
でも痛くていれられない
靴と同じです。靴やさんで靴を買う時に、ピッタリと思っても、実際に歩いたり走ったりすると、靴ずれをおこしたりまめができたりします。動けば筋肉が延びたり縮んだり、形がかわります。顎もこれと同じで、食べたりしゃべったりすると形が変わります。頬に手をあてて噛みしめてみれば頬の筋肉が張るのがわかります。
顎の粘膜にあたって痛いところを、使っていただきながら調整することが必要なのです。
噛み合せやバネの調整を何回もおこなって。使いやすい入れ歯になっていくのです。
でも何度調整しても痛いんですが
シップ薬でかぶれやすかったり、肌の弱い人がいます。実は口腔内の粘膜も同じで、体質的に弱い人もいます。次にあげるような体質の人は、なかなか入れ歯になれてくれず、いつまでも苦労します。
栄養状態の悪い方
はりのあるお肌、化粧品メーカーのCMじゃないですが、顎の粘膜も同じです。きちんとたんぱく質をとらないと、しわしわの歯ぐきになってしまいます。その上に入れ歯を入れても安定しません。骨も大切です。顎の骨、その上に顎の粘膜があるのですから。でんぷん質、ビタミン、ミネラル、バランス良く適量食べる、栄養状態も大切なのです。
生活習慣は良好ですか
栄養だけでなく、きちんとした睡眠も大切です。運動不足はありませんか?
カルシウム不足が叫ばれますが、カルシウムを摂取しても、運動しないと骨に吸収されません。弱った骨の上に入れ歯をいれても安定しません。
ストレスは大丈夫ですか
入れ歯を安定させる大切な要因に「唾液」があります。ヌルヌルした粘性のある唾液が、入れ歯と粘膜がこすれてキズになるのを防いでくれるのです。ストレスが強いと、交感神経が緊張して唾液の分泌が悪くなります。
また、必要以上に食い縛ってしまうので、義歯に無理な力がかかり、粘膜が傷になりやすいです。
口腔内の清掃状態は良好ですか
口腔内の汚れ、つまりバイ菌ですが、歯だけではなく、義歯を支える粘膜も傷めます。義歯や口腔内を清潔にたもつことも大切です。
頬をかんでしまう
はい、よくやっちゃいます。もともと歯のものだった場所が、スペースとして空いていたので、そこに舌や頬が居座ってしまったのです。急に歯がはいったので、なれないのです。特に長い間、義歯を入れてなく欠損状態が続いていたかたに多くみられます。また反射神経の低下によることも多いです。
一度、咬んでしまうと、傷になります。キズがなおるまで、しばらくはずしているのも方法です。通院している近くの歯医者さん(主治医)に相談してみてください。
うっとうしいし、しゃべりにくい
四畳半の部屋でも何もなければ、結構ひろいものです。でもベットやTVやタンスやすぐにせまくなってしまいます。歯や舌にとって、口の中に義歯が入ればその分狭くなります。じゃまなのが当たり前なのです。
義歯を薄くすると、材質的に強度が低下します。小さくすると安定しにくくなります。
患者さん、それぞれの状態を見ながら、我々歯科医は調整を繰りかしていきます。保険外になってしまいますが、薄い金属の床の入れ歯をお勧めする場合もあります。
のんびり気長に頑張りましょう
義足や義手と同じです。不幸にして体の一部を失ってしったのです。それを補填して補助するのが、義歯です。どうしてもご自分の歯のようには、自由にいきません。d
イチゴのつぶつぶが義歯の下に入っただけでも痛いです。ガムを食べれば、ガムにくっついてはずれてしまいます。御正月のおぞうになどのお餅も苦手です。
柔らかい、食べやすいものから少しずつ慣らしていきましょう。調整半分、なれ半分です。パラリンピックをみると、義足とは思えないスピードで走る選手がいます。あそこまで道具を自分の体の一部として使いこなしているのを見るととても素敵だなーと思います。主治医の先生と二人三脚でがんばって下さい。
おまけ
日本の入れ歯の歴史はヨーロッパより200年も早く、16世紀半ばには「噛める総入れ歯」が実用化していました。
現存している世界最古の総入れ歯は、和歌山市の願成寺を開山した中岡テイのものです(1538年に76歳で死去)。すでにこの時代には入れ歯が普及していたことがうかがわれます。つげの木をけずった「木入れ歯」ですが、江戸時代には「入れ歯師」と呼ばれる専門職業として定着しました。
ちなみに現存する世界最古の釣り針(2万3千年前のものと判明)も沖縄県で発見されています。
このようにとにかく器用な日本人です。技術大国日本、歯医者さんも世界一です。特に浅草の歯医者さんはみな上手です。まずは近くの歯医者さんで相談してみて下さい。がんばりましょう。
嘔吐反射が強い(オエッとなる)
そもそも嘔吐反射とは
「えずく」ともいいます。喉の奥に異物が入ったとき、異物が食道へ入らないようにするために起こる反射的な防御反応です。だれにでもある正常な反応です。ノドの奥に邪魔な物があると、呼吸などをさまたげてしまいますので、吐き気を催して吐き出すのです。
ただこれが、奥のほうだけでなく、前の口の領域までひろがると、歯科治療でピンセットが口に近づいただけでも反応してしまう人もおり、嘔吐反射の症状がひどい場合は、異常絞扼(こうやく)反射とも言われます。
対応法(入れ歯の調整)
本来、入れ歯はある程度の床が必要です。床が小さいと、その部分に大きな力がかかり、支えている義歯床下の粘膜や骨を壊してしまいます。ただ現実問題として、いれられなければ仕方ありません。
特に義歯の奥のほうが原因になることがおおいので、口蓋(上顎)の奥の部分を削って小さくする。などの対応をとります。(なれてきたらすこしずつおおきくすれば良いのです)
ただはじめは、気持ちが悪くても、1週間、1ヵ月とがんばると結構なれてくれる人が多いので、根競べ的なことも大切です。
対応法(気持ちや身体の問題)
辛い食べ物やアルコールの摂取量の多い方、高カロリーの食品の好きな方、喫煙、肥満、など生活習慣も大きくえいきょうします。
肥満は、ノド周りに脂肪がたまるので、呼吸路がせまくなり、嘔吐反射を起こしやすくなります。
入れ歯 ← 歯が悪い ← 全身状態が悪い ということです。これを良い機会ととらえ、ご自身の生活習慣の見直しも必要です。運動、食生活、睡眠 など考えてみてください。
他の歯科医院できいてみる
今、通院されている近くの歯科医院の先生が一番です。ただ、歯科も、歯を抜いたり(口腔外科)、神経(歯髄)の処置をしたりと、いろいろあります。専門の得手不得手も否定できません。また別の方向から、別の歯科医師が見ることにより、問題点を解決できることもあります。何度、調整を繰り返しても、1ヵ月以上調整しても、改善がみられないようなら、別の近くの歯医者さんへ相談するのも良いかもしれません。
遠慮する方がいますが、われわれ歯科医院の仕事は、「快適に末永く食生活を送っていただくことです」。当院にも、近くの歯科医院の患者さんが、その歯科医院が休診日なので診てほしい。という方も多く来院されます。別の歯医者さんの患者さんだからといって雑に扱われることなどありません。特に浅草の歯医者さんはみな親切で丁寧です。