痛みに強い弱いは生まれつき
人間の遺伝子は99.9%誰でも同じです。残りの0.1%が個性を作っています。性格や、糖尿病や心臓病など病気になりやすさ、身長を制御する遺伝子もあります。ZNF365など女性のバストの大きさを決める遺伝子まであります。痛みに関する遺伝子も当然存在し、生まれつき痛みに敏感なのも体質のひとつです。
TRPA1 | transient receptor potential ankyrin 1 | 感覚神経で活性酸素の存在を検知するセンサー |
COMT | カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ | 痛みに対する敏感性 |
DRD2 | ドーパミンD2受容体 | 遺伝子の変異が強いと痛みを強く感じる |
でも、後天的な要因も大きく関係しています。意識を変えることによって、痛みを感じにくくすることは可能です。
セロトニンの不足
セロトニンは脳の中にある神経伝達物質の一つで、感情をコントロールしたり、睡眠や体温といった生理機能にも強く関係しています。ドーパミン、ノルアドレナリンを合わせ、三大神経伝達物質と呼ばれています。
ドーパミンは快楽物質と呼ばれ、達成感や高揚感を促して「楽しい」といったプラスの感情を持たらせれてくれますが、一方で大量に分泌されてしまうと、過剰な興奮を引き起こしてしまいます。セロトニンは、このドーパミンの暴走を止める働きを担っています。
ノルアドレナリンは本来、不安や恐怖を感じる事で受けたストレスから身を守るために分泌される物質ですが、緊張状態が長く続くと、過剰分泌され、不安やパニックなどを起します。セロトニンは、ノルアドレナリンの分泌を抑え感情を平坦に保ち、精神の安定をはかる役割をしています。またセロトニンは、痛みの感覚情報が順次に処理されていく過程で、たとえば感覚神経が脊髄に入る所などで、感覚神経に対し抑制作用を発揮します。
このためセロトニンが不足すると、痛みを感じやすくなってしまうのです。
セロトニンが不足する原因
バランスの良い食生活
タンパク質はアミノ酸で構成されていますが、セロトニンはこのアミノ酸の一つである、トリプトファンから合成されます。またこの時にビタミン B6も多く必要なので、これらの物質が不足するとまずいのです。つまり、バランスの良い適切な量の食事が大切です。通常の食事で十分ですが、特に多いのは豆類や赤身の魚、チーズやバナナ、ケールなどです。ビタミンB6はレバーや鶏むね肉、じゃがいもなどに多く含まれます。
朝日を浴びる
朝起きてから太陽の光を浴びることが、体内時計がリセットされ、セロトニンの合成が活発になります。
家からあまり出ない方や、夜型の生活をされている方は、セロトニン量が不足している可能性があるとされます。
リズミカルな
ウォーキングやジョギングなどの一定のリズムを刻む運動が重要です。呼吸も乱れずリズミカルであることが大切と言われています。もともとセロトニンはリズムを調節するのでリズミカルな行動で増加することがわかっています。食事のリズムも大切で、歯が悪く食べるリズムが乱れると、セロトニンが不足することが判明しています。歯の治療がいやで、歯医者をさけていると、ますます歯の悪さが悪化して、咬合バランスの悪さ、リズミカルに噛めないと悪循環します。早めに近くの歯医者さんで診てもらって下さい。また運動を日常的に行う習慣のない方もセロトニンが不足しやすいです。
スキンシップ
家族、恋人、友人、ペットと触れ合うことがセロトニンを増加させます。セロトニンが不足していると、家にこもりがちになって、人との直接的なかかわりが少なくなっていることが多いとされます。意識的に人や動物との触れ合いの時間を作って見ることも大切です。
セロトニンについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
セロトニン、いっぱい出てますか
下行性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)
痛みは、組織が壊れたという情報です。歯を削った時の痛みも同じですが、体に張りめぐらされた神経を通し、脳の視床下部(ししょうかぶ)のとなりにある中心灰白質(ちゅうしんかいはくしつ)という部分に入ってきます。中心灰白質は、神経の細胞が集中しているところで、入ってきた情報から痛みの強さや質を判断し、脳の前頭葉の左側にある触覚や痛覚を司る場所で痛みを感じます。ただ痛みは、一箇所でなく、体性感覚野、帯状回、前頭葉、小脳など、様々な場所で認識されています。
下行性疼痛抑制系は身体から脳に上がってきた痛みの情報を抑制するシステムです。
わかりやすく言えば、スポーツなどの試合中にケガをしてもあまり痛みを感じずにやりきることができるような場合です。本来、外敵に襲われ、逃げている時に、ちょっとした痛みを大げさに感じていたらそちらに気を取られてしまい、天敵に捕まってしまう危険の方が大きいのです。痛みを感じることは、有利なのか不利なのか。それを即座に判断して、本能的にメリットのあるほうを選ぶために、この下行性疼痛抑制系というしくみがあるのです。
下行性疼痛抑制系のしくみは、感情の影響を受けやすい
落ち込んだり、嫌な事があったり、不安だったりすると、これらのストレスにより疼痛抑制の働きが低下します。
つまり
生活習慣が不規則で、食生活が乱れ、夜ふかしが強く、スポーツなど運動する習慣がなく、あまり人と接しない方は痛みを強く感じやすくなってしまうということです。