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味覚障害

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味覚を感じにくくなったり、消失てしまったりするのがが味覚障害です。
本来味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味などから成り立ちますが、何を食べても味を全く感じなくなることもあります。また、口の中に何もないのに塩味や苦味を感じることや何を食べてもまずく感じてしまうことなどの症状もあります。このように本来の味と違った味がすることも味覚障害です。

味覚そのものが減退する場合

亜鉛欠乏症

 亜鉛は人が生きていくために極めて重要な金属で、不足すると味覚や嗅覚障害をはじめ、皮膚炎、脱毛症、生殖機能の低下、食欲不振、鉄欠乏性貧血、糖代謝異常などさまざまな障害があらわれ、感染症にもかかりやすくなります。
 牡蠣(カキ)に多く含まれることが有名ですが、魚介類、牛乳、豆類、肉類に充分含まれ、よほどの偏食でなければ、不足症は考えにくいです。過剰摂取で前立腺ガンになる可能性が高まるという報告例もあり、男性は取りすぎに注意です。

舌炎

 舌の表面は、ザラザラしています。味を感じる細胞(味蕾・みらい)がたくさん集まっているためです。成人で7500個ほどあるといわれています。
 熱い食べ物による火傷、義歯による傷、濃いアルコールの摂取、ウイルスによる感染などにより舌炎がおこれば、味覚障害をおこします。
 キウイとパイナップルはそれぞれブロメライン、アクチニジンというタンパク質分解酵素(システインプロテアーゼ)を持っており(イチジクのフィシン、パパイヤのパパインも同様)、大量に食べると舌の表面が溶けると言うかあれます。当然、味蕾が障害されるので、味を感じにくくなります。

口腔乾燥症(ドライマウス)

 唾液の分泌が減ったり、口呼吸などで口腔粘膜の水分が失われるとドライマウスと呼ばれる口腔乾燥状態がおきます。粘膜は湿潤していないと健康を保てないので、舌の表面にある味蕾も障害されます。
 また唾液の量が減ると食べ物の味物質が溶け出しにくくなることも原因の一つです。原因としては、加齢をはじめ、良く噛まないで早食いをする食生活、生活習慣病、精神的なストレス、薬の副作用なども挙げられます。

貧血

 酸素を供給する働きをもつ血液中の赤血球や、その中に含まれるヘモグロビンが減少し、体が酸素不足になるのが貧血です。血中のヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血と診断されます。鉄はヘモグロビンを構成している大切なミネラルですが、不足しやすいものの一つです。動悸、息切れ、倦怠感、頭痛、爪の異常などさまざまな症状が起こりますが、舌の表面が赤くツルツルになることも多く、味覚障害の頻度としては多いように思われます。

糖尿病

 糖尿病の合併症の一つに神経障害があります。味覚を伝達する神経が侵されると味覚障害が生じます。また、糖尿病性腎症により腎臓の機能が低下すると、尿への亜鉛の排泄量が増えるため、味覚障害が起こります。

伝達神経の障害

 舌の味覚を支配する神経は、舌の前三分の一の味覚を支配しているのが鼓索神経であり、舌の後ろ三分の二の味覚を支配しているのが舌咽神経です。これらの神経が、舌の味蕾で感知した味を次の味覚伝導路である延髄の孤束核へと伝えます。ここから次の味覚伝導路である視床へと移ります。この視床にある後内側腹側核に、味覚を伝導する神経細胞があり、ここから最後の味覚伝導路である大脳皮質の味覚野へと味覚を伝えていきます。
 このどこかに障害がおこると味覚障害になります。脳梗塞、脳内出血、脳の外傷なででも生じる場合があります。

高齢による味覚の減退

 加齢とともに味を感じる感覚器の機能が低下することによる味覚障害が増えています。近年では60歳代から70歳代をピークに味覚障害を訴える人が増加しています。

食べ物食べてないのに、味がする

内服薬による影響

 たとえばアモバンというよく使われる睡眠薬があります。この副作用の項目に1%以上で「口中のにがみ」が起こると記載されています。薬はにがいのが普通です。本来身体に害をおよぼすものをほんの少量服用することで、適切な効果をえるのです(解熱剤飲みすぎたら低体温症になっちゃいます)。ですから危険だよということで、苦いのです。
 飲んだ薬が血液中を流れ、唾液に溶けて出てくるのです。特に肝臓が調子悪かったりすると(体が疲れている)、薬の分解が進まず、血中⇒唾液と出てくるのです。

