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フッ素(F)

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*一般的にそう呼ばれるので田中歯科医院のホームページでも、フッ化ナトリウムのことをフッ素と呼んでいます。フッ素そのものやフッ化水素は猛毒ですので、混同しないようにご注意ください。

フッ素は虫歯を予防します

 カルシウムの結晶体である歯は、アルカリの塊であるため、酸にさらされると溶けてしまいます。これが虫歯ですが、歯の表面にフッ素が溶け込むと酸で溶けにくいフルオロアパタイトという構造体が作られます。今までの歯医者さんは、この理由から虫歯になりにくくなるのだと考えていました。
 しかし、1980年代にモレノ博士(アメリカ・フォーサイス研究所)が、虫歯の予防効果をフッ素が破棄するのは再石灰化促進であるということを発表しました。現在ではこちらの説が有力になっています。

脱灰

 灰(はい)は、草や木、動物などを燃やしたあとに残る物質のことですが、カルシウムが多く含まれます。脱灰とは、文字通り図らカルシウムが抜けていくことをいいます。食べ物を食べると歯の表面に住み着いているストレプトコッカスミュータンスなどのバイ菌が、糖分を分解し酸を作ります。酸性の飲み物などを飲んでも同じですが歯が溶けていきます。幸いな事に、唾液には緩衝能と言って酸を中和する力があります。20~30分もすると脱灰は止まります(ただし、口腔衛生状態が悪く、バイ菌の数の多い人は脱灰が強く済みカルシウムの溶け出しが蓄積され虫歯となってきます)。
 ただ、脱灰を毎日繰り返すのですから、石鹸を使えばだんだん小さくなっていくように、歯も溶けて小さくなっていくように考えられます。
これを防いでいるのが再石灰化です。

再石灰化

 壊れたハイドロキシアパタイト結晶を唾液中に存在するリンやカルシウムを使って、脱灰した部分を修復してくれます。ただだからといって安心しないでください。脱灰(壊す)は早く進みますが、再石灰化(修復)は長く時間がかかります。
口腔内の細菌の活性が強かったり、頻繁に間食など取っていたり、酸性の飲み物をだらだらと飲み続けていたりすれば、再石灰化が間に合いません。崩壊し、再石灰化困難な虫歯にと進行していきます。

再石灰化を促進させるには

質の良い唾液

 健康な人の唾液にはリンとカルシウムはたっぷり含まれています。ただ、日常生活が荒れたり、ストレスで自律神経のバランスが崩れたりすると唾液の分泌能力は低下してしまいます。歯だけでなく、全身の健康管理がとても大切です。

フッ素による再石灰化促進

 フッ素が存在しなくても再石灰化はしますが、フッ素があると再石灰化のスピードは非常に速くなります。0.05ppm というて濃度でも再石灰化が促進されることがわかっています。この時作られるフルオロアパタイトは、フッ素が存在しない時に比べて260倍ものスピードで形成されます。

市販の歯磨き粉に含まれているフッ素

 薬事法で定められた歯磨き粉に配合されるフッ素の許容量は1000ppmです。(2017年5月に厚労省は1500ppmの濃度のフッ素を添加した医薬部外品の歯みがきペーストを承認しました)
このため市販されているフッ素配合歯磨き粉のほとんどが、この限界値近く(900ppm~970ppm)の濃度です。(1000ppmは1kg中に1mg含まれることをあわらします)
この濃度でも、歯みがき後に口腔内に残っているフッ素濃度で充分再石灰化が促進されると考えられています。

歯医者でフッ素塗布をする場合

 自宅でフッ素を塗っているのでわざわざ歯医者さんで塗ってもらう必要性はないように思えてしまうのですが、歯の表面が歯垢などで汚れていると、確実に歯面までフッ素が届きにくくなります。
 ですから、歯面を専門的な道具を使い清掃し、より有効にフッ素を塗ることも必要です。またこの時、浅草の歯医者さんは虫歯や歯肉炎などのチェックをすることも当然もしています。濃い濃度のフッ素を1、2ヶ月に一度、歯科医院で塗布してもらい、普段はご家庭で低濃度のフッ素を歯磨き粉として使うのが有効です。
 田中歯科医院ではフルオールゼリーというフッ化ナトリウムの歯面塗布剤を使っていますが、この濃度は9000ppm です。

そもそもフッ素とは

 原子番号 9 の元素です。元素記号はラテン語のFluorumの頭文字よりF。原子量は 18.9984 で、最も軽いハロゲン元素(次は塩素)。電気陰性度は 4.0 、酸化数-1。反応性が高いため自然界では単体では存在しません。
 世間一般でフッ素を歯医者さんで塗ってもらうと言うので、我々歯医者もついこう言ってしまうのです。実際にはフッ化ナトリウムを使用することが多いです。
ちなみに ppm というのは、濃度を表す単位で parts per million の頭文字、日本語だと百万分率です。、100万分の1をあらわす単位です。