治療中の歯の影響

 治療中の歯は、仮に封鎖することが多いですが、中から薬がしみ出してきたり、仮の封鎖材そのものに味や匂いがある場合があります。

歯にかぶせたりつめたりした金属

 よく使われる金属が、12パラと呼ばれる合金です。組成は、銀49%・パラジウム20%・金12%・その他ですが、他にも種々の金属がつかわれます。
 アルミ箔が口の中に入ってしまった時、いやな感触を経験したことはありませんか。このときのいやな感触は、実は電流によるもの。同様に金属歯科材料が口腔内にある場合は口の中に微細ですが電流が起こり、これが嫌な味の原因となることがあります。

むし歯の再発

 治療が終わった歯も、年月がたつと継ぎ目から再発してしまうことが多いです。この時、中に入れてあった薬がもれだして味がすることがあります。

むし歯や歯周病

 バイ菌は当然、いろんな毒素や酸をだします。味がして当然です。

呑酸(どんさん)

 呑酸の場合は口の中に広がる酸っぱさが症状の代表です。息をしても当然臭いがしますし、何も食べていないのに苦く酸っぱい味がするのは不快と思う方も多いようです。呑酸の原因は逆流性食道炎(食道と胃の間にある噴門(ふんもん)これがゆるんでしまい起こるのが逆流性食道炎です。

ミラクルフルーツ

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 ミラクルフルーツ、は西アフリカ原産のアカテツ科の果物です。その実自体は甘くないのですが、数本の炭化水素鎖を持つ特殊な糖タンパク質であるミラクリンを含んでおり、この実を食べると、ミラクリン分子が舌の味蕾に結合し、次に食べた苦味や酸味のある食べ物(レモンやライムなど)および薬剤を甘く感じさせ、この効果は30分から2時間程度持続します。逆にギムネマ・シルベスタ(Gymnema Sylvestre)。南インドから東南アジアにかけて広く分布しているガガイモ科の植物です。ヒンディー語でグルマールといいますが「甘みを壊すもの」と言う意味。ギムネマの葉を噛んで数分すると甘みを感じなくなることからつけられた名前だといわれています。

味盲

PTC(フェニルチオカルバミド)という物質がありますが、とっても苦いです。でもこの苦みを感じにくい人が味盲。日本人では10%ほどいます。

味蕾の寿命

味蕾は、文字通り花のつぼみのような形をしていて、味細胞の寿命は約10.5日と比較的短く、味蕾の味細胞は次々と新しい細胞に入れ替わります。ですのでやけどなどによる味覚の異常は2週間程度で、自然治癒します。あまりあせらずにそっとしていましょう。

ストレスなど精神的な因子も大きいです

 私(浅草田中歯科院長)は、ぶり大根が食べられません。野菜なのに魚臭くて苦手です。歯医者なのに、キシリトールもダメです。あの冷たい甘さがぞっとするのです。やっぱりむし歯の原因でも、砂糖が一番おいしいです。
お刺身はやっぱり日本酒かな。お刺身つまみに赤ワインやっぱり生臭いです。
味覚は舌の味蕾にある感覚細胞にグルタミン酸受容体が発見され、酸味(さんみ)・甘味(かんみ)・塩味(えんみ)・苦味(にがみ)の四基本味に加わるべき第五の基本味としてこれを「うま味(うまみ)」が認知されています。
ちなみに辛みを辛味と書くのは誤りです。辛みはバニロイド受容体(カプサイシン受容体)で感じる痛覚です。
ただ味覚の受容体は100以上あるとの説もあり思っている以上に複雑で、体調によっても変化します。お
 某航空会社で、ファーストクラスで出すコーヒーとエコノミークラスのコーヒーは容器が違うだけなのに、さすがファーストクラスのコーヒーは一味違うと言われていました。人間の味覚なんてそんなものです。

抗がん剤などの治療による副作用

 抗がん剤の副作用により、口腔粘膜が荒れたり、味を感じる味蕾が壊されたりして味覚の異常を生じる場合が多くあります。吐き気や口内炎の症状も強く出やすく、がんと戦う体力をつけるための食事が取りにくくなってしまうという、大きな矛盾を生じることがあります。いろいろな対応法が考えられますので、別のページで詳しく説明しています。
抗がん剤による味覚の異常 こちらをごらんください

おまけ

地上=1気圧 なのに対して、上空をとんでいる飛行機の機内=0.8気圧と、0.2気圧の差があります!
なんと気圧が低くなると食べ物の味が悪くなるのです。機内の環境では、地上と比較し塩味が20-30%、甘味が15-20%低下するのです。

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