フッ素の安全性

フッ素急性中毒

 意識の混濁や腹痛、嘔吐、下痢などの症状が現れときには痙攣(けいれん)を起こすこともあります。高濃度の製品は歯医者しか扱うことができないのはこういった事故を防ぐためです。
 フッ素中毒の基準は(財)日本中毒情報センターによると約5~10mg/kgですので、約20kgの6歳児であれば、歯磨き剤のチューブ90gなら一本以上、フッ素洗口剤であれば、コップに10杯ほど飲むと危険です。ちなみに致死量は5000mg/kgと言われています.
ですので、現実的には中毒を起こすことは考えにくいのです。一ちなみに一部の小学校などでは、現在、むし歯予防のためにフッ素洗口が行われています。使用される洗口剤はミラノールというものを使うことがありますが、これは薬事法上、劇薬指定医薬品です。歯科医師管理のもとでの使用が必要です。
現実的には、中毒は考えにくいのですが、念のため、応対処法としては、

  1. 牛乳を飲ませる
    牛乳のなかに含まれるカルシウムがフッ素と結合して毒性を低く抑えてくれます。
  2. 近くに牛乳がないのであれば、とにかく水を飲ませる
    胃のなかのフッ素濃度を低くします
  3. 嘔吐させられるようなら、吐き出させるようにします
  4. 病院につれていく
    摂取した量にもよりますが、フッ素中毒はときに病院で胃洗浄などの治療が必要な場合があります。この時に何を飲んだかお医者さんにわかるようにパッケージを持っていってください。

念のためフッ酸について

 フッ化水素(HF)の水溶液です。こちらは猛毒です。スプーン一杯の誤飲(9%溶液)で死亡の事例もあります。吸引すると、灼熱感、咳、めまい、頭痛、息苦しさ、吐き気、息切れ、咽頭痛、嘔吐などの症状が現われます。
まさか、一般家庭でこの薬品があるとは思えませんが、お仕事などで取り扱っている方は、厳重にご注意ください。我々歯医者が塗布するのはフッ化ナトリウムです。フッ化水素塗布して死亡した事例もあります。

大人用の歯磨き粉に気をつけてください

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 フッ素の濃度は国際的には1500ppm というのが基準でした。日本もこれに合わせ、濃度の引き上げが2017年5月から厚労省により認可されています。ただ、6歳未満の子供への使用を控える、6歳未満の子供の手の届かないところに保管するなど、小さい子供向けの商品ではありません。フッ素は大人になってからでも効果的ですので、大人用に作られた商品と考えられても良いと思います。サンスターからはバトラーエフ ペーストという商品が販売されていますが、パッケージに「大人虫歯になる前に」との表示があります。ライオンからもクリニカアドバンテージハミガキが販売されています。いずれもフッ素濃度は1450ppm です。

慢性毒性について

これは比較的濃度の濃いフッ素を長年にわたって摂取し続けることにより起こります。急性中毒のような劇的な症状はありませんが、体にフッ素が溜まることにより疾患が起こります。、歯の表面に現れる斑(まだら)状のシミができることが有名です。これを斑状歯(はんじょうし)といいます。 歯の表層、エナメル質が作られるときに、エナメル質を作るエナメル芽細胞がフッ化物と敏感に反応し起こると考えられています。
水道水中のフッ素濃度は、WHOの水質基準では1.5ppm以下、日本の水質基準では0.8ppm以下となっています。より厳しい我が国の基準では0.8ppm=0.8mg/Lです。
歯磨き粉に含まれるフッ素の濃度も低濃度に抑えられていますので、うがいが上手にできない・歯磨き粉毎日食べてしまう(クレヨンしんちゃんの漫画にしんちゃんが歯みがき粉食べているシーンがありました)ような事がなければ、特段の心配は要りません。
井戸水などでフッ化物濃度が15ppmというものすごくたくさんのフッ化物が含まれている地区で起こったフッ素症です。日本の基準値の20倍もの濃度です。日本の厳しい水質基準を考えると問題になることはないと思います。学会などのの会合でいろいろな先生とお話しますが,歯のフッ素症(斑状歯)の患者さんを見たことがあるという歯医者さんは今まで1人もいません。
またフッ素は、食品衛生法で規定する食品添加物として認められていませんので、日本国内で生産されたものであれば間違いなく安全です。また、海外からの輸入品もまた海外から輸入される食品も商品が食品衛生法で規定する食品の規格、基準に合致しないと日本国内で販売できません。

骨硬化症(骨フッ素症)

慢性的な関節痛・関節炎・靭帯の石灰化などがおこり、重症化すると関節運動障害・脊椎靭帯の石灰化・脊椎と関節の変形などがおこります。
 ただ虫歯予防目的での、歯医者の適切な管理下での使用であれば骨硬化症を引き起こす濃度の大量接種にはなりません。

その他の危険性

フッ化ナトリウムは、ラットの細胞に対して染色体異常誘導能の危険性があると指摘されています。(三橋守泰先生筒井健機先生 日本歯科大学歯学部)
ただやはり、かなり高濃度で問題となり、通常の使用濃度では心配することはありません。

フッ素の安全性は要するに大量に摂取しないことです

例えば、熱中症が心配だからと言って水を飲みすぎれば水中毒になります。体の中の塩分の濃度が薄くなりすぎて、脳浮腫などを起こす危険性があります。マラソン大会で水を飲め飲めと言って律儀に水を飲みすぎて水中毒で死亡した例もあります。
物事すべてほどほどにです。過ぎたるは及ばざるが如し。フッ素に関しても、同じです。

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